説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「iTunesのバックアップとiCloudのバックアップは何が違うの?」という質問に答えます。

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iPhoneでは、バックアップ先にiTunesとiCloudを選択できますが、両者では対象が多少異なります。大まかにいうと、iTunesバックアップはパソコンが必要なものの対象が豊か、iCloudバックアップは対象がおおまかなもののパソコン不要、という違いがあります。

バックアップに要する時間も異なります。iTunesバックアップは対象のデータ範囲が広いものの、USB 2.0の転送速度を生かし数分程度で全工程が完了します。iCloudバックアップは無線LAN方式の違いや電波の状態に左右されるものの、USB 2.0に比べれば低速なため、10数分~数十分程度を要します。

バックアップの対象ですが、どちらを選択してもカメラロール上の写真とビデオ、iPhoneの設定情報、アプリのデータ(受信したメールなど一部データを除く)、ホーム画面の状態とアプリの位置、『メッセージ』のデータ、着信音とボイスメモは含まれます。『メモ』や『連絡先』などiCloudに同期しているデータも、多くのユーザがiCloudを有効にしてiPhoneを使っていることを考えると、両者共通のバックアップ対象と考えていいでしょう。

iTunesバックアップのみ対象とされるデータは、通話履歴と壁紙、『カレンダー』のデータ(イベントやカレンダーアカウント)、キーチェーンのデータ(Wi-Fiやメールアカウントのパスワードなど)、ソフトウェアキーボードの入力候補、ペアリングしているBluetoothデバイスの情報、『マップ』のブックマークなどが挙げられます。位置情報の使用を許可したアプリの設定情報なども含まれるため、バックアップ復元後にできるだけ設定をやり直したくない場合には、iTunesバックアップのほうが好都合です。

ただし、iTunesバックアップはパソコンが必須のうえ、Lightning/Dockケーブルで接続する必要がありますから、場所と時間を選ばずバックアップというわけにはいきません。メリット/デメリットをよく考えたうえで選択しましょう。

写真で解説

iCloudバックアップはパソコンいらずで手軽ですが、完了まで時間がかかるうえに、バックアップの対象はiTunesバックアップより少ないため、復元したときに再設定を要する項目が多くなります