【レポート】

イー・アクセスとの経営統合でソフトバンク版iPhone 5にもたらされるメリット - 孫代表会見の要旨

ソフトバンク版iPhone 5ユーザーに朗報だ。ソフトバンク版iPhone 5は1.7GHz帯に対応することで接続エリアが広がり、LTEの通信速度規制の基準についても緩和される。テザリングも当初の解禁日から前倒ししてスタートすることになる。これら一連の施策は、ソフトバンクが10月1日に発表したイー・アクセスとの経営統合についての記者会見で述べられた内容だ。会見の内容をこのiPhone 5に絞ってレポートしたい。

会見に臨んだソフトバンクの孫正義代表

iPhone 5が1.7GHzに対応

iPhone 5をめぐり、激しく争うKDDIとソフトバンク。iPhone 5の目玉となるLTE対応について両者の状況を見てみれば、LTEの利用周波数帯、料金プランなど、大枠で捉えた場合に両社の間で大差はない。しかし、今回のソフトバンクとイー・アクセスとの経営統合に、両者の違いが少し鮮明になるかもしれない。

そのキーワードとなるのが、iPhone 5の1.7GHzの周波数帯への対応だ。これにより、「LTEの電波の受かりがよくなる。LTEのサービスエリアが一気に広がり、速度も内容もよくなっていくと思います」と孫代表は述べた。

1.7GHzの周波数帯は、すでにイー・アクセスがサービスを展開しており、今回の経営統合により、iPhone 5では、ソフトバンクの提供する2.1GHz帯、イー・アクセスの1.7GHz帯の両社のLTE網を活用できるようになるのだ。

ネットワークの相互活用

また、iPhone 5対応のLTE基地局についても、2013年3月予定の数値では、ソフトバンクでは2.1GHz帯の基地局を20,000局、イー・アクセスでは1.7GHz帯の基地局10,000局の設置を進めており、計30,000局が対応することになるという。1.7GHz帯を利用するには、ネットワークの準備等が必要になるものの、周波数帯をダブルで利用でき、LTEサービスが向上することを孫代表は強くアピールしていた。なお、iPhone 5ユーザーは1.7GHz帯を利用するに当たり、ソフトウェアアップデートが必要になるという。これにより、アップルとの交渉も今後必要になるとのことだ。

2013年3月予定のiPhone 5対応LTE基地局数

テザリング解禁日が前倒しに

ソフトバンク版iPhone 5のテザリング解禁日も前倒しされる。従来は2013年の1月15日スタートとアナウンスしてきたが、これが2012年12月15日に開始される。

このテザリング解禁日についても今回の経営統合とは切り離せない。「イー・アクセスとの経営統合を早めたのは、このテザリングに後押しされたからです」(孫代表)

同社ではかねてからテザリングの対応を検討してきた。しかし、技術的には可能でも、ネットワークのキャパシティに不安が残り、なかなか踏み切れなかった。ところが、au版iPhone 5ではテザリングに対応するものの、ソフトバンク版iPhone 5は対応しないという状況のなかで、孫代表は9月19日の会見で、ついにソフトバンク版iPhone 5もテザリングに対応することを発表した。

しかし、その胸中は穏やかなものではなかったという。「前回の発表ではテザリングをやらざるを得ない。でも、本音ではやりたくない。なぜなら、ネットワークが混み過ぎたら、通信障害を起こしてしまうリスクが避けられないからです。ですから、冷や冷やしながらテザリングを開始することになりました」(孫代表)

それがイー・アクセスとの経営統合により環境が一変した。「(経営統合により)テザリングを安心してできる構えができたのです。だから前倒しします。競合他社に比べても、基地局と構えができたのです」(孫代表)。

LTEの通信速度制限の緩和

経営統合の効果でiPhone 5のLTE通信速度の規制基準も変わる。同社では、iPhone 5のLTE利用で月間1.2GBを超過すると、通信速度の制限を実施する場合があるとしていたが、この基準を緩和する。3日間のデータ使用量が1GBを超えた場合に、通信速度を制限する場合がある、といった形に改めた。この基準は10月1日、本日より適用される。

速度制限の緩和について

パケット定額サービスの概要と速度制限について

当初の速度制限の趣旨について、孫代表は「データトラフィックが急増した場合に、全国的なネットワーク障害を起こすわけにはいきません。保険の意味合いで制限をかける場合があるとしてきました」という。だが、現実には、使用データ量の制限をしないという触れ込みと矛盾するのではないかという、指摘が多く挙がった。

それを踏まえ、9月30日に孫代表は自身のTwitterアカウント@masasonで「検討します」とツイートした。LTEの通信速度制限の緩和については、本日、10月1日のイー・アクセスの取締役会において承認され、結果的にTwitterでの「検討します」が実行を意味する「やりましょう」に変化したわけだが、こちらも内心は穏やかではなかったようだ。

孫氏は「取締役会を通るまでは冷や冷やしたが、無事に通った。通らなかったら『検討しましたが通りませんでした』とつぶやくつもりだった」という。

iPhone 5のLTEを巡る新たな施策により、速度規制の基準については、NTTドコモ、KDDIともに横並びになったソフトバンク。テザリングの解禁日の前倒し、LTE基地局の増加によるサービスエリアの拡大など併せ、イー・アクセスとの経営統合により、どの程度の効果が出るのか。孫代表は「最高のモバイルブローバンドを提供いたします」と大言するが、メッセージどおりの展開になるのか否かは今後の取り組み方次第だ。



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