NTTドコモは、LTE回線を利用した高音質な音声通話サービス「VoLTE」の提供を開始している。すでに2014年夏モデルの「GALAXY S5 SC-04F」「Xperia Z2 SO-03F」「AQUOS ZETA SH-04F」「AQUOS PAD SH-06F」の4機種では、最新ソフトウェアに更新することでVoLTEを利用可能。また、「ARROWS NX F-05F」「Xperia Z2 Tablet SO-05F」の2機種についても、順次VoLTEに対応予定となっている。
本稿では、VoLTEの機能や特長について改めておさらいするとともに、実際に対応端末でVoLTEを利用し、従来の音声通話との違いなどを検証してみたい。
LTE回線を利用した音声通話サービス「VoLTE」とは?
VoLTEは、ドコモのLTEネットワーク「Xi(クロッシィ)」を利用した音声通話サービス。Xiエリア内であれば、VoLTE対応端末同士で高音質な音声通話が可能。従来の3Gでの音声通話と比べ、低音から高音まで幅広い音域に対応したことで、音声をクリアに伝えられるのが特長。
また、VoLTEでは、発着信がスピーディーになり、通話ボタンを押してから呼び出し音が鳴るまでの時間が短縮されるほか、QVGA相当の高精細で滑らかなビデオコール(テレビ電話)を高音質で利用することが可能。
また、これまではLTE対応のスマートフォンであっても、通話時には3Gへの切り替え(CSフォールバック)が行われていた。しかし、VoLTE対応端末の場合、LTEに接続したまま通話できるため、「高速マルチアクセス」と呼ばれる、通話中でも高速なデータ通信が可能になっている。
なお、VoLTEでの通話中にどちらか片方がXiエリア外へ移動した場合には、自動的に3Gの音声通話に切り替わって、通話状態を継続することが可能。しかし、3Gエリアから再びXiエリアに戻っても、VoLTEに復帰することはなく、3Gの音声通話がそのまま継続されることになる。
VoLTEの通話料は、音声通話定額プランである「カケホーダイ」または、ドコモ同士の通話が定額で利用できる「Xiカケ・ホーダイ」に加入していれば、定額内で音声通話を利用することが可能。その他のプランの場合、通話料は20円/30秒(税抜)となる。またビデオコールの場合、映像の送受信にはパケット通信料がかかり、パケット定額サービスの対象となる。ただし、2015年9月末までは、映像部分についてもパケット通信料がかからず、カケホーダイであれば定額内でビデオコールが利用可能になっている。
最新スマートフォンで「VoLTE」を使ってみた
実際にVoLTE対応端末を使い、高音質な音声通話やビデオコール、スピーディーな発着信などを検証してみた。今回、使用した端末は、Xperia Z2 SO-03F、AQUOS ZETA SH-04Fの2機種。いずれも最新ソフトウェアへ更新することで、VoLTEを利用することが可能だ。
VoLTEで通話する手順は、従来の音声通話と同様で、通常の電話アプリから発信することが可能。自分と相手がどちらもVoLTE対応端末を使っており、なおかつ両方ともLTEエリアにいる場合に、自動的にVoLTEの高音質通話を利用できる。
VoLTE対応端末での通話が、VoLTEなのか、3Gの通話なのかを確認するのは簡単で、VoLTEの場合には、通話画面に"高音質"または"HD"と表示されて、ひと目で判別することができる。
次に、VoLTEの音質を確かめるために、3GとVoLTEで交互に同じ相手と通話してみた。VoLTEで通話した感想としては、従来の3Gの通話と比べて音質がクリアなのは明らかで、とりわけ女性の高い声がよりナチュラルに聞こえるように感じた。通話した相手も、音質がクリアに聞こえると言っていた。
また、VoLTEの通話時に画面の[ビデオ切り替え]ボタンをタップすれば、ビデオコールに切り替えることが可能。端末のインカメラを使い、お互いの顔を見ながら通話することができ、音声は高音質のままとなっている。なお、発信時の画面から[ビデオコール]を選択して、最初からビデオコールで発信することもできる。
なお、YouTubeのドコモ公式チャンネルでは、ビデオコールなどの使い方を紹介しているので、ぜひご確認いただきたい。
VoLTEの通話中にビデオコールに切り替える様子(YouTube「ドコモ公式チャンネル」より) |
スピーディーな発着信もVoLTEの特長のひとつだ。前述のYouTubeのドコモ公式チャンネルでも、従来と比べて発着信がすばやい様子が紹介されている。
VoLTEの特長のひとつであるスピーディーな発着信(YouTube「ドコモ公式チャンネル」より) |
実際に、3GとVoLTEで発信時の所要時間をストップウォッチで計測してみたところ、"プ・プ・プ……"の後に、"ブルルル……"と呼び出し音が鳴るまでの時間は、3Gで約5秒、VoLTEで約3秒とVoLTEのほうが短く、体感的にもスピーディーに感じられた。
また、VoLTE対応端末2台と非対応端末2台を使い、同時に発信した様子を動画撮影してみたのでご紹介したい。片方の端末から隣の端末へ発信した場合、着信した端末の画面が点灯するまでの時間は、VoLTEのほうが明らかに短いことがわかる。
VoLTEと従来の3Gの通話で発着信を比較してみた(筆者が撮影) |
また、通話中でもLTEに接続してデータ通信を利用できる高速マルチアクセスは、とくにスピーカーフォン利用時に便利な機能だ。通話中にWebサイトや地図などを快適に閲覧できるため、情報を調べながら今日の行き先を決めるといったことが容易にできるだろう。なお、高速マルチアクセスは、通話相手の端末がVoLTE非対応であっても利用可能であり、活用する機会は多くなりそうだ。
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ドコモが提供するLTE回線を利用した通話サービス、VoLTEについて紹介してきた。国内のキャリアでVoLTEを導入したのはドコモが初となり、対応する端 末も限られているものの、相手もVoLTE対応端末であれば、かなりクリアでナチュラルな音質の通話が期待できそうだ。
また、VoLTEでは、高精細で高音質なビデオコールや、スピーディーな発着信、高速マルチアクセスも利用でき、通話によるコミュニケーションの幅がさらに広がりそうだ。夏モデルのVoLTE対応端末を購入した人や、購入を検討している人は、ぜひご参考にしていただきたい。