どの株が上がるんだろう?と銘柄を分析するには、知識だけじゃなく時間や手間も必要です。忙しいサラリーマンには、そんな時間なんてない!という人も多いと思いますが、IPO投資ならそこまで知識や時間がなくても、それなりの勝率を上げることができますよ。
株式投資家の中にはIPO投資しかしないという人もいて、一種のお祭りのように盛り上がっています。このようにIPOは昔から人気が高く、注目を集める一大イベントとなっているんです。
IPOがこれほど注目を集める理由は、やはり高い確率で利益を出せるから。通常の銘柄分析と比べてそこまで知識や時間も必要ないので、株初心者にもオススメの投資先だと言えます。
今回は誰でも簡単に挑戦できるIPO投資についてわかりやすく紹介しますので、銘柄選びで苦戦している株初心者の方はまずIPO投資から始めてみましょう。
IPOとは企業が新たに株を売り出す新規公開株
IPO(アイピーオー)とは、Initial Public Offering の略で、簡単に説明すると企業が資金を集めるために、自社の株を新たに一般の投資家へ売り出すことを言います。
その際、株を買ってもらえるよう最初に設定する株の公募価格はあらかじめ安く設定しているので、IPO株が市場に売り出されたときは値が上がりやすいというわけです。
資金を集めたい企業が、証券会社と協議して決める上場前の一時的な株価のことです。公開価格と呼ばれることもあり、基本的に売れ残りが出ないよう安めに設定されるため、上場後は値が上がりやすくなります。
IPO投資とは一般的にこの値上がりを利用する投資手法で、上場前の株を公募価格で手に入れて、市場に売り出された日に初値で売って利益を出します。
IPO銘柄はその多くが公募価格より初値が上回るため、銘柄分析や売買のタイミングで悩む必要がなく利益を出すことができます。
上場初日の最初につく株価のことです。IPO株を初値で売る場合、公募価格より初値が上回れば利益が出て、初値が下回ると損失が出てしまいます。
2023年IPOの勝率は70%!2017年はなんと勝率9割超え
IPO投資は株初心者にも簡単に利益が出せると紹介しましたが、実際にどれぐらい勝率があるか気になりますよね。次は、初値で売った場合に利益が出るかどうか、IPOの過去10年のデータを例に紹介していきましょう。
次の表では、初値が公募価格を上回った場合を勝ち、下回った場合を負けで勝率を集計してみました。このデータを見れば、なぜIPOがそれほど人気が高いのかわかると思います。
年代 | 件数 | 勝敗 | 勝率 |
---|---|---|---|
2023年 | 96件 | 67勝26負3分 | 70% |
2022年 | 91件 | 72勝18負1分 | 79% |
2021年 | 126件 | 104勝20負2分 | 83% |
2020年 | 93件 | 69勝23負1分 | 74% |
2019年 | 86件 | 76勝9負1分 | 88% |
2018年 | 90件 | 80勝9負1分 | 89% |
2017年 | 89件 | 81勝8負0分 | 91% |
2016年 | 83件 | 67勝13負1分 | 81% |
2015年 | 92件 | 82勝8負2分 | 89% |
2014年 | 83件 | 65勝15負3分 | 78% |
2013年 | 60件 | 56勝3負1分 | 93% |
2012年 | 50件 | 39勝11負0分 | 78% |
2011年 | 36件 | 19勝14負3分 | 52% |
2010年 | 22件 | 10勝9負3分 | 45% |
2009年 | 19件 | 13勝4負2分 | 68% |
2008年 | 52件 | 20勝29負3分 | 38% |
2007年 | 121件 | 89勝29負3分 | 73% |
リーマンショックの影響で2008~2011年頃までは、勝率50%付近にとどまっていますが、それ以外は約8割、高い年だと2005年や2013年に勝率90%を超えています。
さらに1回のIPO投資でいくらの利益が出るか、2023年の利益が高かったIPO銘柄トップ5で実際の利益額についても紹介しましょう。
順位 | IPO銘柄 | 利益 |
---|---|---|
1位 | ジーデップ・アドバンス<5885> | +61.7万円 |
2位 | Fusic<5256> | +45.3万円 |
3位 | アイデミー<5577> | +45.1万円 |
4位 | グリッド<5582> | +42.6万円 |
5位 | AeroEdge<7409> | +41.7万円 |
なんとIPO株を初値で売るだけで50万円を超える利益が出る銘柄もあるなんてビックリですね。
こんなに簡単に大きな利益が出せるならIPOの人気が高いのも頷けます。しかし、勝ちがあれば負けもあるということで、次は2023年のIPO株で公募割れした銘柄ランキングを紹介します。
順位 | IPO銘柄 | 損失 |
---|---|---|
1位 | オートサーバー<5589> | -3.9万円 |
2位 | ジェイ・イー・ティ<6228> | -2.1万円 |
3位 | クオルテック<9165> | -2万400円 |
4位 | 成友興業<9170> | -1.8万400円 |
5位 | マーソ<5619> | -1.8万100円 |
利益が出るときは何十万と大きな額だったので、負けるときも損失額が大きいかなと思いきや、意外と控えめな額に思えます。これなら負けてもいいからどんどんIPOに挑戦していきたいと多くの人が考えそうですが、世の中そう甘くはありません。
IPOは人気が高く購入希望者が多いため、手に入れるためには証券会社の抽選で当選しなければいけないんです。
この当選確率は、各IPO銘柄で人気度も違うためバラバラですが、はっきり言ってなかなか当たりません。
しかし、当選確率を少しでも上げるテクニックがあるので紹介しましょう。ここで紹介する方法を知っているか知らないかだけでも当選確率に大きく影響しますので、ぜひ参考にしてください。
IPOの当選確率を上げる裏ワザを紹介します!
IPO株は上がりやすいと言っても、まずは当たらないと買えないので当選確率を上げる必要があります。
- 証券口座を複数開設する
- 資金をできるだけ多く準備する
- 主幹事の会社から応募する
1、証券口座を複数開設する
IPOは証券会社によって取り扱っている銘柄が違います。
できるだけ多くのIPO抽選に当選するためには、できるだけ多くの証券口座を開設するのが一番です。
IPO抽選をよく開催する証券会社を紹介しますので、当選確率を上げるためにも全ての証券会社に口座を開設しましょう。
2、資金をできるだけ多く準備する
IPO抽選に参加するには、当然そのIPO株を購入できるだけの資金が必要になります。
資金が多ければ多いほど、多くのIPO抽選に参加でき、当選する確率も上げることができます。
IPOを購入するのにいったいいくら必要か、過去3年間のIPOの購入必要額毎に集計してみましたので確認しましょう。
~10万円まで | ~30万円まで | ~50万円まで | ~70万円まで | |
---|---|---|---|---|
2016年 | 13 | 58 | 10 | 2 |
2017年 | 12 | 69 | 8 | 1 |
2018年 | 11 | 63 | 15 | 1 |
総計 | 36 | 190 | 33 | 4 |
この表から、約50万円もあれば大抵のIPO銘柄は購入できるとわかります。同時に複数IPO抽選がある場合もあるので、資金は多ければ多いほど抽選に参加でき、当選確率を上げることができます。
3、主幹事の証券会社から応募する
狙っているIPOが複数の証券会社で取り扱っている場合、全ての証券会社に口座を開設して資金を入金しておけばいいですが、そこまで資金に余裕がなく、どこの証券会社からIPO抽選に参加するか選ばなきゃいけない場合もあります。
そんなときは、主幹事の証券会社からIPOに抽選することをオススメします。
Yahoo!ファイナンスの新規上場銘柄一覧から、「引受証券」を確認すると、IPOを取り扱う証券会社と割当比率が表示されます。この割当比率が他より高い証券会社が、そのIPOの主幹事証券会社です。
IPOで売り出される株数は、各証券会社によってバラバラですが、1番多くIPO株を売り出すことができるのが主幹事なので、そこからIPO抽選には参加すれば当選数が多い分、当選確率を上げることができます。
証券会社毎に違うIPO抽選方法を理解して当選確率を上げる!
IPOの当選確率を上げる方法について説明しましたが、そのほか各証券会社独自のサービスや抽選方法があるため、違いを理解してIPO抽選に申し込めば、それだけでも当選確率を上げることができます。
例えば資金力がある人は、資金力が抽選に左右する証券会社がお勧めだし、資金力がない人は申込者全員を公平に抽選してくれる証券会社もあるんです。
このように各証券会社のIPO抽選方法にはそれぞれ違いがあるので、きちんと把握しておきましょう。
- ポイントが使えるSBI証券
- 個人投資家に優しいマネックス証券
- 主幹事を務めるSMBC日興証券
1、ポイントが使えるSBI証券
SBI証券はIPO取り扱い実績が多く、投資家からも人気が高い大手ネット証券会社なので、必ず口座を開設しておきましょう。
SBI証券の特徴は、IPOチャレンジポイントがあることです。IPO抽選で1回はずれる毎に1ポイントもらえるのですが、このポイントを貯めて、ここぞと狙ったIPO抽選時に使用することでIPOチャレンジポイント枠でも申し込みができます。
IPOチャレンジポイント枠とは、ポイントを多く使った人から順にIPOが当選していくシステムです。
SBI証券では取り扱うIPO株の個人投資家分のうち、30%をIPOチャレンジポイント枠として用意しています。
どの程度のポイントを使用すれば当選するかはIPO銘柄の人気度によって違うので明確な基準はありませんが、年間で最も人気の高いIPO銘柄では300ポイントぐらい必要との声もありますので、普段からIPO抽選に参加してコツコツとポイントを貯めておくことをお勧めします。
IPO投資に興味がなくても将来のために今からポイントを貯めておきましょう。
SBI証券について詳しくはこちらのページをご覧ください。
2、個人投資家に優しいマネックス証券
マネックス証券は、IPO投資を行う人は是非口座開設をお勧めしたい証券会社です。SBI証券やSMBC日興証券など多くの証券会社は、IPOを行う企業からIPO株が配分されてもその全てが個人投資家の抽選に利用されるわけではありません。
SBI証券では50%、SMBC日興証券では10%ほどしか抽選に回されず、残りは大口の機関投資家へ回ってしまいます。
そのため抽選に回るIPOの株数は少なくなるのですが、マネックス証券は配分されたIPO株の100%を個人投資家へ回してくれます。
その分、当選数も多くなり当選確率も他の証券会社より高くなるというわけです。マネックス証券について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
3、主幹事を務める野村證券
野村證券はIPOの取り扱い件数が業界トップクラス!
当選確率を上げる方法のところでも紹介しましたが、IPOの主幹事になるとそれだけでIPO株が多く配分されるため、野村證券からIPO抽選に応募すれば当選確率が高くなります。
野村證券のオンライン抽選では資金力に左右されず抽選を受ける事ができるだけでなく、抽選に参加する際、購入資金を口座に準備する必要がありますが野村證券の口座であれば当選した後の購入手続きまでに準備していればいいので、限られた予算の中で効率的にIPO抽選に申し込みする事ができます。
IPOの主幹事実績が非常に多いので、IPO投資をする際には外せない会社と言えるでしょう!
証券会社 | 配分されるIPO株の割合 |
---|---|
主幹事 | 70~85% |
副幹事 | 5~30% |
平幹事 | 0.5~3% |
上の表は配分の例ですので、実際の配分割合とは異なりますが、だいたいこのような割合で配分されるとイメージしておいてください。各IPOの配分割合は、Yahoo!ファイナンスの新規上場銘柄一覧の「引受証券」を確認してください。
公募割れしないIPOを選ぶ3つの方法はこれだ!
IPOの魅力や当選確率の上げ方について説明してきましたが、いくらIPOと言えど勝率は100%ではないので、公募割れしてしまうIPO銘柄もあります。そこで次に公募割れしそうなIPOを見極める3つの方法について紹介しましょう。
- 業績が赤字の銘柄は避ける
- 新規公開株数が多い銘柄は避ける
- 公募価格が仮条件の上限で決まらない銘柄は避ける
1、業績が赤字の銘柄は避ける
IPOの抽選に申し込むとき、もしくは当選後に購入意思を伝えるときに、その銘柄の目論見書の内容を確認するよう証券会社から要求されます。
この目論見書には企業の様々な情報が記載されているのですが、直近の業績を確認してもし赤字の場合はIPO株も公募割れする危険があるので、申し込みや購入は避けましょう。
2、新規公開株数が多い銘柄は避ける
企業によってIPOで売り出す株数は違います。2015年の7月に上場した次の3社をご覧ください。
銘柄名 | コード | 公募価格 | 初値 | 騰落率 | 公開株数 |
---|---|---|---|---|---|
デクセリアルズ | 4980 | 1,600 | 1,550 | -3.12 | 54,049,000 |
アイリッジ | 3917 | 1,200 | 6,350 | +429.17 | 379,500 |
平山 | 7781 | 2,130 | 2,758 | +29.48 | 483,000 |
この3社ですが、デクセリアルズだけ公開株数が多いのがわかります。さらにデクセリアルズだけが公募割れになっていますが、これは公開株数が多過ぎるため初値での売り注文が多く、値が下がってしまったからです。
先ほども説明した目論見書を確認すると公開株数の記載もありますので、他のIPO銘柄と比べて多いか少ないかを確認し、もし極端に多い場合は購入は避けましょう。
3、公募価格が仮条件の上限で決まらない銘柄は避ける
IPOの公募価格を決めるのに機関投資家からヒアリングを行い、1,000~1,250円のように仮条件を設定します。投資家はIPO抽選の際にこの仮条件の範囲で、自分が買いたい価格を申し込むのですが、人気が高いIPO銘柄は当然多くの人が上限の1,250円で申し込みます。
証券会社は投資家のニーズを調査し、公募価格を決めるのですが、人気がないIPO銘柄は1,100円など上限じゃない価格で公募価格が設定されます。
このように人気のないIPO銘柄は、上場初日も人気がなく値が上がらない場合が多いので購入は避けましょう。
IPOは初値で売るだけで利益が出る株初心者向けの投資
抽選に参加しても始めはなかなか当たらないので心が折れそうになるかもしれませんが、できるだけ多くの証券会社に口座を開設し、当選確率を上げることもできるので諦めずコツコツと応募を続けましょう。当たる回数が少なくても、当たれば大きな利益が手に入る可能性があります。
IPOはチャート分析する必要もなく、企業の分析も目論見書の業績や新規公開株数を確認するだけなので、株初心者でも簡単に利益を出すことができます。
IPOのデメリットはなかなか当選しないことですが、今回紹介した方法を実戦すれば、当選確率は2倍にも3倍にも上げることができますので、是非チャレンジしてみてください。
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