説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「どうしてiPhoneでは「おサイフケータイ」が使えないの?」という質問に答えます。
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おサイフケータイとは、近距離無線通信用チップ(Felica)を埋め込んだ携帯電話、およびその携帯電話を利用した電子決済/電子マネーなどの機能を提供するサービスのことをいいます。NTTドコモの主導で開発が進められましたが、サービス基盤の拡充を優先事項と位置付けたのか、au/KDDIやソフトバンク、ウィルコムなど他の携帯電話会社にもライセンスされています。少なくとも日本市場に関していうかぎり、「おサイフケータイ」としての機能を携帯電話に搭載することはそれほど困難ではありません。
しかし、iPhoneに「おサイフケータイ」は採用されていません。そもそも非接触式ICが搭載されていませんから、おサイフケータイにかぎらず、かざして支払いするタイプの電子決済には非対応です。iOS 6で導入された「Passbook」は、航空券などのチケットを扱うことはできますが、広範囲の決済に使える電子マネーとしての機能はありません。
おサイフケータイはFelicaを利用したサービスですから、Felicaと分けては考えられず、Felicaを採用する可能性がゼロに近いiPhoneではおサイフケータイを期待できません。内蔵のICに関わる話ですから、現在出回っているiPhoneで使えるようになる可能性はゼロです。
今後AppleがiPhoneに近距離無線通信用チップ(NFC)を採用する可能性はゼロではありませんが、Felicaを採用する可能性はかなり低いと考えられます。ハードウェア的にいえば、Felicaは国際標準規格のNFCに分類されますが、送受信されたデータを処理するソフトウェア部分(Felica OS)と不可分なため、日本以外の国では普及するとは考えにくい状況です。世界共通のグローバルモデルを指向するAppleのことですから、NFCはともかく、Felicaを選ぶ合理性がありません。将来的にも望み薄、と言っていいでしょう。