―― 従来、海外メーカーがグローバル向け端末を日本向けにローカライズするには比較的長い期間を要する印象がありました。GALAXY Sは早かったですね。

オウ氏 グローバル向け端末といっても、すべてが同じものではありません。スマートフォンの場合、だいたい4つに大別できます。ひとつはGSMをベースにしたもの、次にアメリカを中心とするCDMAベース、そして韓国や日本のような独自のプラットフォームに対応させたもの、さらにこれに該当しない"その他"もあります。GALAXY Sを最初に発売したのはスイスで6月初旬でしたが、日本向けモデルは韓国向けをベースにしています。韓国での発売は6月末でしたので、約4カ月で発売できました。会社として、かなり力を入れたのは事実です。GALAXY Tabはグローバルでの発売が9月末で、11月には日本でも発売できたので、さらに早く対応できました。

―― GALAXY Sは欧米や韓国ではOS2.1で発売されましたが、日本ではOS2.2を搭載して発売されました。 それは御社からドコモに提案されたのでしょうか?

オウ氏 ドコモさんに最初に見ていただいたのは2.1を搭載した端末でしたが、「すでに2.2があるのに、2.1で出すのはおかしい。メーカーとしては2.2で出したい」と提案させていただき、ドコモさんにも同意していただきました。

―― ドコモは9月にspモードを始めたばかりでした。OS2.2でspモードに対応させるのは大変だったのでは?

オウ氏 ドコモさんのspモードご担当の方は大変だったと思います。弊社とドコモさんのどちらかがというわけではなく、一緒にやった苦労が多かったです。その結果、より親密になれたし、良い関係も築けたと思います。

―― 日本向けにローカライズする上で、他に苦労されたことはありますか?

阿部氏 技術的な部分ではいろいろありますが、まだまだ頑張らなければならないと思っているのは日本語対応です。これまで日本のメーカーのケータイを使っていて、サムスン端末に機種変更していただいた方が違和感なく使っていただけるようにしなくてはならない。細かい部分では、さらに改善する必要性を感じています。

オウ氏 弊社が日本市場に参入してからの過程は、3つのフェーズに分けられます。参入直後のフェーズ1の段階では、海外向けモデルの英語を日本語に変えてリリースしました。フェーズ2では、端末のデザインを日本向けに変えました。そして、UIなど中身まで変えたのがフェーズ3。日本語のフォントを変えたり、日本の市場ニーズに合わせて防水にしたり…。このフェーズ3のタイミングで出てきたスマートフォンがGALAXY Sでした。

―― フェーズ3までに培ってきたものを、グローバル端末であるGALAXY Sにも反映させた、ということでしょうか?

オウ氏 そうですね。まだ完璧に日本向けになっていない部分もありますが、これからも勉強を続けていきたいと思います。