説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、「SIMフリー版iPhoneの注意点は?」という質問に答えます。

現在販売されているiPhoneには、決められた携帯電話会社の回線しか利用できない「SIMロック版」のほかに、そのような制約がない「SIMフリー版」が用意されています。販売はApple Store(リアル店舗/オンライン)に限定されていますが、一部を除き、nano-SIMであればどの携帯電話会社のSIMカードも利用できることがメリットです(形状が一致してもFOMA契約のSIMカード(LTE非対応)は使えないことがあるなど、最終的にはキャリア側の対応次第の部分もあります)。先日発表されたiPhone 6は、予約開始時点からApple Storeで取り扱われるなど、その存在感を増しています。

SIMフリー版に適しているのは、自分なりの基準で通信会社を選びたい、格安SIMを利用してできるだけ通信コストを抑えたい、海外出張が多いためいろいろな携帯電話会社のSIMカードを利用したいというユーザです。新しいiPhoneが発売されるたびに買い替えているユーザも、携帯電話各社が提供する2年契約を前提としたおトクなプランを1年分放棄することになりますから、SIMフリー版のほうが経済的でしょう。

しかし、SIMフリー版は携帯電話会社が提供する割引キャンペーンを利用できません。毎月の通信料金とあわせて支払うこともできなければ、iPhoneの代金を分割払いすることもできません。携帯電話各社の2年契約を条件としたプランを利用すれば、トータルでは携帯電話会社で購入するほうが出費の少ない可能性大です。

携帯電話各社の新技術を利用できるかどうか現時点では不明な点も、デメリットといえるでしょう。au/KDDIは、周波数が異なる複数の電波を束ねることで高速通信を実現する「キャリアアグリゲーション」のサービス開始を予定していますが、それがSIMフリー版で利用できるかどうかiPhone 6発売前の現在では明らかになっていません。

いずれにしても、携帯電話会社による手厚い購入支援やサポートがなくなるぶん、SIMフリー版は"自分で対応できる"ひとのほうが適しています。その点に納得できるのであれば、新しいiPhone購入の際の有力な選択肢となるでしょう。

iPhone 6のSIMフリー版は、予約開始時点からApple Storeで取り扱われています