今やマスクは生活必需品ですが、電動式のファンを内蔵しスマートフォンから使用状況もわかる「スマートマスク」がいくつかのメーカーから製品化されています。空気清浄器などのエアケア製品を「LG PuriCare」ブランドで展開しているLGは2020年秋にスマートマスク「LG Wearable AirPurifer」を発売。2021年秋には軽量化した第二世代モデルを発売しました。価格は筆者の居住する香港では1,480香港ドル、約2万2,000円です。
LG Wearable AirPuriferの外観は普通のマスクをそのままぶ厚くしたようなデザインです。本体カラーは清潔感のあるホワイトと、シックな服装にも合うブラックの2色で展開されています。
初代モデルはかなり大きく重さも126gありましたが、最新モデルは薄くなり、94gまで軽量化されました。筆者も実際につけてみたことがあるのですが、初代モデルはやや重く長時間つけっぱなしにするのはやや厳しいかなと感じました。しかし最新モデルは軽くなり、さらにサイズも薄いので装着していてもあまり邪魔にはなりません。
内部構造は口や鼻の当たる部分にはソフト素材で洗浄可能なフェイスガードがあり、その内側にはインナーガードと呼ばれるフィルターを装着します。インナーガードは直接口や鼻からの呼吸が当たる部分なので毎日交換が必要とのこと。
また本体左右に外気を吸気する電動ファンを内蔵、そのファン部分には正方形の櫛型HEPAフィルターをそれぞれ装着します。こちらのフィルターは1か月利用可能とのことです。ランニングコストとしては、インナーガードが30枚入り98香港ドル(約1,400円)、HEPAフィルターも同額なので、1か月約2,800円かかることになります。
本体には10,000mAhバッテリーを内蔵しており、8から10時間の利用が可能です。しかしこれだけの機能なら、ただの「電動式吸気マスク」にすぎません。Wearable AirPuriferには「VoiceON」機能が搭載されています。普通のマスクや、あるいは同じようなスマートマスクをしていて困るのが、マスクをしたまましゃべろうとすると声が小さくなり聞こえにくくなります。特にスマートマスクは口の周りをしっかりと覆うため、普通に声を出しても籠った聞き取りにくい声になってしまいます。
Wearable AirPuriferはVoiceONボタンを押すと、本体内部のマイクが声を拾い、本体右下のスピーカーから音を出してくれるのです。うるさいところでの会話時や、マスクをしたままビデオ会議に参加する、といったときもこの機能を使えばクリアな音で会話ができるというわけです。接客業など仕事でマスクが必要な人にも便利な機能と言えそうです。
そして本体とスマートフォンをBluetoothで接続することにより、マスクの使用時間をモニタリングすることも可能。外出時にWearable AirPuriferを顔に装着しても、会社についたら外している時間もあるでしょうから、実際に1日でどれくらいの時間使ったかをアプリで確認できるのです。なお吸気量もリットル単位で表示されるので、自分がマスクを通し1日どれくらいの空気を吸っているかを知ることもできます。
他にも本体全体をUV殺菌できるケース型のクレードルも用意(別売)。Wearable AirPuriferはUSB Type-C端子で充電できますが、このクレードルなら内部に載せるだけで充電が可能です。こちらは1,150香港ドル、約1万7,000円。フルセットで揃えると結構な額になりますが、使い捨てマスクでは不安がある人や、業務でマスクをしなくてはならない人などには安心感を与えてくれるでしょう。
スマートマスクは海外ではすでにいくつかの製品が販売されています。その中でも注目されているのはゲーミングPCを展開しているRazerの「Razer Zephyr」。Razerらしくライティングにより光り、またフィルター部分をあえて目立たせるデザインにしながらも、口元は透明素材で見えるようになっています。日常的に使うにはちょっと派手すぎるデザインですが、ゲーム大会やゲームセンターでゲーマーが使う、なんてファッションアイテムになっていくかもしれません。日本でも1万2,800円で販売予定となっています。
いずれマスクをする必要のなくなる日が戻ってくるでしょうが、花粉症やアレルギー対策にもスマートマスクは使えるでしょう。日常生活を快適にするライフケア製品として、スマートマスクはこれからも新しい製品が次々と生まれてくると思われます。