7月17日、早稲田大学 早稲田キャンパスで開催された日本最大級のAndroidイベント「Android Bazaar and Conference (ABC) 2011 Summer」では、様々な形でAndroidと関わっている多彩な登壇者による講演が行われた。

本稿では、グリー株式会社 メディア開発本部ソーシャルメディア統括部長の伊藤直也氏、前グーグル日本法人名誉会長で慶応義塾大学大学院 特別招聘教授の村上憲郎氏、と総務省 情報通信国際戦略局情報通信政策課長の谷脇康彦氏の講演の模様を紹介する。

伊藤氏「いまが10年に一度の変革期」

グリーの伊藤氏は、「スマートフォンとウェブの今 : 10年に一度の変革期」というタイトルで講演を行った。伊藤氏は冒頭で、スマートフォン市場の現状について述べ、Androidが少し先に登場したiPhoneを超える成長を見せており、いずれ10人に5人がAndroidを持つ時代が来るという予測を紹介した。そして、グリーも現在、フィーチャーフォンからスマートフォンへの転換を行っていると述べた。

グリー メディア開発本部ソーシャルメディア統括部長の伊藤直也氏

iPhoneを超える成長を見せているAndroid

また伊藤氏は、NTTドコモが秋の新製品では4分の3をスマートフォンにすると発表したことに触れ、「2011年はAndroidの一年になる」と述べ、変革期が来ていると指摘した。また、この「モバイルシフト」とも言える変革は全世界で起きており、具体的な例としてiPhone向けの写真共有アプリ「Instagram」が社員わずか4人の会社ながら700万人のユーザーを抱えていることを挙げた。

国内のスマートフォン市場はAndroidが牽引する

700万人のユーザーを抱えるiPhone向けの写真共有アプリ「Instagram」

伊藤氏は1995年から現在までのWebの変化を5年ごとに区切って振り返った。Windows 95の発売に始まり、インターネット黎明期のYahoo!を中心とした「ポータル戦争」が起きた後、2001年9月に起きた米国同時多発テロでは、情報を求めて人々が過剰にアクセスしたことから、インターネットにメディアとしての側面があることが明らかになったと指摘。また、検索エンジンとして台頭してきたGoogleが一気に頂点に上りつめたことなどを取り上げた。

米国同時多発テロでは、インターネットのメディアとしての側面が明らかになった

2005年以降になると、正面からGoogleに挑んでも勝てないということが理解され始め、各社はGoogleが不得意とされるソーシャルを目指すようになったと述べた。また、グリーが携帯電話向けSNSへとシフトし始めた2006年では、携帯電話向けソーシャルはまだ競争率が激しくなく「ブルーオーシャン」であったと解説。さらに、グリーやmixi、FacebookなどがそれぞれのAPIを提供し始めたことで、SNSがソーシャルプラットフォームになったと語った。

各社はGoogleが不得意とされるソーシャルを目指すようになった

グリーが携帯電話向けにシフトした際、携帯電話向けソーシャルはまだ競争率が激しくなかったく

各SNSはAPIを提供してソーシャルプラットフォームになった

伊藤氏は、2007年、2008年にそれぞれ発売されたiPhoneとAndroidというスマートフォンが、ソーシャルプラットフォームやクラウドサービス(PaaS)に加わることで、10年に一度ともいうべき大きな変革が起きていると述べた。