写真は2013年5月の新製品発表会で登壇する孫正義ソフトバンクグループ代表(撮影 : 近藤謙太郎)

ソフトバンクは6月21日、第33回定時株主総会を開催し2012年度の事業報告を行った。それによると売上高は3.37兆円に、営業利益は7,450億円に到達したという。また、2013年の国内営業利益は1兆円規模になる見込みとしている。2871名の株主と1106名の非株主(一般の観覧者)が同株主総会に参加した。

ソフトバンクの2012年度事業報告によると、売上高(33,783億円)、営業利益(7,450億円)、経常利益(6,532億円)について過去最高を更新した。売上高については3期連続で過去最高益を更新。営業利益については1年前の公約「7,000億円を確実に上回る」を実現しており、前年度10%増で8期連続最高益を更新、NTTドコモの水準に迫る規模にまで成長している。経常利益は14%増で4期連続の最高益。当期純利益については2,894億円となった。過去最高益を更新できた理由について、同社では「携帯電話契約者数の順調な増加により、主力の移動体通信事業が好調に推移したことによるもの」と説明している。

移動体通信事業について

同社子会社のソフトバンクモバイルでは、2012年7月から"プラチナバンド"と呼ばれる900MHz帯を使用した通信サービスの提供を開始。基地局建設を急ピッチで進めた結果、2013年3月末時点で約2万局となり、総務省へ提出した計画を前倒しで達成した。同社ではこうした取り組みの結果「第3者機関が実施した調査において、音声接続率が大幅に改善し同業他社を上回っていることが明らかとなった」とアピールする。

携帯電話の累計契約者数については、3,248万件(前年度末比12.2%増)となった。iPhone、みまもりケータイ(防犯ブザー付き携帯電話)、iPadの販売が好調だったという。しかし、契約当たりの月間平均収入は前年度を170円下回る3,990円。これは「スマートフォンの利用者が増えたことでデータ通信料収入は増加したものの、iPadやモバイルデータ通信端末など通話機能のない端末が増加したことで、音声通話収入が減少したため」だという。

このほか、国内第4位の携帯電話事業者であるイー・アクセスをソフトバンクグループに加えた。また、米国第3位の携帯電話事業者であるSprint社(スプリント・ネクステル・コーポレーション)に約201億米ドル(約1.65兆円)を投じ、その株式の約70%を保有して子会社化することが決定している。

大ボラを吹いてきた

孫社長は「私はこれまで数々の"大ボラ"を吹いてきた」と刺激的な言葉で切り出し、「大ボラ吹きというのは大きなビジョンを持っていることの裏返しである」と続けた。1981年の創業当時には「売り上げを豆腐のように1兆、2兆と数える会社になる」という大ボラを吹いた孫社長。30数年経った現在、同社の売り上げは3.4兆円にまで達している。

創業以来最大の赤字を出した2004年に吹いた「利益で1兆、2兆と数える規模になりたい」という大ボラも、今年度中に実現できる見込みだ。というのも、同社の2013年度の営業利益は1兆円に規模になることが確実視されている。登壇した孫社長は「日本の経済史の中で、利益が1兆円を超えた会社は2つしかない。NTTグループは118年をかけて2002年に、トヨタ自動車は65年をかけて2001年に達成した。我々は創業以来33年という最短期間での、営業利益1兆円到達となる」と言葉に力を込めた。