説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「AirDropとHandoff、使い方が似ているけど何が違う?」という質問に答えます。

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基本的に、AirDropはファイル転送機能で、Handoffは異なるハードウェア間でアプリのデータを受け渡す機能です。写真やワープロ文書など独立したファイルを送受信する機能がAirDrop、書きかけのメールを他のデバイスで引き継ぎ処理する機能がHandoff、といえばわかりやすいでしょうか。

どちらもアプリレベルでの対応が必要であり、送受信可能なファイルも違えば引き継ぐ処理も違うため、一律にはいえませんが、アプリによってはAirDropとHandoffとで大きく変わらないものがあります。たとえば、iOSに標準装備の地図アプリ「マップ」は、どちらの機能を利用しても表示中の地図(現在位置)を他のデバイスに引き渡すことができますが、結果は多少異なります。

iPhoneを送信側、Macを受信側という前提で説明してみましょう。AirDropを利用すると、「マップ」の起動も含めて現在位置をMacで表示できますが(Macにアプリの起動まで指示できる)、Handoffの場合はMacで「マップ」を起動しないかぎりiPhoneの現在位置は表示されません(アプリの起動は手動)。

この動作からわかるように、AirDropはデータ/ファイルを"プッシュ"して相手に受け取りを強制する一方、Handoffは"プッシュ"の要素はありつつも最終的な受け取り(アプリの起動)はユーザが判断する、という違いがあります。これは「Safari」でも同様ですから、両機能の目的の相違と理解していいでしょう。

「マップ」でAirDropを使い現在位置を送信すると、相手側でも「マップ」を起動して現在位置を表示します

Handoff経由でも「マップ」の現在位置を引き継げますが、起動操作はユーザの判断で行わなければなりません