多種多様な候補から自分好みの端末を選択でき高度なカスタマイズが可能、それがAndroidの魅力であり強みです。しかし、その自由度の反面わかりにくさを指摘されることも少なくありません。このコーナーでは、そんな「Androidのここがわからない」をわかりやすく解説します。今回は、「年末年始の通話/メールがつながりやすくなった気がします?」という質問に答えます。

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大晦日から元日にかけて、特に午前0時前後からの約30分間は、音声通話およびデータ通信がつながりにくくなる/配信遅延が生じることがあります。日本でスマートフォンを扱う携帯電話各社、および電気通信事業者協会(TCA)は、年末年始にいわゆる「おめでとうコール(メール)」を控えるよう、呼びかけを行いました。

しかし、年末年始にケータイ/スマートフォンがつながりにくくなる、メールやメッセージの配信遅延が生じる事態は、数年前に比べると深刻さは低下しています。たとえば、TCAは年末に「おめでとうコール(メール)」を控えるよう毎年末にプレスリリースを出していますが、2013年までは「大晦日から元日の約2時間」を対象としていたところが、2014年は「大晦日から元日の約1時間」に短縮されました。その1時間の差からは、通信の集中による問題発生の可能性を認めつつも、着々と対策を進めてきたようすがうかがえます。

それは通信各社が音声通話の設備増強など輻輳(ふくそう)対策を実施してきたこともありますが、「おめでとうコール」が音声通話からデータ通信(メール/メッセージングアプリ)にシフトしたことが大きいと考えられます。従来型の音声通話は、交換機の設計容量を大幅に超えるトラフィックが発生すると通信規制が実施されますが、データ通信は音声通話に比べつながりやすいとされています。

4G(LTE)回線の普及により通信環境が改善されたことも一因でしょう。LTEは3Gに比べ上り/下りとも電波の利用効率が高く、そのぶんトラフィックが集中的に発生したときに対処しやすくなります。音声通話についても、IP電話の利用促進や無線LANの環境整備など電話網以外の音声サービス向上が業界全体で検討されているため、輻輳は発生しにくくなることが期待されます。災害発生時の通信手段確保という面からも、トラフィック集中発生に備えた対策は今後進められていくことでしょう。

技術革新と通信事業者の努力により、「おめでとうコール(メール)」を控える時間は今後さらに短くなるかもしれません