Googleは18日(現地時間)、米国・サンフランシスコで開催中のイベント「Google I/O 2016」において、Sneak Peak Projectとして現在開発中の新しいAndroidアプリケーション形式「Android Instant Apps」を発表した。アプリの使い方を根底から変える可能性のある野心的なプロジェクトだ。

Googleは「Google I/O 2016」で「Android Instant Apps」を発表した

必要な部分のみを即時ダウンロード

Android Instant Appsでは、たとえばウェブページ内のリンクをクリックすると、ウェブページの代わりにアプリがロードされる。従来であればGoogle Play Storeに誘導するか、アプリのパッケージをダウンロードしてインストールさせるところだが、Instant Appsではアプリ自身がその場でロードされて実行される。利用が終了すれば自動的に消去される。そのままアプリを使い続けたければ画面上のインストールボタンをタップすればいい。

アプリはモジュール化され、実行に必要な部分からダウンロードされる仕組みなので、リンクをクリックしてからアプリが起動するまでが極めて速い。ダウンロードのトリガーにはURLのクリックだけでなく、NFCなども利用できる。基調講演では、NFCを搭載した駐車メーターから料金支払いアプリをその場でロードし、Android Payで支払いを終えて消去する、といった使い方が紹介された。このように利用頻度が低いか、特定の場所に限定されるアプリの配布方法として活用されることを想定しているようだ。

NFCでタッチすると同時にアプリがロードされる。ほかにもBluetoothやジオタグなどを条件にできそうだ

Instant Appsへの対応は、通常のAndroid APIを使い、既存のアプリのコードを半日程度の修正で行えるという。対応するAndroid OSは、当初はKitKat(4.4)以降の対応だが、今後Jelly Bean(4.3)までさかのぼって対応するという。

開発者への負担が少ないのも魅力のひとつ。肥大化するアプリから本当に必要な部分だけを抜き出すことのきっかけにもなりそうだ

Googleはウェブページとアプリをシームレスにつなぐ新しい使い方を提案するものだ。たとえばオンラインショッピングはウェブページ単独でも実現できるが、アプリを使えば決済にAndroid Payを利用できるなど、融通がきく。ウェブページとほとんど変わらないダウンロード量でよりリッチな体験を提供できるわけだ。ユーザー側は面倒なインストール作業が不要になり、ストレージ容量も節約できる。開発者は「ユーザーにインストールさせる」という非常に大きな障壁を超えやすくなるというメリットがある。

セキュリティやユーザーの利便性など、実際に実装されないと使い勝手などがわからない面もあるが、今後はInstant Apps対応のアプリが増えていきそうだ。