多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「購入してからまだ半年、なぜ自分の端末がアップデート対象外に?」という質問に答えます。

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"OSをハードウェアに載せる"ことは、ひと筋縄ではいきません。安定した動作のためには入念な検証作業(ハードウェアとの互換性チェック)が欠かせず、ハードウェアの種類が増えればそのぶん工程は増えます。

現在動作しているOSを更新(アップデート)する場合はより複雑で、更新前のハードウェアとの互換性チェックはもちろんのこと、旧バージョンのOS向けに開発されたアプリについても確認作業が発生します。これまで動作してきたものが動作しない、不具合が発生するという事態は避けなければならず、問題箇所の洗い出しと対応が必須です。OS標準装備のアプリが多ければ、そのぶん作業は増えます。

Android端末は多くの企業が製造しており、すべてのAndroid端末で動作するソフトウェア(OS/アプリ)の開発には時間とコストがかかります。Googleの選定した企業が製造するリファレンス端末「Nexus」という存在はあるものの、ハードウェアの違いを乗り越えることには困難が伴います。その点、ソフトウェアとハードウェアの製造/開発をAppleが一手に行い、将来のスケジュールまで緻密にコントロールできるiPhoneのほうが有利です。

そのようなハードウェア企業の事情とは別に、GoogleはAndroid OSの開発を進めます。OSの整備とアプリ開発環境の充実が、スマートフォンプラットフォームとしての魅力を生み出すからです。ある企業がAndroid端末の発売を予定するとして、端末の設計とAndroid OSの互換性チェックを進めている間にもAndroid OSは進化します。ソフト/ハードの間に生じる開発タイムラグは、Androidの性格上ついて回ることでしょう。

製品として世に出た時点でAndroid OSの開発が進んでいると、その機能をフルに発揮するにはハードの性能が足りないという事態が発生します。そうなると、ただでさえバージョンアップにはコストと時間がかかるうえにユーザの不利益(動作の不安定化/速度低下)まで生じてしまうため、バージョンアップを見送らざるをえなくなります。Android OSが現在のペースで機能強化され続けるかぎり、購入してからわずかにもかかわらずOSをアップデートできない、という事態が発生しても不思議ではありません。

すべてのスマホが最新のAndorid 4.4にアップデートできるわけではありません