ただシャッターを押すだけのカメラ

Appleのカメラアプリは非常にシンプルで、フォーカス(AF)や露出(AE)をタップして合わせたり、長押ししてAF/AEをロックして撮影したり、フラッシュのON/OFF、8種類のカラーフィルタ以外の撮影設定は用意されていない。これ以外のことをやりたければ、他のカメラアプリを用いて欲しいということだ。とにかくシャッターボタンを押すだけで、最良な1枚が撮影できることに気を配られている。

過去にレンズ内手ぶれ補正の特許が出されていたとの指摘もあったが、現在のiPhoneの動画機能では、フルHDサイズの動画の手ぶれ補正を採用し、写真向けには高速に写真を分析して最適な1枚を得られるようにする仕組みを備えている。前者は撮影者の手ぶれ補正だが、後者は撮影者・被写体いずれのぶれも補正する仕組みとなっている。こうした機能もON/OFFなどはなく、裏側で勝手に動いてくれるだけだ。

今後もAppleは、こうしたテクノロジーを背景にしたシンプルな操作方法を提供するようになるだろう。しかし冒頭の話のように、簡単に使える高度なテクノロジーは使い方次第で、よりハイレベルのクリエイションに活用できるということだ。アプリがそれをアシストしながら使い方を引き出すという構造も、引き続き楽しむことができるだろう。

最後に、iPhoneに限らず、スマートフォンのカメラに欲しい機能として、これは贅沢な話かもしれないが、外部レンズやアタッチメントを付けずに、より近接撮影が行える「マクロ機能」が搭載されることを期待している。

松村太郎(まつむらたろう)
ジャーナリスト・著者。米国カリフォルニア州バークレー在住。インターネット、雑誌等でモバイルを中心に、テクノロジーとワーク・ライフスタイルの関係性を追求している。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、ビジネス・ブレークスルー大学講師、コードアカデミー高等学校スーパーバイザー・副校長。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura