債権回収にAIを導入! データ主導で取り組んだ業務の効率化と自動化

[2018/06/13 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

新たな債権回収ソリューションと自動化の取り組み

まず、ターゲット分析については、顧客単位でデータを集計し、個別の収益、費用、損益を可視化するために、データ分析基盤を構築。さまざまな業務システムからデータを集約・一元化し、顧客40万人について、個別の損益計算(PL)ができるようにしたという。

データ分析基盤の構築

顧客ごとの損益状況に応じてグルーピングを実施し、これを顧客属性(年齢、年収、初回利用日など)をはじめとする約150項目のデータをかけ合わせ、改善に向けた「スコアリングモデル」を構築した。

例えば、施策単価の低い文書・レターのみで回収できる対象を予測することで、電話や訪問による施策費用の削減を図る「文書のみ回収モデル」、法的手続きの回収率向上を図ることで、回収見込みの低い申立てを停止して費用削減を図る「法的手続き回収モデル」、月別返済傾向を予測し、月ごとに督促を強化すべき顧客を選別する「季節要因評価モデル」といった具合だ。こうしたモデルは月1本ペースで構築され、現在は23本のスコアリングモデルを活用しているという。

2つ目の回収行動分析では、支払い約束内容、約束履行状況、文書送付日、交渉履歴などの回収行動に関するデータをデータベース化し、「いつ、誰が、何をしたか。またその結果がどうであったか」を網羅的に把握できるようにした。

ここでは、音声データを活用し、帳簿への入力を省力化したり、FAQや推奨トークスクリプトなど交渉のヒントとなる情報をオペレーターにリアルタイム表示したりする。さらに「交渉ルート分析」や「キーワード分析」など、会話分析に向けた取り組みも実施している。

マイニング機能を活用し、交渉ルートを可視化。また、キーワードを分析することで、回収につながるキーワードやNGワードを明らかにしているという

3つ目のオペレーター分析では、まず、全オペレーターに対して181項目のスキルチェックを実施し、個人ごとのスキルを定性的に評価して可視化した。また、回収行動データを活用して、各オペレーターの督促・交渉後の入金状況を可視化するなど、定量的な評価も実施。オペレーターの業績評価への活用も進めている。個人ごとの特性に応じた能力開発・業務割当を進めることで、人的投資の最適化を狙う。

“鍵”となるのは「自動化」

これらの施策に加え、2018年からはシステムを高度化させる取り組みを推進している。”鍵”は「自動化」である。

まずは、モデル構築の自動化だ。ニューラルネットワークやOLS回帰などの手法を使って、自動再学習やモデル強化過程を自動化している。ここでは、モデル構築が属人化してしまうことを防止すると共に、モデリング手法を多様化していくことを目指すという。

また、督促パターン・シナリオの自動化にも取り組む。これは、無数の属性や状況に応じた督促のシナリオ構築を自動化するもので、予測と最適化によって、回収率を向上させながらコスト削減にもつながるものだという。例えば、人によってメールを出すことが効果的ならば訪問せずに経費を抑える、といったパターンを自動的に選択できるようにしていく。

もう1つの取組みが、アプローチチャネルの拡充と自動化だ。テキストチャットやアウトバウンドIVRといった新しい回収のアプローチチャネルを開発し、チャットボットや自動債務相談などによる作業の自動化を進めている。

ソリューションとしては、ターゲット分析における顧客PL管理システムには「SAS FM(SAS Financial Management)」を、回収行動分析での分析スコアリングやスコアリング自動化には「SAS EG(Enterprise Guide)」「SAS EM(Enterprise Miner)」、ビジュアルレポートや経営ダッシュボードには「SAS VA(Visual Analytics)」を用いている。加えて、督促シナリオの自動化やリアルタイム化に「SAS MA(Marketing Automation)」「SAS MO(Marketing Optimization)」の利用を開始した。

「今後は、イオングループとしてデータ拡充を進め、グループ横断の顧客LTV(ライフタイムバリュー)分析体制を構築していく」と木村氏は展望を語る。例えば、小売業であるイオングループの強みを生かし、大量のPOS購買情報などデータ活用領域をさらに拡大させ、債権回収やマーケティングに反映するといった具合だ。

「そうした多角的な投資判断によって、グループ資産の収益性を最大化していきます。将来的には、テキストチャットやテレワークで多様な人々が活躍できるダイバーシティ社会が実現するでしょう。AIや音声認識技術に取り組み、無人の債権回収コールセンターの実現にも取り組んでいきたいと考えています」(木村氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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