Appleは6月7日(現地時間)にオンライン開催した開発者カンファレンス「WWDC21」において、ヘルスケア関連の新機能を発表した。iPhoneの次期OS「iOS 15」に組み込まれるもので、自分の健康データをより深く分析できるようになるほか、家族など信頼できる相手と健康データを共有し、離れていても相手の健康状態を見守れるようになる。
家族などの相手と健康データを共有
iOS 15のヘルスケアアプリケーションでは、新たに「共有」タブが加わった。設定により、自分の健康データを、信頼できる相手とプライバシーが保護された方法で共有できる。例えば、離れて暮らす高齢の親の活動量や心臓の健康データをその子どもが確認したり、歩行データを理学療法士と共有したりできる。どのデータを誰に共有するかはユーザー側でコントロール可能。
長期的な健康データから変化を分析
また、ヘルスケアアプリに追加される「トレンド」機能は、安静時心拍数から睡眠、心肺機能など20種類のデータの長期にわたる変化を分析できる。例えば、歩行数が過去4週間の平均値と比べて多い場合にその推移を手軽に表示でき、自分の健康状態の変化を確認しやすいとする。
歩行時の転倒リスクを警告する機能
歩行時のバランスや安定性をチェックし、転倒リスクを警告する「歩行安定性」機能も用意された。
Appleによると、毎年3,700万人以上の人が転倒による治療が必要になっているといい、「歩行安定性」機能では、iPhoneを携行して歩いている時に歩行データを取得することで、ユーザーが転倒リスクに関する分析や警告を受け取れるようになる。
同機能では、iPhoneに組み込まれたモーションセンサーと、カスタム設計のアルゴリズムを使い、歩行時のバランスや安定性などを評価。評価指標にはアメリカ心臓協会とブリガム・アンド・ウイメンズ病院との共同研究であるApple Heart and Movement Studyからの実データが利用されている。
いずれの健康データも、通信中、もしくはパスコードやFace ID/Touch IDでロックしているiPhoneに保存している間は暗号化されている。他者と共有する設定にしたとしても、データ内容はApple側からアクセスできないという。