説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『SIMカードは通信以外に役立つの?』という質問に答えます。

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SIMカードは接触型ICカードの一種で、固有の識別番号(IMSI)のほか電話番号など接続に必要な情報が記録されています。通信会社と契約していることを証明する装置であり、携帯電話/スマートフォンに挿すとそのSIMカードの電話番号で通話できるのは、携帯電話会社がSIMカード上の情報を参照するためです。

IMSI以外の情報も記録できます。実際、氏名や電話番号といったアドレス帳データをSIMカードに記録する携帯電話は多数存在し、機種変更時にそれを読み取る移行作業はよく行われます。つまり、SIMカードは一種の記憶装置であるともいえます。

SDカードなど広く普及しているメモリカードのように、カードリーダを用意すればパソコンで情報を読み取ることも可能です(量販店に並ぶことが少ない特殊用途の製品です)。しかし、書き込み可能なユーザ領域の容量が少なく転送速度が低速なため、アドレス帳データを保存する以外の用途は考えにくく、写真や音楽など一般のデータ保存領域としては利用されません。

iPhoneでは、SIMカードはもっぱら通信会社と契約していることを証明する装置として利用されます。アドレス帳保存用アプリ『連絡先』の情報も、SIMカードに書き込まれることはありません。ただし、iOSにはSIMカード上のアドレス帳データを読み取る機能が用意されており、他のスマートフォンでSIMカードに記録したデータを移行することは可能です。

なお、SIMカードは携帯電話会社からの貸与品です。実際のところ、契約が終了しても返却を迫られませんが、改造/悪用を防ぐためか権利は携帯電話会社側にあります。あくまで"借りもの"であることに留意しておきましょう。

SIMカード上にアドレス帳データなどを記録することは可能ですが、iPhoneでは読み取りのみ対応しています