説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「WWDCって盛り上がるんですか?」という質問に答えます。
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WWDC(World Wide Developer Conference)は、Apple製品に関与するソフトウェア開発者を主対象としたイベントで、毎年6月に開催されています。2003年以降はサンフランシスコで開催されており、2015年も6月8日から同地で開催が予定されています。
イベントの趣旨は、発売前のApple製品の開発情報を事前に伝えることにありますから、ソフトウェア(アプリ)開発者以外には関係のないことかもしれません。Appleのエンジニアが多数出席するといっても、アプリを開発するための情報開示が目的で、カテゴリごとに「セッション」という分科会が催されます。しかし、伝授される情報は基本的に秘密保持契約(NDA)で守られますから、外部に漏らすことは厳禁です。
なぜWWDCが注目されるかですが、その理由は開幕直後に開催される「基調講演(キーノート)」にあります。かつてAppleは、コンピュータ関係の見本市で新製品を発表していたものですが、会社の規模が大きくなり自社単独開催のイベントのほうが好都合なこと、コンピュータ以外の事業領域のウェイトが増えたことから、世界中の開発者が集うWWDCの重要性が増大しました。
ここ数年のWWDCを振り返ると、iOSの次期バージョンが発表されています。その新機能が基調講演で披露され、前述したセッションでアプリに組み込むためのノウハウが伝えられるというわけです。ほかにも、Mac本体やそのシステム(OS X、オーエスエテンと読みます)の最新動向についても時間が割かれ、同様にセッションが設けられます。
そんなイベントの基調講演ですから、Appleの今後の1年を見通すために大いに参考になることは確かです。しかも多くがNDAで秘匿されるWWDCにおいて基調講演は別扱いで、報道は自由です。Appleもその存在を重視してか、基調講演の内容をインターネットでストリーミング配信しています。Apple製品のファンはストリーミングを鑑賞しながらSNSや掲示板で情報を交換しつつ大いに盛り上がる、というわけです。