DJI JAPANは3月3日、東京・六本木ヒルズにて新製品「Phantom 4」の発表会を開催した。Phantom 4は、遠隔操作で空中撮影可能なクアッドコプターカメラ (以下、ドローン)。希望小売価格は税込189,000円。賠償責任保険付きで販売される。
発表会では、DJI JAPANの代表取締役である呉稲氏が登壇し、2015年5月に発売した「Phantom 3」との違いや新機能を解説した。まず冒頭、哲学者イマヌエル・カントの言葉「すべての知識は知覚する事から始まる」を引き合いに、Phantom 4に搭載された障害物感知システムを紹介。光学センサーや音波検知器が障害物を感知し、飛行に支障がある場合は自動的に回避するというもので、15m先の物体や10m下の物体を認識することが可能となっている。これにより、ドローンの操縦にそれほど習熟していないユーザーでも容易に飛ばせるという。
もう一つの注目機能は「Active Track」で、こちらは被写体を自動で追尾するというもの。今までは、人がドローンを操縦して被写体を追っていたため、撮影には相当なスキルが必要だったが、この機能のおかけで人や動物、乗り物といった動く被写体の撮影がラクになる。
操作も簡単で、iOS端末やAndroid端末で「DJI GO」アプリを起動、画面に表示されている被写体をタップするだけというお手軽さだ。最大2km先からカメラ映像を確認しながらフレーミングすることが可能となっている。また、障害物感知システムがあるおかけで、スマートデバイスの画面をタップするだけで、目的地まで自動的に障害物を避けながら移動することもできる。
ハード面では、フライト効率を向上させたモーターにより、移動速度が飛躍的にアップ。経験豊富なユーザー向けの「スポーツモード」では、最時速72kmのに達する。今までスピードが速すぎて追いきれなかった、スキーのダウンヒル選手を撮影することも可能だ。
プロペラは組み立て作業がしやすいようにプッシュ&ロック式を新採用。バッテリー性能も向上し、最大飛行時間が従来の23分から28分に延びている。また、撮影機能の要であるカメラもレンズ構成を改良することでシャープネスや色収差が改善され、撮影画像がより美しくなった。
その後、実際にPhantom 4を飛ばして、MBXプレーヤーを撮影するデモンストレーションが行われ、同機の飛行性能や被写体追尾機能を披露した。今回の発表会は六本木ヒルズ敷地内のアリーナで開催されたので、道行く人も足を止めて興味深げに眺めていたのが印象的だった。
パネルディスカッションでは、ドローンについて造詣の深いマイクロソフトの西脇氏とORSOの坂本氏が登場。呉稲氏とPhantom 4の機能と日本国内におけるUAV(無人航空機)業界の展望について語り合った。三人は、ドローンの法的なルールが作られたことにより、これまで使用について不安を感じていたユーザーが数多く参入してくると予想。操作が簡単で初心者でも扱いやすいPhantom 4は、日本でドローンが普及するきっかけになるのではとの意見だ。また、ドローンレースのためにドバイに向かう坂本氏が「DJIでレース用は出さないのですか?」といった質問を投げかけたところ、呉稲氏が苦笑いしながら「現状ではまったくその計画はありません」と答える一幕もあった。