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金融データの可視化は人に何をもたらすか? - マネーフォワードの取り組み

[2020/01/24 10:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

可視化することで変わる「意識」と「行動」

終身雇用で企業年金や退職金で保護してきたかつての大企業は、そうしたシステムの1つでもあった。毎年人間ドックに通わせたり、調子が悪そうなら人事がフォローしたりといった保険の仕組みまで提供されていた。

「しかし、今の社会はそれほど安定していませんし、かつてのビジネスモデルが何十年と持つこともありません。だから、自分たちで自分の保険を作らなければならないし、自分たちがこれまで大企業が提供してきた仕組みの”代わり”を作る必要がでてきているのです」(瀧氏)

そんななか、マネーフォワードが取り組んでいるのが、お金に関して漠然とした状態になっているものをデータで可視化/数値化することだ。

「『マネーフォワード ME』は、家計簿というより自動型の”お金の見える化ツール”です。いちばんシンプルな使い方は、生活口座の銀行を1つ登録して、残高変動を見ること。25日に給料が入ると残高が増え、生活するなかでだんだんと減っていきます。そのグラフの山のかたちを3カ月ほどのサイクルで見ていくなかで、自分が何にお金を使っているかを体感できるようになります。そのなかでも、保険と電話は、ほとんどの人が改善して安くできる項目です」(瀧氏)

「マネーフォワード ME」の利用者は、1カ月あたり平均で2万4,450円の収支改善を実感しているという。年換算では約30万円の改善効果が見込めることになる。利用している間に意識も変わり、当初は「家計簿を自動でつけられて便利だ」といった感想でも、4カ月ほど経つと「家計簿をつけておかないと、経済状況が変わったときに節制できないな」と感じるようになるという。

「企業の場合でも同様に、従来は1カ月に1回しか帳簿を見なかった経営者が何となく毎日そわそわして帳簿を見るようになります。良いサービスには、そうした行動の変化がついてくると思っています」(瀧氏)

可視化で「不安」を「課題」に

行動変容は、金融商品を購入するかどうかにも関わる。瀧氏によると、投資信託を初めて買う人がインターネットでいきなりそうすることは少ないという。また、生命保険や信託契約(遺言など)、不動産といった商品もインターネットの情報を基に判断して購入するケースは少ない。購入価格が高いものや効果を知るために長期間を要するもの、そもそも想像がしにくいものはインターネットとの相性は悪いのだ。

「こうした金融商品は、一生デジタルにはなりにくいという前提でビジネスを捉えています。一生の間で5回くらいしかないトランザクションは、目で見て決めたほうが納得がいくもの。データの見える化だけでは行動は変わらないのです」(瀧氏)

そうしたなか、マネーフォワードが新たな行動変容へのトライアルとして取り組んでいるのが、お金の体質改善サービス「マネーフォワード おかねせんせい」だ。同社では過去に、FPが家計の相談にのるWebサイト「Money Ask」や、リアル店舗で家計診断やライフプランの設計、お金の体質改善などをサポートするサービス「mirai talk」を展開してきた。「マネーフォワード おかねせんせい」は、これらのノウハウを活かし、「なぜかお金が貯まらない」「資産運用って難しくてわからない」「お金についてモヤモヤしている」「お金のことを誰かに教えてほしい」といったニーズに応えるサービスだ。具体的には、「マネーフォワード ME」に登録されているデータを分析し、どうすれば目標の金額を貯めることができるのかについて、最適な行動のアドバイスが行われる。 こうした取り組みを紹介した瀧氏は次のように想いを語り、講演を締めくくった。

「私たちの強みは『日本人の平均貯蓄額はいくら』ではなく『あなたの75歳のときの生活費はこれくらいです』と言えることです。実データを見せることで自分ごととして捉えることができ、『不安』が『課題』に変わります。(漠然とした)不安に対するアクションは難しいものですが、課題ならアクションが可能です。私たちの提供するサービスを通じて、(ユーザーが)お金に対してアクションできるようサポートしていきたいと思っています」(瀧氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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