ハードウェアの企画や開発を手掛けるCerevoは6月30日、市販のミニ四駆をスマートフォンで操作できるように改造する工作キット「MKZ4」を直販サイトにて発売するとともに、東京・秋葉原にて発表会を開催。実際にミニ四駆を走らせる体験会などのデモンストレーションも披露した。
「まっすぐ走るだけ」のミニ四駆が自由自在に走行!
MKZ4は、タミヤが発売している「ワイルドミニ四駆シリーズ」をスマホ操作できるように改造するキット。キットにはミニ四駆操作用の専用基板や無線LANモジュール「ESP-WROOM-02」、ステアリング駆動用モーター、コンデンサなどの電子工作パーツなどが入っており、これらのパーツを組み立て、ワイルドミニ四駆と一緒に使う。
おもしろいのが、キットに含まれる「ステアリングパーツ」の存在。実は、ワイルドミニ四駆は本来「曲がる」機能がないため、なんと改造にはワイルドミニ四駆本体を一度半分にカット(!)し、本体が左右に曲がるようにステアリングパーツを組み込む必要があるのだ。なお、MKZ4はタミヤ公認の製品ではないため、組み立てなどに失敗しても、タミヤからの保証などはもちろんないので注意してほしい。
【左】ワイルドミニ四駆は本来タイヤを曲げないため、前輪にステアリングパーツを組み込む。写真の「白い」のが改造で組み込んだステアリングパーツだが、製品版では目立たない黒色となっている 【右】ステアリングパーツを組み込んだ前輪が、グッと左側に曲がっているのがわかる |
プログラミングまで自由自在
この改造キットの凄いところは、「自分の手で作る」のはハードウェアだけではないところ。MKZ4で改造したワイルドミニ四駆を動かすには、キット内の無線LANモジュールに、ワイルドミニ四駆を操作するためのプログラムを書き込む必要があるのだ。もちろん、動かすためのプログラムは最初から用意されているが、自分でプログラムを作ったり、オリジナルのプログラムに手を入れて機能を変更することもできる。このため、プログラミングの勉強などにも役立つのだ。
注意点は、MKZ4にプログラムを書き込むためのインタフェース「MKZ4WK」が、MKZ4とは別売りであること。これは、複数のミニ四駆を改造するユーザーにとって、MKZ4WKはひとつあればよいためだ。MKZ4WKも基板とパーツキットの状態で販売されているため、まずは電子工作による組み立てが必要だ。
【左】組みあがった状態のMKZ4WK。手前の白いmicroUSB端子とパソコンを接続 【右】実際に使用するときは、MKZ4の基板にMKZ4WKを挿入。MKZ4WKからUSBケーブルでパソコンと接続する |
初心者に嬉しいさまざまなサービスも
先述の通り、組み立てには電子パーツを基板にはんだ付けするといった電子工作が必要。Cerevoよると、初心者でもマニュアルを読めば改造できるようにはなっているが、はんだゴテやテスターなど、電子工作のための道具が必須だ。
ところが「電子工作は初挑戦」という初心者にとっては、電子工作ツールは種類が多すぎて選ぶのが大変。たとえば、はんだゴテひとつをとっても、専門店に行くと何種類もの製品が並んでいたりする。そこで、Cerevoがセレクトしたはんだゴテやはんだ吸い取り器、テスターなどの電子工作に必要な道具を集めたツールセット「MKZ4TS」も同時に発売。
MKZ4TSには電子工作に必要な道具のほか、MKZ4内のステアリングパーツなどの組み立て用に、ニッパーやドライバ、マスキングテープなどのツールも同梱されている。このツールセット、MKZ4、プログラム書き込み用のMKZ4WK、そしてタミヤのワイルドミニ四駆を購入すれば、自分だけのIoTミニ四駆が作れるのだ。
電子工作キットというと、ハードルが高いと感じる人も多いと思う。説明書は回路図のみで、初心者には理解しにくく、値段もそれほど安くない。そこでCerevoは、MKZ4にわかりやすいマニュアルを付属し、さらにMKZ4の制作や改造方法を詳しく説明した電子書籍「MKZ4 組み立て解説ガイドブック」を発行するという。ガイドブックではすべての手順を写真付きで説明し、初心者にもわかりやすい内容になっている。
Cerevoのスタッフによると、組み立て時間は電子工作とプラモデルに慣れている人で約2時間、初心者だと半日くらいかかるだろうとのこと。はんだ付けが必要など、組み立ては決して簡単ではないが、ミニ四駆をコントロールする基板を作る「電子工作」、ミニ四駆にステアリング機構を追加する「プラモデル製作」、「プログラミング」を楽しく学んで、もちろん「自分で改造した解像したミニ四駆を操作する」のはとても楽しい。ミニ四駆を自分の手で操作したいという人はもちろん、夏休みの自由研究や工作にもピッタリの製品ではないだろうか。