米Qualcommと中国Xiaomi(小米科技)は12月2日(米国時間)、3Gならびに4Gの中国特許ライセンス契約で同意したと発表した。これにより、両社ともに中国内外でのビジネス拡大に向けての一歩を歩み出した。

QualcommのWebサイトに掲載されたプレスリリース

Gartnerが今年8月に出した2015年第2四半期(4~6月期)の世界のスマートフォン市場に関する最新の調査報告によれば、スマートフォンの販売台数シェアでXiaomiは4.9%であり、3位のHuawei、4位のLenovoに続いている。両社のライセンス契約締結により、近年ライセンス事業ならびにプロセッサ販売事業で苦戦が続くQualcommが新たな収益源を得られる機会を得たことになる。

Wall Street Journalによれば、現在Qualcommのライセンス収入が同社事業における利益の半分以上を稼ぎ出しており、さらに端末メーカーなど顧客の半分は中国に存在している。特に近年は端末メーカーの多くが中国に拠点を構える一方で、ライセンス契約獲得では苦戦が続いている状態だ。今回のXiaomiの契約はHuawei、TCL、ZTEの動きに続くもので、同社は現在Lenovoとの契約締結に向けた動きにあるという。だがQualcommにとっての苦難は、今年2月に発表された中国政府機関との独占禁止法に関する和解で、制裁金ならびに新しいライセンス料金形態の導入を余儀なくされたことで、結果として他国に比べて中国内での収益率が落ちている点だ。とはいえ、端末メーカーの偏在状況を考えれば中国は大きな足場であり、同社にとって大きな前進といえる。

一方で、これはXiaomiにとっても将来的な事業拡大の布石になるともいわれている。同社は現在中国を中心に主に新興国を携帯端末ビジネスの市場ターゲットとしているが、その理由は特許や知的財産の問題にあるといわれる。先進国への進出は、比較的若い同社にとって格好の特許訴訟のターゲットとされる可能性を秘めており、新興国で成功していたビジネスモデルをそのまま持ち込むことが難しい。だが今回のQualcommとのライセンス契約のように、1件ずつ問題を潰していくことで、将来的な市場拡大に向けた地ならしとなっていくだろう。