同心円状のパターンが印刷された「NFCタグ」。健康用磁気シールを連想してしまう外観ですが、表面にはアンテナのパターンが印刷され、適当な場所に貼るだけで誘導磁界により受け取った電力で動作します。だから電池/バッテリーなしに、スマートフォンなどのNFC対応デバイスと通信できます。
7以降/iOS 11以降のiPhoneは、そのNFCタグを読み取ることができます。iOS 13からはNFCタグへの書き込みもサポートされているため、10枚/1,000円程度で販売されているNFCタグにデータを書き込み、「オリジナルNFCタグ」として活用することが可能になりました。
ただし、iOS 14.5の時点では、システム標準の機能/アプリとしてNFCタグへの書き込みはサポートされていません。App Storeから入手した「NFC Tools」などのサードパーティ製アプリを利用し、書き込むことになります。
しかも、NFCタグのデータを読み取りなんらかのアクションを行う場合、電話番号(電話アプリで発信する)やURL(SafariでWEBページを開く)など一部のデータはiOSの機能で対応できますが、あらゆるデータに対し適切に対応できるわけではありません。
たとえば、NFCタグにWi-Fiアクセスポイントの情報を書き込んでも、「Wi-Fi NFC」などのサードパーティ製アプリを用意しないかぎり、iPhoneではWi-Fiアクセスポイントとして自動設定できません。対応するデータ種はAndroid OSのほうが多く、応用しやすいのが現状です。
なお、iOS 13.1以降の「ショートカット」アプリを利用すると、NFCタグに反応して自動化処理を行うことができますが、このアプリはNFCタグ固有のIDをトリガーとして処理を実行するにすぎません。Wi-Fiアクセスポイントやアドレス帳のデータを不特定のスマートフォンに配布する目的には役立たないため、サードパーティ製アプリを利用したほうがいいでしょう。