グリー、ディー・エヌ・エー(DeNA)、NHN Japan、サイバーエージェント、ドワンゴ、ミクシィのプラットフォーム事業者6社は8日、一般社団法人ソーシャルゲーム協会「JASGA」(Japan Soccial Game Association)を発足を宣言し、都内で記者発表会を開催した。

左から中村伊知哉氏、田中良和氏、堀部政男氏

「JASGA」には上記運営会社6社のほか、コンピュータエンタテインメント協会(CESA)、日本オンラインゲーム協会(JOGA)といった関連団体および、ゲーム制作会社など約50社が参加。同団体の共同会長・代表理事には、グリーの代表取締役社長・田中良和氏と、ディー・エヌ・エー代表取締役社長・守安功氏が就任、事務局長は慶應義塾大学大学院教授・中村伊知哉氏、準備委員会座長には一橋大学名誉教授・堀部政男氏が務める。

同団体は、運営会社に対する書面審査、ゲームに関する自主規制、情報提供に基づき過剰な課金等へのゲーム内パトロール、青少年等に対する啓発活動など品質向上活動に取り組み、ユーザーが安心してソーシャルゲームを利用できる環境づくりを目指していくという。

ソーシャルゲームをめぐっては、ゲーム内で獲得したアイテムをオークションサイトや転売サイトで現金化するリアル・マネー・トレード(RMT)や過剰に射幸心をあおることで禁止された課金商法「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」などが問題視されていたが、これにより、ソーシャルゲームの利用環境と健全化に向けた動きが本格的に動き出すことになる。

JASGA創設にあたっては、50年以上にわたって情報に関する問題を研究してきた堀部氏が「これまでインターネットにまつわるさまざまな問題に直面し、最近ではソーシャルゲームに関する問題が急増している。自主的な対応をすることがベストではないかという考え方で、7月から新団体の発足に向けての準備委員会を立ち上げることになった」と経緯を説明。続けて「日本のソーシャルゲームは世界的にも評価されている。今後はJASGAが中心となって、ソーシャルゲームを含めた情報産業の発展に注力していきたい」と展望を述べた。

共同会長・代表理事に就任したグリーの田中氏は「これまでグリーでも課金の上限を設けたり、注意喚起を行ったりするなど、さまざまな問題に取り組んできた。今後は各業界一丸となって問題を解決していきたい」と新団体発足に意欲を見せながら、「より分かりやすく、より安全に、より健全な環境整備に向けた取り組みは、最終的には業界の発展につながっていく。収益性の確立と自主規制、両方を推進していきたい」と語っていた。

これに対して、収益性と自主規制は相反するものではないかという質問があったが、中村氏は「相反するように見えて一体。エンターテインメントが歩んできた道であり、国際的に活躍するためには基盤固めをしていく」と答えるとともに、「より分かりやすく健全にすることで、最終的に業界が成長する」と田中氏が付け加えた。

また、ディー・エヌ・エーとグリーは互いにソーシャルゲームで訴訟をかかえるライバル関係にあり、この状態で足並みが揃うのかという質問もあった。中村氏は「この点は事務局が汗をかかないといけないところだが、有識者の諮問委員会を作って相談していきたい。競合があっても具体的な連携策をとり、しっかり前をみて進んでいきたい」と説明。しかし今回の会見には、当初出席が予定されていたDeNAの守安氏が諸事情を理由に欠席している。

同協会は、今年12月にも新たな自主規制ガイドラインを策定し、年明けから審査業務をスタート。2013年1月、2月には審査、パトロールを開始。3月以降には情報提供の受付も設け、Googleなど海外企業も含めた検討会を開いていくという。