増え続けるMVNO(仮想移動体通信事業者)。継続的なサービスの提供が事業者に求められるが、回線を貸し出すNTTドコモは事業者の選定を行っているのだろうか。NTTドコモの加藤薫社長は29日、都内で開催した第1四半期決算発表会で、MVNOの選定について触れた。

第1四半期決算発表会で記者団の質問に回答するNTTドコモの加藤薫社長

記者から「格安SIMサービスの流行にともない、MVNOの数も増えてきた。この先、怪しいMVNOと契約して被害を被る利用者が出るかも知れない。それは仕方ないことと諦めているのか」と問われると、MVNOにネットワーク回線を貸す立場にあるドコモの加藤薫社長は「これは微妙で難しい問題。ドコモでは接続義務を負っている。しかし、実はMVNOの会社さんは、ドコモ側で審査させていただいている。失礼ながら、ビジネスでお付き合いするにあたって、これは必要な審査。過去にはお断りした例もある」と回答した。

審査で落とした理由を問われると「資金力、あるいは過去の信用力など。別の事業をされていて、その分野で問題を起こした会社さんがあった。どこの会社ということは申せませんが、お断りした」と回答した。

MVNOの対応策について聞かれると「MVNOに、ドコモの純増を支えていただいている側面もある。しかし、MNPでドコモからMVNOに転出されるお客さんもいる。“ないまぜ”の状況。しかし、単に競争相手としてだけではなく、今後は連携のありかたも含めて検討していきたい。MVNOのご意向を伺い、そのなかでドコモが役に立てるものがあるならば提供したい」との考えを示した。

第1四半期決算発表会のスライド。今期の純増数は94万契約で、前年同期比で約2倍の伸びとなった

今期の純増数は94万契約で、前年同期比で約2倍の伸びを記録した。この94万という数は、MVNOの契約者数も含んだ数となる。これについて、記者から「ドコモの契約者数とMVNOの契約者数の比率について教えて欲しい」と質問があがったが、加藤社長は「言えない」と回答した。MVNOの収益の状況について聞かれると「ドコモ側では10Mbpsの帯域幅をいくらで貸している、ということしかわからない。MVNOさんの収益などはまったくわからない」と回答した。