マイナビニュースマイナビ

【新春インタビュー/番外編】携帯3キャリアに聞く「IoTは飛躍するか」 - ソラコム玉川氏が描くIoT市場の拡大予想図

【新春インタビュー/番外編】携帯3キャリアに聞く「IoTは飛躍するか」 - ソラコム玉川氏が描くIoT市場の拡大予想図

[2017/01/04 08:00]佐野正弘 ブックマーク ブックマーク

米国進出やLoRaWANにはどのように取り組むのか

そうした意味でもう1つ注目されるのが、海外展開だ。ソラコムは昨年7月に海外展開を発表しており、11月30日には米国キャリアの回線を用い、米国でSORACOM Airの提供を開始している。海外展開は玉川氏にとっても「やらないといけないこと」であり、当初から海外へ展開することを思い描いていたとのこと。そうした考えが投資家から理解を得て、資金調達が順調に進んだことから、昨年に海外進出の本格化を進めたのだそうだ。

それゆえ海外進出は米国にとどまる訳ではなく、さらに他の国への進出も進めていくとのこと。具体的には、市場規模の大きい米国とヨーロッパ、中国を検討しており、既に現地でのチーム作りや、エコシステムの構築などを始めているとのことだ。

携帯電話のネットワークを活用して自社サービスの利用を広げていくソラコムだが、一方で昨年には、LPWAの通信規格の1つ「LoRaWAN」を推進しているM2Bコミュニケーションズと資本業務提携を結び、LoRaWANへの取り組みを積極化しようとしている。

LoRaWANをはじめとしたLPWAの通信規格は、IoT向けに低速だが省電力で、なおかつ広域をカバーできることなどから、最近導入に向けた動きが相次いでいる。ではなぜ、ソラコムは携帯電話のネットワークだけでなく、LoRaWANにも積極的に取り組むようになったのだろうか。

玉川氏はその理由について、「グローバルに打って出る時、ソラコムのサービスを、無線の通信方式を問わず利用できるよにしたい。そのためにはセルラーの方式だけでなく、最新の通信技術も提供していきたいと思っている」と答えている。その国のネットワーク環境に応じてソラコムのプラットフォームを利用してもらうためには、携帯電話以外の無線通信方式にも対応していく必要があるとの考えのようだ。

LPWAにはNB-IoTやSIGFOXなどいくつかの通信規格が存在するが、ソラコムでは通信モジュール単価が安く、低消費電力であること。そして免許不要な帯域を利用するため参入しやすく、新規事業をやりやすいことなどから、LoRaWANを選択したという。だがそれぞれの通信規格にはメリット・でメリットがあることから、特定の通信方式にこだわるのではなく、携帯電話を含め場面に応じてネットワークを使い分けていく考えのようだ。

先にも触れた通り、ソラコムのシステムの中で最も重要なのは、コアとなるソフトウェアの部分である。それゆえ今後も携帯電話やLoRaWANに限らず、Wi-FiやBluetoothなども含め、他の無線通信規格をサポートしていく可能性も十分あり得ると玉川氏は話している。

基本戦略を維持しながら革新性に取り組む

ソラコムはIoTへの関心の高まりと共に、順調にサービスやパートナーを拡大しているが、一方で「IoT」全体を俯瞰すると、期待感が大きく先行している感が否めない。具体的な成果を打ち出すことができている企業がまだ少なく、IoTの将来を不安視する声があるのも事実だ。

この点について玉川氏は「IoTの市場規模はとてつもなく大きいという実感があり、通信やプラットフォームの部分だけでもすごく大きい規模になると考えている」と話す。今後自動車や建設機械など、さまざまな機器がインターネットに接続することとなるため、そこからデータを収集し、解析するだけでも非常に大きな規模のプラットフォームが必要となることから、IoTに関連した技術は今後大きく伸びると捉えているようだ。

加えて玉川氏は「テクノロジーの潮目が変わってきていて、大きな変化が起きている。現在のITを取り巻く状況は、2000年の頭頃に始まった『Web2.0』に近い動きを示している」と話す。最近注目されているAIや音声認識などの技術が急速にITの技術の中に入り込むことで、世の中が大きく変わるフェーズが訪れていると玉川氏は捉えており、そうした技術変化の影響を受ける形で、IoTを取り巻く環境も今後大きく変わると見ているようだ。

ではそうした変化を迎えつつある今年、ソラコムはどのような取り組みを進めていこうと考えているのだろうか。玉川氏は「運用コストを下げて低料金で顧客に利用してもらえるサービスを提供するという、基本的な戦略は変わらない」と話しており、既存のサービスの拡充を進めつつも、昨年打ち出した海外展開やLoRaWANなどの取り組みを着実に進めていく方針のようだ。

しかし玉川氏は「愚直に使えるサービスを提供することを目標としてやっていきたい。今後もサービスの拡充を進めていく」とも話しており、昨年30種類以上増やした機能やサービスを一層拡充していくのに加え、さまざまな無線テクノロジーのサポートを積極的に進め、さらに国内外でパートナーとの協業を進めてグローバルでのエコシステム拡大にも取り組むなど、意欲的な取り組みもしていきたいとしている。

最後に玉川氏は、「クラウドにコアを持ち、それを基軸にサービスを提供するような会社は、世界中を見ても今のところ存在していない。その先行者利益を失わないようにしつつ、規模を拡大しながらも、新しいことを始める能力を落とさないようにしたい」と、今年の抱負を述べている。

昨年海外進出を打ち出すなど大きな勝負に出てきたソラコムだが、2017年もIT業界全体で、IoTに関する取り組みは加速していくと見られるだけに、ビジネスチャンスは大きく広がることが予想される。ソラコムならではの革新的なサービスによってそのチャンスを確実にものにできるかどうかが、今年は一層大きく問われることになりそうだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

もっと知りたい!こちらもオススメ

ソラコム、米国でのサービス提供開始と新サービス「SORACOM Harvest」を発表

ソラコム、米国でのサービス提供開始と新サービス「SORACOM Harvest」を発表

ソラコムは11月30日、米国においてIoT通信プラットフォーム「SORACOM」のサービス提供を開始するとともに、同プラットフォームの新サービス「SORACOM Harvest」を日米同時に提供開始すると発表した。

関連リンク

この記事に興味を持ったら"いいね!"を Click
Facebook で TECH+ の人気記事をお届けします
注目の特集/連載
[解説動画] Googleアナリティクス分析&活用講座 - Webサイト改善の正しい考え方
Google Workspaceをビジネスで活用する
ニューノーマル時代のオウンドメディア戦略
ミッションステートメント
教えてカナコさん! これならわかるAI入門
AWSではじめる機械学習 ~サービスを知り、実装を学ぶ~
Kubernetes入門
SAFeでつくる「DXに強い組織」~企業の課題を解決する13のアプローチ~
AWSで作るマイクロサービス
マイナビニュース スペシャルセミナー 講演レポート/当日講演資料 まとめ
セキュリティアワード特設ページ

一覧はこちら

今注目のIT用語の意味を事典でチェック!

一覧はこちら

会員登録(無料)

ページの先頭に戻る