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エアコンの電気代はいくらかかる?節約に効果的な使い方や計算方法も紹介

エアコンの電気代

エアコン稼働時間が長くなる時期は、家庭の電気代が高くなりがちです。

近年は電気料金の高騰もあり、エアコンの電気代を少しでも節約したい人は多くいます。

本記事では、エアコンの電気代について以下の内容を解説しました。

  • エアコン電気代の計算方法と季節別電気代目安
  • エアコンはつけっぱなしにした方が電気代は安い?
  • エアコンの電気代を節約するコツ
  • エアコンの電気代に関するよくある質問

エアコン電気代の計算方法だけでなく、1時間や1日単位の目安料金も紹介しているので、節約目標を立てやすいです。

節約のコツも9つ取り上げたので、夏や冬に電気代を安くしたい人は参考にして、可能な方法から試しましょう。

目次

エアコンの電気代の計算方法と季節別の電気代!1時間や1日単位の目安も

エアコンの1時間あたりの電気代は、以下の式で計算できます。

消費電力(kW)×電気料金単価(円/kWh)

電気料金単価は電力会社やプランにより異なるため、契約内容を確認しましょう。

家電メーカーが電気代の目安を計算するときは、全国家庭電気製品公正取引協議会(家電公取協)が定める目安単価を利用しています。

令和7年現在の目安単価は31円/kWhです。(※参照元:家電公取協

消費電力は、使っているエアコンの取扱説明書の最終ページ近くにある「仕様」の項目を確認しましょう。

消費電力は、メーカーや商品によってkW(キロワット)表示とW(ワット)表示があります。

1kW(キロワット)=1,000W(ワット)

W(ワット)表示のときは、単位をkWに調整してから計算しましょう。

シャープのルームエアコン「AY-F40TD」の仕様表を例に、どの項目を見て計算するべきか解説します。

ルームエアコン取扱説明書の画像
引用:ルームエアコン取扱説明書

計算に使うのは消費電力の項目です。

能力(kW)の項目は、冷房能力であれば1時間にどれだけの熱を奪えるか数値化したもので、電気代の計算には使いません。

消費電力の項目を以下に抜粋しました。

運転方法 消費電力(W) 計算に使う消費電力(kW)
冷房 1280W(160W~1600W) 1.28kW
暖房 1450W(160W~2000W) 1.45kW

消費電力は冷房運転と暖房運転で異なるため、季節に応じて計算に使う数字が変わります。

カッコ内の消費電力に大きな差があるのは、設定温度と室温との差が大きいほど消費電力が大きくなるためです。

計算には平均値を利用し、単位はkWに換算します。

電気料金の目安単価をもとに計算すると、冷房と暖房それぞれの1時間あたりの電気代は以下の通りです。

運転方法 1時間あたりの電気代
冷房 1.28kW×31円/kW=39.68円
暖房 1.45kW×31円/kW=44.95円

冷房は1時間あたり約40円、暖房は約45円との結果が出ました。

上記の計算例をもとに、家庭で使っているエアコンの電気代を計算しましょう。

エアコンの電気代について、部屋の広さや季節別の目安を知っておくと節電に繋げやすいです。

消費電力はエアコンの性能と部屋の広さにより異なる

エアコンは部屋の広さに応じて適した性能があり、広い部屋用の機種ほど消費電力は大きいです。

部屋の広さごとに、消費電力と1時間あたりの電気代の目安を一覧表にした結果は以下の通り。

部屋の広さ 1時間あたりの電気代
冷房(消費電力目安) 暖房(消費電力目安)
6畳 15.55円(500W) 15.00円(484W)
8畳 17.89円(577W) 17.73円(572W)
10畳 19.99円(645W) 24.55円(792W)
12畳 31.99円(1,032W) 31.53円(1,017W)
14畳 34.32円(1,107W) 38.97円(1,257W)
18畳 57.53円(1,856W) 54.37円(1,754W)
20畳 76.38円(2,464W) 71.58円(2,309W)

数値参照元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版
※それぞれの消費電力平均値と電気料金目安単価31円/kWhから算出
※冷房:外気温35℃・設定温度27℃、暖房:外気温7℃・設定温度20℃を想定

畳数による差のほか、エアコンそのものの性能によっても消費電力は大きく異なります。

例えば6畳用エアコンの冷房消費電力平均は500Wですが、最も省エネの機種では385Wしか消費しません。

省エネ性能が低いエアコンだと、同じ6畳用でも消費電力が655Wと10畳用の平均値並みに電気代がかかります。

今からエアコンの購入を考えているなら、本体価格だけでなく掲示されている消費電力にも注目しましょう。

部屋の広さに適したエアコンを使わないと電気代は高くなる

電気代やエアコン購入費を安くしたいからといって、6畳用のエアコンを12畳の部屋で使っても効率よく温度調節ができません。

エアコンは電源を入れてから設定温度に達するまでが、最も電力を消費するタイミングです。

設定温度に到達するまで時間がかかって消費電力が上がるだけでなく、温度を維持するにも常に消費電力の高い状態が続きます。

エアコンへの負荷もかかりやすく、購入後早くに故障する可能性も。

エアコン性能に対して部屋が小さすぎるときは、冷え過ぎや暖まり過ぎになりやすく電気代を節約しにくいです。

どちらのケースも電気代、エアコン本体代ともに節約につながりにくいため、必ず部屋の大きさに合った機種を選びましょう。

夏のエアコン電気代は1日あたりいくら?

夏に冷房を使うときのエアコン電気代を、1日あたりの使用時間ごとに算出した結果は以下の通りです。

部屋の広さ 1日あたりの使用時間
6時間 12時間 18時間
6畳 93.3円 186.6円 279円
8畳 107.34円 214.68円 322.02円
10畳 119.94円 239.88円 359.82円
12畳 191.94円 383.88円 575.82円
14畳 205.92円 411.84円 617.76円
18畳 345.18円 690.36円 1035.54円
20畳 458.28円 916.56円 1374.84円

数値参照元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版
※消費電力平均値と電気料金目安単価31円/kWhから算出
※外気温35℃、設定温度27℃

一人暮らしで6畳や8畳の部屋に住んでいるなら、高額の電気代の請求を受ける可能性は低いです。

部屋が大きくエアコンの運転時間も長ければ、1日あたり1,000円前後かかる可能性もあります。

電気代の目安を知って、請求が来たときに「支払えない」「生活が圧迫される」といった心配がないよう、余裕をもって備えましょう。

一人暮らしのエアコン電気代の目安

夜帰宅してから就寝前までしかエアコンをつけない1人暮らしの人は、1日の電気代は100円前後におさまります。

8畳のワンルームマンションであれば、1ヶ月で約3,200円程度が目安です。

しかし近年の夏は真夜中でも気温が高く、エアコンをつけないと寝苦しい日が少なくありません。

夕方帰宅してから朝方までエアコンをつけ続けると、1日あたり200円強で、1ヶ月6,000円以上の電気代がかかります。

仕事がリモートワークの人や自宅で作業をするフリーランスなど、在宅時間が長いと1日のエアコン電気代が300円以上になる可能性が高いです。

戸建て住宅のエアコン電気代の目安

戸建て住宅のエアコン電気代は、部屋の広さや稼働台数により大きく異なります。

14畳のリビングで6時間、8畳の寝室で6時間使うなら、エアコン電気代は1日あたり約310円で1ヶ月に換算すると約9,300円です。

複数ある子ども部屋すべてでエアコンを使ったり、日中もずっとリビングで過ごしたりする家庭は、夏のエアコン電気代が高くなりがち。

例えば14畳のリビングで毎日18時間冷房を使い続けると、1ヶ月のエアコン電気代は18,000円を超えます。

特定の時間はリビングに集まって子ども部屋のエアコンを切る、買い物に出るなら全員で出てエアコンを使わないといった工夫で、電気代を下げましょう。

冷房と除湿どちらが省エネかは単純に比較できない

エアコンは冷房より除湿の方が省エネになるかは、稼働時の温度や除湿方式により異なります。

エアコンの除湿機能は、湿度が高い部屋の空気を取り込んで冷やして余計な水分を取り除きます。

部屋に送り出す方法が除湿方式により異なり、中には冷房よりも電気代が高くなるケースも。

エアコンによる除湿方式の種類と特徴は以下の通りです。

除湿方式 特徴
再熱除湿方式 ・冷やした空気を再度加熱して部屋に送り出す
・温度は下がらないが、除湿されたと実感しやすい
・冷房よりも消費電力が多い
弱冷房除湿方式 ・弱冷房で冷やして水分を取り除いた空気を部屋に送り出す
・冷房よりも消費電力は少ない
ハイブリッド方式 ・冷やした空気に室内の空気を混ぜて戻す
・冷房より消費電力は少ない

除湿が再熱除湿方式だと、冷やしたあと暖めの工程があるため冷房よりも電気代が高くなりやすいです。

弱冷房除湿方式やハイブリッド方式のときは、冷房ほど空気を冷やさないため消費電力は抑えられます。

例えば日立のエアコンは方式別に除湿モードが異なるため、目的に合わせて使い分けやすいです。

  • 再熱除湿方式:カラッと除湿
  • 弱冷房方式:ソフト除湿など、他の除湿機能

参照元:日立

DAIKIN(ダイキン)では弱冷房方式を「ドライ」、再熱除湿方式やハイブリッド式を「除湿」と区別しています。

他社では「除湿」としか記載がなく、どの方式か分からないケースも多いです。

除湿の具体的な消費電力も記載されていないため、省エネ目的で除湿を選んでもどれほど節約効果があるかは分かりません。

冷房運転では自然に湿度が下がるため、温度と湿度ともに不快な状態なら冷房運転を選びましょう。

冬のエアコン電気代は冷房よりも高くなりがち

冬の暖房にかかるエアコン電気代は、夏の冷房よりも高くなりやすい傾向です。

冷房期間中と暖房期間中の消費電力量を比較すると、部屋の広さに関わらず暖房の方が2倍以上多くなります。

部屋の広さ 期間消費電力量
暖房期間
(11月8日~4月16日)
冷房期間
(5月23日~10月4日)
6畳 475kW 203kW
10畳 607kW 251kW
18畳 1,345kW 582kW

引用元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版

ただし仕様に記載された暖房運転時の消費電力だけを比較すると、冷房よりも少ない機種が多いです。

暖房のエアコン電気代が高くなりやすい原因は、外気温との差や使用時間の長さにあります。

暖房は外の空気から熱を作って暖かい風を室内に送るため、外気温が低いほど消費電力は大きいです。

夏の朝はエアコンなしで過ごせますが、冬の朝は起きる前から暖房を使用するケースもあります。

冬のエアコン電気代が1日あたりどの程度になるのか、使用時間ごとにまとめた結果は以下の通りです。

部屋の広さ 1日あたりの使用時間
6時間 12時間 18時間
6畳 90円 180円 270円
8畳 106.38円 212.76円 319.14円
10畳 147.3円 294.6円 441.9円
12畳 189.18円 378.36円 567.54円
14畳 233.82円 467.64円 701.46円
18畳 326.22円 652.44円 978.66円
20畳 429.48円 858.96円 1288.44円

数値参照元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版
※消費電力平均値と電気料金目安単価31円/kWhから算出
※外気温7℃、設定温度20℃

部屋の広さによって目安の金額は大きく異なるため、自分の家庭の部屋の大きさや部屋数を元に電気代の目安をチェックしましょう。

一人暮らしのエアコン電気代の目安

一人暮らしで在宅時間が少ない人なら、1日あたりのエアコン電気代は100円程度におさめられる可能性があります。

深夜や早朝に暖房で部屋を暖めるなら、1日200円程かかる可能性も。

8畳間のワンルームマンションで1日平均12時間使用したときは、1ヶ月の電気代は約6,400円です。

戸建て住宅のエアコン電気代の目安

戸建て住宅の冬のエアコン電気代は、夏の冷房と同じくエアコンの台数や稼働時間により大きく異なります。

暖房使用時間が14畳のリビングと8畳の寝室でそれぞれ6時間の家庭では、1日のエアコン電気代は約340円、1ヶ月約1万円です。

上記のケースに加え、6畳の子ども部屋2つでも6時間エアコンを稼働させるときの電気代は1日約520円、1ヶ月約15,600円となります。

エアコンと他の暖房器具はどちらが節約になるか比較

空間全体を暖めるエアコンに対し、直接暖かさを感じられるこたつや電気ヒーターを使った方が節約になるのか比較します。

楽天市場の売れ筋ランキング上位商品をピックアップした結果、消費電力は以下の通りです。

暖房器具の消費電力

商品 消費電力
ハロゲンヒーターこたつ(80cm×120cm) 600W
石英管ヒーターこたつ(70cm×105cm) 300W
遠赤外線ヒーターこたつ(80cm×80cm) 510W
遠赤外線電気ストーブ 450W・900W
カーボンヒーター電気ストーブ 400W・800W
セラミックファンヒーター 600W・1200W

エアコンを暖房で運転したときの消費電力は、部屋の広さごとに以下の通りです。

部屋の広さ 消費電力
6畳 484W
8畳 572W
10畳 792W
12畳 1,017W
14畳 1,257W
18畳 1,754W
20畳 2,309W

引用元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2024年版

8畳未満の部屋なら、同じ時間使用するときはエアコンと暖房器具のどちらを使っても大差はありません。

部屋全体を暖めたいときはエアコン、直接暖を取りたいときは暖房器具を使用しましょう。

セラミックファンヒーターは、強の状態で運転し続けるとエアコンよりも電気代が高くなる可能性もあります。

暖房器具は機種によっても消費電力が大きく異なるため、節約を意識するなら仕様を事前に確認しましょう。

14畳以上あるリビングでエアコンを使い続けると、常に1200W以上の消費電力となり電気代が高く感じやすいです。

電気ヒーターで足もとを暖めたりこたつを使ったりして、消費電力を抑えましょう。

エアコンはつけっぱなしだと電気代が安くなる?消費電力や特徴を確認しよう

エアコンのつけっぱなしは、場合によってはこまめに電源を切るより電気代が安くなります。

エアコンは運転開始時の消費電力が、つけっぱなしで消費するより多くなるケースがあるためです。

しかし消費電力を抑えようとずっとエアコンをつけっぱなしにしておくのは、メリットだけでなくデメリットもあります。

エアコンの消費電力について特徴を知り、どのように使えば節約につながるのか確認しましょう。

エアコンは運転開始時に電気を多く消費する

エアコンの運転開始時は、暖房と冷房ともに最も多くの電気を消費して、時間あたりの電気代も高くなります。

設定温度までの温度差が最も大きく、フルパワー運転となるのが原因です。

特に真夏の日中や真冬の夜間~早朝は設定温度と室温の差が大きく、フルパワー運転時の消費電力も大きくなります。

電源を入れてすぐの稼働音が大きい間は、消費電力も大きい傾向です。

設定温度に到達すると温度をキープする運転に移り、消費電力も落ち着きます。

エアコン1時間ごとの電気代のグラフ
引用元:エアコン1時間ごとの電気代はいくら?夏の冷房(クーラー)・除湿(ドライ)の省エネな使い方も解説 | エアコン | Panasonic

自動で控えめ運転になる技術はインバーターと呼ばれ、日本で発売されている家庭用エアコンには100%搭載されています。

2~30年以上前の古いクーラーを使っていない限り、家庭に設置されているのはインバーターエアコンです。

一度電源をオフにすると室温は設定温度から離れ、オンにしたときは再び消費電力が大きいフルパワー運転から始まります。

こまめにオンとオフを繰り返せばいいわけでもないので、短時間の外出時にはエアコンをつけたままにする対策も行いましょう。

※参照元:一般社団法人 日本冷凍空調工業会

外気温と停止させたい時間でつけっぱなしにするか判断する

エアコンをつけっぱなしにした方が省エネになるかは、外気温と停止させたい時間により異なります。

ただつけっぱなしにするだけでは電気代が無駄にかかりがちなので、どう使えば省エネになるかを事前に知っておきましょう。

大手エアコンメーカーのDAIKIN(ダイキン)が実施した実験によると、以下の使い方が省エネに繋がるとの結果が出ました。

  • 夏の日中で30分以内の外出なら消さない
  • 夏の18時以降はこまめに消す
  • 冬は1時間以内の外出ならつけっぱなしにする

季節と時間帯によって行うべき対策が違うので、確認して適切な対応を行いましょう。

夏の日中(9時~18時)は30分以内の外出ならつけっぱなしが省エネ

夏の日中は、30分おきに電源を入れたり消したりするよりつけっぱなしの方が消費電力は抑えられます。

外気温の高さに加え、窓からの日射で室内温度が高くなりやすいためです。

ゴミ捨てや近くのコンビニへの買い物といった、ちょっとした外出ならエアコンはつけっぱなしにしましょう。

夏の18時以降はこまめに切った方が省エネになる可能性がある

日没後で外気温が下がってからは室内温度との差が小さくなり、電源をこまめに切った方が省エネになるケースもあります。

室内に人が多いときは、1人しかしないときよりも室内温度は上がりやすいです。

近年は熱帯夜になる日も増えているため、熱中症予防のため我慢してエアコンを切るのは避けましょう。

冬は時間帯を問わずつけっぱなしの方が節約につながりやすい

冬の暖房は、30分間隔で電源のオン・オフを繰り返すよりつけっぱなしの方が消費電力は少ないです。

少しの時間外出するだけなら、エアコンはつけっぱなしにしましょう。

外気温と設定温度の差が夏よりも大きいため、エアコンを切ると部屋が冷えるのは早く、起動時の消費電力も大きくなりがちです。

ただし断熱性能が高い家や1時間以上外出するときは、電源をオフにした方が節約になるケースもあります。

30分はあくまで目安と考え、住環境や生活スタイルに合わせてエアコンの使い方を調節しましょう。

※参照元:DAIKIN|mission5-1 夏のエアコンつけっぱなし検証!mission5-2 冬のエアコンつけっぱなし検証!

エアコンをつけっぱなしにしたときのメリットとデメリット

エアコンのつけっぱなしには、メリットとデメリットの両面があります。

エアコンをつけっぱなしにするメリットは以下の通りです。

  • いつでも快適な室内温度が保たれる
  • 暑すぎや寒すぎで夜中に目が覚めない
  • 消し忘れの心配がいらない

エアコンをつけっぱなしで外出すると、帰宅してからすぐに快適な温度で過ごせます。

夜中もつけっぱなしにしておくと、暑くて寝苦しかったり寒さで足もとが凍えたりしません。

こまめに電源を切っていると、外出時にエアコンを消したか気になりがちです。

こまめな電源のオンとオフには、不快な温度で我慢したり外出先でストレスを感じたりとデメリットもあります。

1日通して快適に過ごせるのが、エアコンつけっぱなしの大きなメリットです。

24時間常につけっぱなしのときは、電気代以外に以下のデメリットがあります。

  • エアコン本体内部に湿気が溜まりカビが発生しやすくなる
  • 室内が乾燥する
  • エアコンに負荷がかかり続けて製品寿命を縮める

エアコンは、冷房と暖房のどちらでも本体内部に水が発生します。

取り込み続ける空気にはホコリや油分も含まれるため、汚れがこびり付いてカビが発生しやすいです。

カビや汚れが付着したままエアコンをつけっぱなしにすると、性能低下や故障の原因になります。

エアコンは乾いた空気を室内に放出するため、常につけっぱなしのときは室内が乾燥しがちです。

夜間もずっとつけっぱなしだと、喉の調子が悪くなったり肌や髪の乾燥が気になったりするケースも。

常に稼働し続けると、こまめに切るより内部部品の消耗が早く製品寿命が縮む恐れもあります。

1日数時間はエアコンを切り、内部クリーン機能を作動させたり部品を休ませたりしてエアコンの性能維持を心がけましょう。

エアコンの電気代節約に役立つ9つのコツ!サーキュレーターの購入や窓の断熱対策も有効

エアコンの電気代節約に役立つ、9つのコツは以下の通りです。

今すぐお金をかけずにできるのは、エアコンの風量設定やフィルター掃除です。

室外機周辺は物を置かず、汚れが付着しそうなものは避けましょう。

ある程度費用をかけてもいい人は、サーキュレーターの購入や窓の断熱対策が電気代節約に有効です。

家の電気代そのものが高いと感じるときは、電力会社の乗り換えや契約プランの見直しも検討しましょう。

風量設定は微風よりも自動運転の方が節約につながりやすい

エアコンは設定温度をキープする仕組みのため、風量設定は自動運転の方が節約につながりやすいです。

自動運転でエアコンを起動すると、設定温度に到達するまで稼働音が大きく吹き出す風も強くなります。

「強風は電気代が高そう」「もったいない」と微風にすると、いつまでも設定温度にならず消費電力が高い状態に。

自動運転なら、設定温度になれば自動的に微風になり消費電力も抑えられます。

設定温度で暑いときは先に強風を試す

夏場でエアコンの稼働音が静かになっても部屋が暑いときは、設定温度を下げずに風量を強風にしてみましょう。

設定温度を変えると、エアコン内部のコンプレッサー(圧縮機)が働きを強めて消費電力量が上がります。

風量を強風にしてもファンを回す速度が上がるだけのため、設定温度を下げるより消費電力量は少ないです。

強風運転でも暑いと感じるなら、設定温度を下げましょう。

サーキュレーターで冷気や暖気を効率よく循環させる

エアコンと一緒にサーキュレーターを使用すると、部屋の中の温度が均一になり 冷暖房効率が上がります。

サーキュレーターは空気を循環させるための家電で、扇風機でも代用可能です。

消費電力は30W程度とエアコンと比べて大幅に低く、6時間連続使用しても電気代はわずか6円程度です。

空気の循環がない部屋では、暖気は上部に溜まり冷たい空気は下に溜まります。

エアコンの温度センサーは天井付近にあるため、夏は冷房が強くなり過ぎる原因に。

冬は暖房をつけても足もとが冷えやすく、設定温度よりも寒いと感じやすいです。

部屋の間取りや家具の配置によっては、エアコンの冷気や暖気が届きにくい場所が生まれます。

スイング運転や風向きの変更だけでは限度があるため、エアコンの効きが悪いときはサーキュレーターを試しましょう。

タイマー設定すれば省エネ温度でも帰宅後すぐに快適

帰宅後早く快適な温度の部屋で過ごしたい人は、入タイマーを活用しましょう。

帰宅時間の30分程度前からエアコンを稼働させれば、省エネの温度設定でも部屋は快適な温度になります。

帰宅してから設定温度を変えてフル稼働させると、電気代は高くなりがちです。

近年はスマホから遠隔操作できるエアコンもあるため、対応機種を使っている人は帰宅時間に合わせてエアコンの電源を入れると無駄がありません。

夏の熱帯夜対策でエアコンを使うときは、つけっぱなしにせず切タイマーを活用すると省エネにつながります。

夜から夜明け前にかけて気温はどんどん下がるため、エアコンをつけっぱなしにしなくても問題なく眠れる日もあります。

天気予報を確認し、温度が下がりそうな日は就寝中にエアコンの運転が終了するよう設定しましょう。

一人暮らしなら局所的に快適温度にする家電も併用する

一人暮らしや、広いリビングで一人だけで過ごす時間が長い人は、局所的に快適温度になる家電も併用しましょう。

消費電力が少ない冷房家電と暖房家電は以下の通りです。

種類 詳細
冷房代わりになる家電 ・ポータブルクーラー
・扇風機
・タワーファン
暖房代わりになる家電 ・パネルヒーター
・電気ブランケット

冷房代わりになるポータブルクーラーは、部屋全体ではなく風が当たる場所だけを涼しくする家電です。

小型の機種を選ぶと消費電力は200W以下で、エアコンよりも電気代の節約になります。

体感温度を下げたい人は、風量が細かく設定できる扇風機やタワーファンを選びましょう。

タワーファンは縦型の羽根がない送風機で、子どもやペットのいる家庭でも安全に使用できます。

暖房代わりになるパネルヒーターは、消費電力が150~200W程度しかありません。

足もとを暖めるほか、座椅子に座っているときは背面から上半身全体が暖められます。

電気ブランケットも消費電力は50W程度と、エアコンに比べると大きく電気代が節約可能です。

部屋は暖まらないものの、全身温めたいときは電気毛布のような大判タイプもあります。

部屋の中では1ヶ所に留まりがちな人は、エアコン以外の方法も併用して快適に電気代を節約しましょう。

遮光カーテンや断熱シートで窓の断熱性能を上げる

窓は壁面と比べて外気温の影響を受けやすく、熱が出入りしやすいです。

夏場は日射により室温が上がり、冬は冷気が入って寒く感じられます。

窓をトリプルガラスに取り替えたり二重窓にしたりすると断熱性能は上がりますが、費用は高額です。

あまり費用をかけずエアコンの電気代節約につなげたい人は、以下の対策を試しましょう。

  • 窓に断熱シートを張る
  • 遮光や遮熱機能があるカーテンに買い替える

断熱シートには様々なタイプがあり、不透明で遮光できるタイプからインテリア性の高い柄物もあります。

価格は窓1枚あたり1,000円~3,000円程度で、ネット通販やホームセンターで購入可能です。

断熱シートでは見た目が気になる人は、遮光や遮熱機能付きのカーテンを検討しましょう。

床面やサイドにすき間を作らないよう、窓枠にぴったり合うサイズを選ぶのが重要です。

構造的にサイドのすき間が閉じられないときは、カーテンのすき間対策用マグネットが販売されています。

カーテンの横幅に余裕があるときは、両サイドのフックをレースカーテン側のレールに取りつけましょう。

費用をかけずにカーテンのすき間対策ができて、冷気や熱気の侵入が防げます。

エアコン本体のフィルターのホコリはこまめに取り除く

エアコン本体のフィルターには、空気を吸い込むときにホコリや油汚れが付着します。

2週間に1回を目安に、フィルターを取り外してホコリを掃除機で吸い取りましょう。

目詰まりしたフィルターでは、空気を取り込むのに余計なエネルギーが必要です。

資源エネルギー庁によると、フィルターを月に1~2回掃除するだけで年間31.95kWh、金額にして約990円の節約につながります。

掃除機でホコリを取る程度なら数分もかからず終わるので、週末や月末に掃除すると決めて習慣化しましょう。

※参照元:資源エネルギー庁|省エネポータルサイト

エアコン内部の自己流掃除はおすすめしない

フィルターだけではすべてのホコリや汚れを受け止められず、エアコンの内部にもホコリやカビは付着します。

自動クリーン機能付きのエアコンなら、電気代を気にせず定期的に作動させましょう。

クリーン機能を使わないと、カビやホコリが内部部品にこびり付いて性能低下や故障の原因になりやすいです。

電源オフ後に作動する機種では、運転が止まっていないと勘違いして強制的に電源を落とさないようにしましょう。

自動クリーン機能がないエアコンは、内部掃除を自己流で行うと故障の原因になりやすいです。

フィルターや外側以外の部分を綺麗にしたいときは、専用の掃除用具や知識があるハウスクリーニング業者に依頼しましょう。

室外機への直射日光を避けて風通しをよくする

エアコンの室外機には以下の役割があるため、風通しの良さを重視しましょう。

運転方法 仕組み
冷房 エアコン本体が室内の空気を取り込んで冷やし、発生した熱は室外機から屋外に排出
暖房 ・室外機内部の熱交換器で外気の熱を集め、室内のエアコン本体に送る
・室内で熱を放出後、室外機から屋外に冷たい空気を排出

室外機には冷房運転時に暖かい空気を、暖房運転時は冷たい空気を屋外に向けて排出する役割があります。

周囲に植木鉢を置いたり、見た目が悪いからと柵を設置したりすると、空気の流れが遮られて排出が十分にできません。

内部の熱交換の効率が下がり、エアコンの効きが悪くなって消費電力が上がる原因になります。

冷房運転時は直射日光対策も行う

夏の直射日光は室外機の内部を高温にするため、空気を冷やすのに余計なエネルギーを使います。

強烈な紫外線や熱は内部部品の劣化にもつながりやすいです。

室外機用の日よけを設置するだけで節電効果が期待できるため、日当たりのいい場所に室外機があるなら日よけ対策を行いましょう。

日よけカバーが空気の吹き出し口にかぶったり、固定が甘く強風で飛んだりしないよう設置すると効率的で安全に使用できます。

古いエアコンは新しい省エネ機種に買い替える

古いエアコンは、現在よりも省エネ性能が劣るだけでなく、劣化による性能低下で電気代が高くなりやすいです。

資源エネルギー庁が発行する省エネ性能カタログによると、冷房能力2.2kW(6畳~9畳用)のエアコンの省エネ性能は以下の通り上がっています。

期間消費電力量平均値
2011年 715kWh
2024年 677kWh

参照元:資源エネルギー庁|省エネ性能カタログ2011年冬版省エネ性能カタログ2024年版

平均値が年間で38kWh減少しており、電気料金単価31円/kWhとして計算すると年間1,000円以上の節約になります。

節電を意識して新しくエアコンを購入するときは、省エネラベルに注目しましょう。

省エネラベルの画像
引用元:省エネ性能カタログ2024年版

省エネ性能について5点満点中で評価されており、数字が大きいほど節電効果が期待できます。

エアコンの寿命は10年程度と考え、本体価格と記載されている年間の目安電気料金を考慮して節約につながる機種を選びましょう。

生活スタイルに合わせて節約できる電力会社を選ぶ

電気代が高いと感じている人は、契約している電力会社のプランを見直しましょう。

よく家電を使う時間帯で電気料金単価が高いと、電気代全体が高くなります。

主な電気料金プランのタイプは以下の通りです。

タイプ 詳細
月間の電気使用量に応じて3段階で単価が変動 ・大手電力会社の従量電灯プラン(規制料金プラン)が代表的
・どの時間に使っても電気料金は一定
夜間の電気料金が安い ・電気のニーズが少ない夜間の電気料金が安いプラン
・オール電化住宅向けプランに多い
・朝食や夕食時間帯の電気代は高く設定されている
日中の電気料金が安い ・高くなりがちな日中の電気代が抑えられている
・朝食や夕食時間帯の電気代は高く設定されている
日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格と連動 ・時間単位で電気料金単価が変動
・一般的に、電気のニーズが少ないときや太陽光発電可能な時間帯の電気代が安くなりやすい傾向
・突発的に価格が高騰するリスクがある

1日通してエアコンをつけっぱなしにする人は、時間帯で電気料金の変動がないプランが節約につながりやすいです。

日中を中心に毎日エアコンを稼働させる家庭では、夜間電力が安いプランを契約していると電気代は高くなりがち。

エアコンも含めて日中に家電を使う機会が多い家庭は、市場価格連動型プランがある電力会社を検討しましょう。

晴れた日の日中は、太陽光発電ができる影響で電気料金単価が下がりやすい傾向です。

新電力会社のLooopでんきやTERASELでんきで、市場価格連動型プランの取り扱いがあります。

エアコンの電気代に関する知っておきたいQ&A

エアコンの電気代に関する疑問や知っておきたいとの声が多い項目は以下の通りです。

  • 200Vと100Vのエアコンはどちらの電気代が安い?
  • 設定温度1℃あたりの節約効果は?

エアコンには電圧が200Vと100Vの機種があり、対応するコンセントも違います。

環境省が推奨している室内温度は夏28℃、冬20℃ですが、具体的にどれほどの省エネや節電効果があるのか知らない人は多いです。

小さい疑問を解消し、エアコン電気代の節約につなげましょう。

200Vよりも100Vのエアコンの方が電気代節約になる?

200Vのエアコンは100Vと比べて出力が高く、部屋の温度を暖めたり冷やしたりするスピードが早いです。

電気代は消費電力に時間を掛け算して算出するため、単純に200Vだから電気代は100Vの2倍高いわけではありません。

消費電力が大きい時間を短縮できるため、200Vの方が電気代は安くなるケースもあります。

家庭用エアコンを設置するときは、設置する場所のコンセントがどちらに対応しているか確認しましょう。

エアコン対応のコンセント説明画像
引用元:エアコンを買う前に確認することを教えてください | よくあるご質問 | 東芝ライフスタイル株式会社

100V用のコンセントに200Vのプラグは使えません。

エアコンの電気代は電圧よりも本体の性能そのものに左右されるため、設置場所のコンセントや広さに合った機種を選びましょう。

設定温度が1℃変わると節約効果はどれくらいある?

資源エネルギー庁では、冷房と暖房運転でそれぞれ1℃ずつ設定温度を変えたときの節約効果を、以下の通り算出しています。

運転方法 設定温度 節約効果
冷房 27℃から28℃ 112日で約940円節約
(6月2日〜9月21日)
暖房 21℃から20℃ 169日で約1,650円節約
(10月28日〜4月14日)

参照元:資源エネルギー庁|省エネポータルサイト

それぞれ1ヶ月換算で250~300円ほど節約できています。

推奨温度で暑いまたは寒いと感じるときは、サーキュレーターを活用して空気の循環をよくしましょう。

窓の断熱やエアコンフィルターの掃除といった、他の節電方法も組み合わせると節約につながります。

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