NISA(ニーサ)とは、年間360万円以下の投資で得た利益が非課税として優遇される制度です。
NISA口座で株取引すれば税金が免除されておトク。
NISA口座を開設する人は年々増加傾向にあり、金融庁の調査によると2024年3月末で「2,322万以上」ものNISA口座(成長投資枠・つみたて投資枠)が開設されています。
結婚資金や教育資金、住宅購入資金や老後資金など、NISAを活用することで、効率的に準備することも可能です。
2024年からは新NISAもはじまり、ますます使い勝手がよくなりました。
この記事ではNISAの制度について、どんなメリットやデメリットがあるのかといった基本情報から注意点、NISAにおすすめの証券会社まで、初心者がおさえておきたいNISAの概要を説明します。
【NISAのメリット】株で得た利益が非課税に!
NISA(ニーサ)とは少額投資非課税制度のこと。
年間360万円以下(成長投資枠240万円つみたて投資枠120万円)の投資で得た利益が非課税として優遇される制度です。
国民の銀行預金や貯金を投資に使ってもらうことを目的に、2014年にスタート、2024年にさらに使いやすくリニューアルされました。
NISAはイギリスのISA(アイサ、Individual Saivngs Accountの略)をモデルに作られ、英国では1999年の導入以来、国策として高い評価を得ています。
NISA口座は確定申告が不要!
NISAのメリットはなんといっても、360万円までの投資なら株や投資信託などで得た利益(配当金、売却益)の税金がかからないこと。
NISAではない普通の口座(特定口座・一般口座)だと、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAなら非課税になります。
NISA口座か、それ以外の口座かでどれくらい利益に違いが出るのか、具体的に見ていきましょう。
100万円の株を買って、150万円まで値上がりしたときに売ったら、売却益(譲渡益)は50万円です。
特定口座・一般口座で売却益「50万円」が発生した場合、実際に得られる金額は次のとおり。
500,000円
【税金】
500,000円×20.315%=101,575円
【実際に得られる金額】
500,000円-101,575円=398,425円
ところが、NISA口座で、売却益「50万円」が発生した場合、税金はかからないので、50万円まるまる利益としてもらえるのです。
このケースでは利益の差はなんと10万円以上。
さらに非課税ということは、確定申告も必要ありません。確定申告に慣れていない会社員にとっては、手間もかからずありがたい制度であるといえます。
NISAは年間360万円まで!
非課税というメリットがある分、NISAにはいろんな制限があります。
原則1人1口座までしか口座を開設できないこともそのひとつ。
1人1口座しか作れないNISA口座だ。どこの金融機関で作るかよく考えろよ!
その他にも、投資金額に関するルールがいくつかあります。
- 金融商品の購入は年間360万円まで
- 非課税枠の翌年繰越は不可
- 金融商品売却後、1800万円の非課税限度額内で非課税枠が復活
NISA口座では、年間360万円(成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円)までしか株などの金融商品を購入できません。
成長投資枠(一般NISA) | 240万円 |
---|---|
つみたて投資枠(つみたてNISA) | 120万円 |
とはいえ、今までは一般NISAが120万円、つみたてNISAが40万円までだったので、大幅アップとなりますね。
ただし、360万円の非課税枠はその年限りしか使えず、たとえ30万円分余ったとしても次の年に繰り越すことは不可。これは今までのNISAと同じです。
株を買ってその株を売ると、今までは非課税枠が回復することはありませんでしたが、新NISAでは売却した翌年に非課税枠が復活します。これは嬉しいポイントですね。
ただし、年間投資枠の360万円に売却額が上乗せされるわけではなく、1800万円の生涯非課税限度額の中で売却額が復活する形になります。
次の1月になれば、新しい非課税枠が利用できるようになるので、また成長投資枠で240万円までの投資が可能です。
またNISA口座で50万円の株を売却したとしても翌年の投資可能枠が360万円+50万円になることはなく、年間の投資額は最高でも360万円までとなります。
NISAの非課税期間は無期限!
今までのNISAでは非課税期間についての制限がありましたが、新NISAでは非課税期間が無期限になりました。
以前は非課税期間5年を超えるとロールオーバーをするか売却をするか、課税口座に払い出しをするか、検討する必要がありましたが、新NISAではその必要はありません。
新NISAではつみたて投資枠もあり
今までは、一般NISAとつみたてNISAはどちらか一つを選ぶ必要がありました。
しかし2024年から始まった新NISAでは、一般NISAとつみたてNISAの併用が可能です。
年間投資額360万円のうち、120万円はつみたてNISA枠になるので、その分はつみたてで投資する必要があります。
ジュニアNISAは2023年で終了
0歳〜17歳を対象としたジュニアNISAは、2023年に終了しました。
2023年までにジュニアNISAで投資した資産については、18歳になるまでは非課税で保有が可能※ですが、新規の投資はできません。
2024年以降にジュニアNISA口座を持っている子どもが18歳になる場合※、そのジュニアNISA口座が開設してある証券会社に、自動的に新NISAの口座が開設されます。
ただし、2024年から始まる新NISAの口座に、ジュニアNISA口座で保有している上場株式や投資信託などを移管(ロールオーバー)することはできないので注意が必要です。
18歳になったときにジュニアNISAで保有している資産は、特定口座や一般口座への払い出しになりますので、非課税の期間に売却して、成人NISAで資産形成を始めるのも一つの手ですね。
そういう場合は、継続管理勘定に移管することで、子どもが18歳になるまで非課税で保有できます。
「代わりに、子ども名義の新NISA口座で投資したい!」という方もいるかもしれませんが、新NISAの口座は18歳にならないと開設できません。(口座開設する年の1月1日時点で18歳以上の人が開設できます)
ジュニアNISAで投資していた分を、保護者名義の新NISAで運用するのがおすすめですよ。
NISAのデメリットは主に3つ
NISA(ニーサ)の概要やメリットについて紹介しました。
テレビのCMなどでは非課税というメリットだけが強調されていますが、メリットがあればもちろんデメリットもあります。
とくに「NISA口座」と「NISA以外の口座」を同時に運用している人は、次の点に注意してください。
それぞれ詳しく確認しましょう。
NISAのデメリットその1:利益と損を相殺する「損益通算」ができない
NISA以外の口座であれば、投資での利益と損を相殺できます。一方では儲けたけど、もう一方では損した場合に、利益と損を中和できるということです。
上の場合、相殺してプラスマイナス0になりますから、確定申告すれば税金はかかりません。
一方、NISA口座だとこの損益通算ができないのです。
楽天証券のNISA口座内で出る損失は非課税対象なので、SBI証券での利益と相殺することができず確定申告時に20.315%課税されます。
トータルで見ると全く儲けていないのに、NISAでは税金だけ支払い義務が発生してしまうのです。
NISAのデメリットその2:損失を3年間繰り越す「損失繰越」ができない
特定口座や一般口座なら、確定申告をすればその年に出た損失を3年間繰越して、税金の繰越控除を受けられます。
上の場合、損失繰越していれば50万円の損失より20万円の利益のほうが少ないので、今年に出した利益20万円に対して税金はかかりません。
しかしNISAでは、損失繰越ができないのです。
この場合だと、昨年に出したNISAの損失は繰り越すことができないので、今年に出した20万円の利益に対しては「20.315%課税」されてしまいます。
NISA口座とNISA以外の口座を同時に運用しようと考えている人は、デメリットがあることも覚えておいてくださいね。
NISAのデメリットその3:NISAの株は「代用有価証券」にはならない
NISA口座で信用取引※はできず、NISA口座で持っている株は代用有価証券として使えません。
お金や株式を担保に証券会社からお金を借りて、その担保の約3倍の金額の取引が可能になる株式取引のこと。信用取引には、返済期限が6ヶ月と決められている制度信用取引と、証券会社が自由に返済期限を決められる一般信用取引があります。
通常は株も担保(=代用有価証券)に使えるのですが、NISA口座で保有している株は代用有価証券にできません。
興味が出たらすぐ実行!NISA口座開設方法
NISA(ニーサ)の基本概要やメリット・デメリットを理解して、NISAをやってみたい!と思ったら口座を開設しましょう。
まずは口座を開設する金融機関を決めます。NISA口座を開くには、その金融機関に口座を持っている必要があるのです。
各証券会社や銀行では、株式売買手数料も取り扱い商品(株・投資信託)もサービスも多種多様なので、いろいろ比較して検討しましょう。
例えば、銀行では投資信託は購入できますが株は購入できません。また、証券会社によっては投資信託を扱っていないところや、外国株を扱っていないところも。
NISA口座を選ぶ前にチェックすること
- 購入したい金融商品があるか
- 売買手数料が高くないか
証券会社を比較した特集記事「【徹底比較】証券会社のおすすめランキング」で詳細に解説しています。
とはいえ、比較するのは面倒、とにかく1番おすすめの証券会社を知りたい!という人もいますよね。
そんな人のために、筆者が数ある証券会社を徹底的に比較検討し、NISAにおすすめな証券会社をピックアップしました。
【楽天証券】NISA口座開設数No.1!楽天ポイントも使える
新規口座開設数、過去5年累計No.1!楽天ポイントがたまる&使える!
- 取引手数料が無料!
- 楽天ポイントで投資ができる!
- 投資信託のラインナップが豊富
- 使いやすい取引ツールが無料で使える
楽天証券はNISA口座No.1※!
楽天ポイントが投資に使えて、さらに取引でポイントがたまるのもうれしいポイント。
積立残高に応じてポイントも貯まる残高プログラムもあります。
投資信託の積立時&保有時のダブルでポイントが貯まりますよ。
対象は下記のインデックスファンドです。
- 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド
- 楽天・S&P500インデックス・ファンド
- 楽天・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド
- 楽天・日経225インデックス・ファンド
- 楽天・NASDAQ-100インデックス・ファンド
- 楽天・SOXインデックス・ファンド
それに加えて、楽天証券のNISA口座では、国内株式売買手数料がずっと0円、海外ETF※の買い付け手数料は全額キャッシュバックという特典付きです。
上場投資信託のこと。分散投資ができる投資信託としてのメリットと、リアルタイムな時価で取引できる株式としてのメリットを併せもつ、人気の高い金融商品です。
NISAは非課税でただでさえおトクなのに、売買手数料まで無料なんて楽天証券を選ばない手はないですよね。
「まだNISA口座を作っていない」「これから楽天証券でNISA口座を作りたい」という人は、公式サイトをチェックしてみてください!
【SBI証券】投資信託など取り扱い数が業界ナンバー1
口座数1300万以上!「ネット証券の顧客満足度ランキング」(オリコン発表)で何度も1位を獲得
- 取引手数料が無料
- IPO取り扱い実績がNo.1
- VポイントまたはPontaポイント等が貯まる
- 金融商品が多く外国株式は9ヵ国
SBI証券では、NISA口座でIPOにも投資できます。
外国株も豊富なので、いろいろな商品にNISAで投資したい!という人にはSBI証券がおすすめ。
ポイントの取扱も多く、Vポイント、Pontaポイント、dポイント、JALポイント、PayPayポイントが貯められます。
またVポイント、Pontaポイントを使って投資もできますよ!現金を使わずに投資が始められるのはうれしいですね。
「これからSBI証券でNISA口座を作りたい」という人は、こちらから公式サイトをチェックしてみてください。
NISA口座開設までの流れ(ネット証券の例)
証券会社でもNISA口座だけを作ることはできません。
まずは証券総合取引口座(総合口座)を作ってから、NISA口座を開設することになります。
ここでは、SBI証券を例にして、NISA口座開設から取引開始までの流れを見ていきましょう。
- SBI証券のサイトから総合口座を開設(最短1営業日)
- NISA口座開設の書類請求
- 申込書に必要事項を記入して返送
- 税務署での確認作業(1~2週間程度)後、NISA口座開設完了
- 取引開始
NISA口座から特定口座に移すことはできるが、逆は無理なんだ。残念だったな。
非課税のはずのNISAで課税!?知っておきたいNISAの落とし穴
次にNISA(ニーサ)で思いもかけない損をしないために、気をつけておきたい点について紹介します。
次から詳しく見ていきましょう。
配当金の受け取りは株式比例配分方式にしないと課税される
NISA口座を作ったら「配当金等受取方式」を、必ず「株式比例配分方式」にしてください。
配当金受取方式とは、その名の通り「配当金の受け取り方」のことで、いくつか種類があります。
株式比例配分方式 | 証券口座で受け取る |
---|---|
配当金領収証方式 | ゆうちょ銀行や郵便局で「配当金領収証」を持参して受け取る |
登録配当金受領口座方式 | 銀行口座で受け取る |
株式比例配分方式以外だと配当金に課税されてしまいます。
受取方式は口座開設後でも変更できますから、株式比例配分方式以外になっている人は今すぐ変更しましょう。
値下がりしたNISA株を課税口座に移すと利益なしで課税されることも
NISAで購入した株が値下がりしたときも注意が必要。
例えば、NISA株で購入した株が20万円に値下がりしてしまったとします。
そのまま非課税期間が終了し特定口座などの課税口座に移管。その後値上がりすると、値上がり分に税金がかかってしまうのです。
実際には「50万円で買って50万円で売った」ので、全く利益が出ていません。
しかしNISAから移管した後に値上がりしたため、課税されて約60,000円も損してしまいます。
NISA口座内で買ったあとに値下がりした株を、NISA以外の口座に移す場合には気をつけてください。
金融機関を変更しても過去にNISAで購入した分は移管不可
新NISAでも金融機関の変更は可能です。
その年にまだ1回も売買をしていない場合のみ、金融機関を変更できます。
ただし、NISA口座を移した場合でも、過去にNISA口座で買った株や投資信託は、新しい金融機関の口座に移せないことは覚えておいてください。
古い口座は保有と売却専用の口座として残るので、人によっては管理が面倒だと思うかもしれません。
また、金融機関の変更期間にも注意が必要。多くの場合金融機関を変更したい年の前年の10月から当年9月までに手続きを完了する必要があります。
さらに、口座変更手続きには、2~4週間くらいかかることにも注意が必要。
手続き中は株の売買などができないので、購入機会を逃すことにもなりかねません。
ただし同一証券会社内でNISAから特定口座に移し、そこから別の証券会社の特定口座に移すのは可能だぞ。その場合、同一銘柄は全部移す必要がある。
口座ができたら投資デビュー!NISAで買うべき銘柄の特徴2つ
口座が開設できたら、いよいよ取引開始です。
NISAのメリットである「非課税」を活かせる投資は、大きく2パターン。
- 配当金狙い:配当金がたくさんもらえる株を狙う
- 売却益狙い:企業が成長して株価が上がりそうな株を狙う
実際NISA口座で人気があるのも、みずほフィナンシャルグループ、伊藤忠商事、日産自動車などの高配当株です。
テレビ番組の影響で株主優待がある株も人気ですが、株主優待でもらえる企業の自社製品やお米などはもともと非課税。
株主優待だけで選ぶとNISAのメリットが生かせないので、もしNISAで株主優待株を選ぶなら「優待もあって高配当の株」を選ぶのが上手な使い方ですよ。
いろいろ探してみろよ!
上の2パターンに当てはまる株の中から複数の銘柄を選んで投資しましょう。
その方がリスクが分散できておすすめです。
各証券会社で、NISAおすすめ銘柄ランキングも紹介しているので参考にするといいですね。
NISAの非課税枠を存分に活用して資産形成を目指そう
効率的に資産運用ができるので、教育資金や老後資金などを作るためにも活用できます。
ただし、損が出た時でも損益通算や損失繰越ができないというNISA特有のデメリットがあることも覚えておきましょう。
また、NISA口座内で値下がりしてしまった株を特定・一般口座に移すと、株価上昇時に課税されてしまうことがあるので注意が必要です。
2024年度からはじまった新NISAはさらに使い勝手が良くなりました。
NISAに興味が出てきたという人は、まずは証券会社への口座開設から始めましょう。
資産形成のために、ぜひNISAで取引を始めてみてください。