昨年の2013年はNTTドコモから新型iPhoneが発売されたほか、KDDIの800MHz帯のプラチナバンドLTEが話題となるなど、LTE対応スマートフォンの本格的な普及が始まった年となった。

だが、LTE対応のスマートフォンの通話料は高く、電話をそれほどかけている意識がなくても実際は結構な通話料がかかっていることが多い。「普段あまり電話をかける機会がないと思っていたが、明細を確認すると毎月数千円の通話料がかかっていた……」なんて人も多いだろう。そんな中、LTE対応スマートフォンの割高な通話料を節約するためのサービスも多く出てきた。そのひとつが「楽天でんわ」だ。

本稿では、年末年始に楽天でんわを使ってみたレポートを紹介する。どのくらいの節約効果があり、どんなメリットがあったのかを見ていこう。

どのくらいお得? 年末年始を「楽天でんわ」だけで過ごしてみた

年末年始の通話に「楽天でんわ」を使ってみた

楽天でんわは、楽天グループのフュージョン・コミュニケーションズが提供するスマートフォン向けの通話サービス。10.5円/30秒という格安な通話料で電話をかけられるのが特長で、LTE対応スマートフォンの一般的な通話料21円/30秒の半額となる。

iPhone、Android向けの専用アプリから通話発信することで、相手の電話番号の頭にプレフィックス番号が自動的に付加され、フュージョンの電話回線を使った通話となる。IP電話アプリのようにパケット通信を利用して通話する仕組みではなく、電話回線を利用するため、通話品質が良いのが特長だ。また、IP電話アプリでは050番号が相手に通知されるが、楽天でんわでは自分のスマートフォンの電話番号がそのまま通知される。

初期費用、月額基本料ともに無料で、使った分の通話料だけを毎月支払えばよい。また、通話料100円につき楽天スーパーポイントが1ポイント貯まるのも特長だ。楽天でんわの詳細は、マイナビニュースの別稿でも詳しく解説しているのでご参照いただきたい。

忘年会で楽天でんわを活用!

ここからは、筆者が楽天でんわをどのように利用したかを紹介していく。楽天でんわの利用を検討している人は、ぜひ参考にしていただきたい。

年末の某日、都内の居酒屋で友人たちとの忘年会に参加した。楽天でんわを使ったのは、遅刻している友人に電話をかけたときだ。忘年会に向っていることを確認し、最寄り駅からの経路も教えたため、5分程度の通話になったが、通常発信と比べて通話料は半額の105円に。これだけでも約100円の節約ができたことになる。

楽天でんわのAndroid版。アプリから通話発信すると、プレフィックス番号が自動的に付加され、通話料が格安になる

端末の電話帳を読み込み、登録してある電話番号に通話発信することも可能

なお、電話をかけた相手は久しぶりに会う友人だったが、050番号が相手に通知されるIP電話アプリを使ったとしたら、誰からの電話なのかわからず、出てもらえなかったかもしれない。だが、楽天でんわでは自分のスマートフォンの電話番号が相手にそのまま通知されるため、そのような心配は無用。さらに通話品質に関しても、スマートフォンの通常発信と遜色なく、会話する上での問題はなかった。

電話帳から連絡先を選択し、発話ボタンを押せば、プレフィックス番号が自動的に付加されて楽天でんわで通話できる

ちなみに忘年会では、二次会で別の店に向かう途中で友人たちとはぐれるというトラブルに遭遇。この際も友人と連絡をとるために、楽天でんわを使用して電話をかけた。あいにく不在着信となったが、その直後、折り返しの電話がかかってきたため、友人と連絡をとることができ、二次会の店に無事たどり着けた。

折り返しの電話をもらえたのも、楽天でんわから通話発信したことのメリットだと言えるだろう。先述の通り、楽天でんわでは、自分のスマートフォンの電話番号が相手に通知されるため、相手の電話帳に自分が登録されていれば、着信履歴に自分の名前が残ることになる。相手が着信履歴から折り返せば、スマートフォンの標準電話アプリで応答可能だ。

もしも、IP電話アプリから電話をかけた場合、050番号をあらかじめ相手に教えおき、電話帳に登録してもらわない限り、着信履歴に自分の名前は残らない。そのため、折り返しの電話をもらうためのハードルは高くなるだろう。また、050番号に折り返しの電話をかけてもらった場合にも、IP電話アプリで応答することになるため、電波状況によっては通話品質に不安が残る。

楽天でんわで"おめでとうコール"

年が明け、元日の朝には"おめでとうコール"に楽天でんわを使用した。なお、楽天でんわを利用する上で注意が必要なのは、自身のスマホの契約キャリアの料金プランで無料通話が可能な相手との通話だ。

たとえば、KDDIのLTEプランや、ソフトバンクのホワイトプランでは、1時から21時までの同一キャリア内の通話が無料となっている。また、ドコモのタイプXiにねんなどでは、月額700円のXiカケ・ホーダイに加入することで、ドコモ携帯宛の通話が24時間無料となる。楽天でんわを利用して通話した場合、これらの無料通話は適用外となるため、電話をかける相手によってはスマートフォンから通常発信したほうがお得だ。

このように通常発信のほうが安価に利用できる場合もあるが、安心してよい。楽天でんわアプリでは、無料通話が可能な相手を"無料通話リスト"に登録できるようになっている。"無料通話リスト"に登録している相手に電話をかけた場合、プレフィックス番号が付加されずに、スマートフォンの通常発信となる。そのため、電話をかける相手によってアプリを使い分ける必要はなく、すべての通話を楽天でんわアプリから発信することが可能だ。

設定メニューから表示できる"無料通話リスト"では、楽天でんわを使わない相手をあらかじめ登録しておける

"無料通話リスト"に登録した相手を選択すると、発信時に楽天でんわのプレフィックス番号が付加されず、キャリアの通常発信で通話が可能

筆者が"おめでとうコール"で電話をかけた知人は、同一キャリアで無料通話が可能だったため、楽天でんわアプリで"無料通話リスト"に登録してから発信した。登録には一手間かかるが、通話料を節約するためには、キャリアの無料通話も活用したほうがよいだろう。

このほか、元日には実家にも楽天でんわを使って電話をかけた。固定電話への通話発信となったが、固定電話宛も携帯電話宛と同様に、スマートフォンの通常発信の通話料の半額となる10.5円/30秒で通話が可能だ。スマートフォンを使っている相手とは、「LINE」などの無料通話アプリで通話し、通話料を節約する方法もあるが、固定電話やフィーチャーフォンを使っている相手とは通話できない。一方、楽天でんわでは、固定電話やフィーチャーフォンにも格安の通話料で電話をかけられるのが強みだと言える。

実家との通話は10分程度になったが、通話が長時間になればなるほど、楽天でんわを使って節約できる通話料の額が大きくなる。10分間の楽天でんわの通話料は210円だが、本来の通話料は420円となる計算で、約200円の節約ができたことになる。

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今回筆者は12月28日から1月3日まで楽天でんわを利用。1週間の通話料は合計672円(税抜640円)となった。本来、無料通話が可能な相手に楽天でんわで電話をかけていた可能性も否めないが、これらをすべてスマートフォンから通常発信した場合、単純計算で通話料は合計1,344円となるため、600円以上の節約ができたことになる。年末年始で普段よりも通話する機会が多かったとはいえ、1カ月利用を続けた場合の節約効果はさらに大きくなるだろう。

また、自分の電話番号が通知されることや、電話回線を利用するため音声品質が良いといった楽天でんわのメリットも実感できた。新年会の参加費や親戚の子供へのお年玉で出費がかさんでしまったという人は、スマートフォンの利用料金を見直して、楽天でんわで通話料の節約を試みてみてはいかがだろうか。