株式市場に影響を与えるニュースは数多くあります。各企業の業績や不祥事、合併や買収、日銀短観やGDPなどの経済指標の発表、原油安、海外市場の動向などがざっと思い浮かぶはずです。
自然災害も株価に影響を及ぼします。大地震が発生したら、復興需要で仕事が増える土木・建設系や地質調査関連の株が上がりますし、被害を受けた地域に立地している企業の株は下がります。
どんなニュースが出れば、どのように市場が動くかを知っておけば、慌てずに投資ができるはずです。特に経済指標などはわかりにくくてなかなか理解できないという人も多いでしょう。
経済指標やニュースの意味、ニュースが出たときにどう行動すればいいのかを解説します。
震災や国を挙げての大イベントは株価に影響する
個別の企業に関するニュースが株価にどう影響するかはご想像の通りです。ポジティブなニュースが出れば株価は上がりますし、反対にネガティブなニュースなら下がります。
また、自然災害や、オリンピックやサミットなどの大イベントの開催発表も株価に影響します。
株価に影響を与える個別銘柄のニュース
株価に影響を与えるニュースにはこんなものがあります。
株価が上がる ニュース |
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株価が下がる ニュース |
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例えば、ゲーム開発会社のマーベラス<7844>は、2016年3月15日に、人気のスマホ向けゲーム「ディスニー マジックキャッスル ドリーム・アイランド」のダウンロード数が500万件に達したと発表しました。3月15日の株価は初値950円でしたが、終値は969円まで値上がりしました。
国内外の証券会社による目標株価引き下げ・引き上げも大きな影響を与えます。
自然災害や大イベントと株価の関係
企業活動が好調不調に関係なく、予期せぬ自然災害や事故が起こることもあります。
東日本大震災が起こった時には、復興需要を見込んで土木や建設系の企業の株価は上昇しました。
例えば、道路舗装を手がける前田道路<1883>や日本道路<1884>の株価は、2011年3月から大きく上昇しています。
反対に震災時に大きく値を下げたのは、東京ディスニーリゾートを運営するオリエンタルランド<4661>です。
施設が立地している地域周辺の液状化が心配され、3月11日から3月15日にかけて、3月11日の終値比で一時25%以上も値下がりしました。
2020年のオリンピック開催地が東京に決まったときにも、インフラ整備を担当する建設系企業や、会場警備を担当する整備会社、観光客増の恩恵を受ける旅行会社、スポーツ用品メーカーも株価が動きました。
スポーツ用品メーカーのミズノ<8022>は、開催地決定前の2013年9月6日の終値は545円でしたが、決定翌日の9月9日は100円も高い645円で取引が始まったほどです。
経済指標や金融政策の発表と株価
日銀短観やGDPなどの経済指標や、金融緩和政策などが発表された時にも株価は大きく動きます。
こういった経済指標や金融政策の発表は、特定の銘柄だけではなくて、業界全体や、株式市場全体に影響をおよぼすのも特徴です。
「経済指標ってなんだか難しそう」なんて敬遠せずに、しっかり覚えてニュースを理解しましょう。日本だけではなく、海外の指標もチェックしておく必要がありますよ。
株式市場全体に影響する経済指標
日本国内で発表される重要な経済指標には、このようなものがあります。
- 国内総生産(GDP)
- 機械受注
- 日銀短観業況判断(短観)
- 現金給与総額 など
それぞれの指標がいつ公表され、どんな意味を持ち、株価や為替にどう影響するのか知っておくのはとても重要です。
事前に「来週短観が出るけど、こういう結果だったらこの株は売るべきだな」などと準備ができます。
自動車産業など輸出企業が経済を引っ張る日本では、貿易黒字が大きいかどうかも重要です。また、消費が活発かどうかを示す指標として、こんなものもあります。
- 小売業販売額
- 新車販売台数
- 全国百貨店売上高
- 旅行取扱状況
これだけはおさえよう!重要なアメリカの経済指標
雇用統計など、アメリカの経済指標・指数の発表にも、株式市場は敏感に反応します。
経済指標からニュースとアメリカ経済が好調だと判断されれば、ドル高(=円安株高)になる傾向があります。
- 雇用統計(非農業部門雇用者数)
- GDP(国内総生産)
- CPI(消費者物価指数)
マイナス金利政策などの金融緩和策と株の関係
経済指標の発表のほか、新たな金融政策の発表も株式市場に大きな影響を及ぼします。
日銀は金利を引き下げ続けていますが、金利の上下に特に敏感に反応する銘柄を「金利敏感株」とか「金利敏感銘柄」と呼びます。いずれも、金利が下がると株価が上昇します。
- 不動産
- 消費者金融
- 電鉄
- 電力・ガス
大きな建物や設備を必要とする業種は、多額の借入をします。借入には当然利息がつきますが、金利が下がれば利息が少なくなるので、事業にかかるコストが大幅に減り、業績が改善するというわけですね。
金融政策決定会合の開催日に向けて、金利敏感株をマークしておき、事前または即座に買えば、値上がり益を得ることも可能です。
しかし、即座に行動を起こすのは会社員では難しいですよね。でもマイナス金利発表で株価が一時的に下がり、後から盛り返してくる銀行株はどうでしょうか。発表から2日くらい経って上昇に転じたところで買い、じっくり待って値上がり益を得ることができるはずです。
いずれにしろ、金融政策決定会合と定例記者会見は要チェックです。
海外の政治ニュースが日本企業の株価に影響する
個別企業の業績、日本国内の災害やイベント開催のニュース、世界の株式市場の動向が日本市場に影響するというのは、比較的わかりやすいですよね。例えばこんなことが思いつきます。
- 災害が起これば復興関連銘柄や防災関連銘柄が上昇する
- オリンピック開催地周辺が再開発されるので土地や建物を持っている会社の株が上がる
- ニューヨーク株式市場や日経平均先物の価格が下落すると、現物の日経平均も下がる
でも、一見すると株に関係なさそうな海外のニュースも、想像力を働かせると、株価が上がったり下がったりする銘柄が見えてくるんですよ。
中国の一人っ子政策廃止でベビー用品メーカーの株価が上昇
「中国が一人っ子政策を廃止する」というニュースが出たとき、株価が上昇したのは森永乳業<2264>やユニ・チャーム<8113>でした。
森永乳業は粉ミルク、ユニ・チャームは赤ちゃん用おむつのメーカーで、どちらの企業の商品も中国で人気が高まっています。子どもが増えれば、中国での販売がさらに伸びると見込まれて、株価が上がったというわけです。
日本企業が多く進出している新興国のニュースは逐一チェックしておき、日本企業の株価上昇や下落につながるようなものがないか、推測する癖をつけておきたいですね。
アメリカの政策を左右する大統領が誰になるかも要チェック
4年に1度のアメリカ大統領選も、もちろん株式市場に大きな影響をもたらします。
オバマ大統領は「アメリカは世界の警察ではない」と発言するなど、歴代の政権に比べて軍事に力を入れてきませんでした。
しかし海外の紛争に積極的に関与していく方針を掲げる大統領が誕生すれば、軍需を期待して軍事産業に買いが入るでしょう。
そうなれば日本でも、防衛関連銘柄の三菱重工業<7011>やIHI<7013>、沖電気工業<6703>などが買われる可能性があります。
株価に影響するニュースや要素を知っておこう
もしあなたがニュースを全くチェックせず、あるいはニュースの内容を全く理解せずに投資していれば、とんでもない見当違いの投資をすることになりかねません。
反対に、ニュースの内容をしっかり理解すれば「みんなパニックになっているけれど、怖がることはない」とか「このニュースが日本で大々的に報道されたら、この株が上昇するな」などと判断できて冷静に投資ができるはずです。
このカテゴリーでは、株価に影響するニュースや指標と、どんな投資行動に結びつけたらいいのかを知ることができます。
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