9月19日に開幕した「東京ゲームショウ2013」(TGS)の目玉の一つが、SCEから年末に発売される(日本発売は2014年)、『プレイステーション4』(PS4)だ。TGS初日にはイベントステージにて基調講演が行われ、第一部にはSCEから代表取締役社長兼グループCEOのアンドリュー・ハウス氏、SVP兼第一事業部事業部長・伊藤雅康氏、ワールドワイドスタジオプレジデント・吉田修平氏らが登壇。今後『PS4』がとるべき戦略について講演したほか、発表されたばかりの『PS Vita TV』を使ったデモなどが行われた。

SCEの代表取締役社長兼グループCEO、アンドリュー・ハウス氏

アンドリュー・ハウス氏によると、最近の顧客にはある傾向があるという。ひとつは"コアとなる客層の拡大"だ。ハウス氏は、最近大ヒットした『コール オブ デューティ ブラックオプスII』や『グランド・セフト・オートV』などのタイトルを例に出し、「最先端のゲーム体験を求める人は増えている。これはニッチなマーケットではない」としながらも、「ゲーム専用機という言い方はもはや古くなり、多機能な総合機器にシフトしている」と世の中の流れを分析する。

その理由として、スマートフォンやタブレットなどの普及が新しいゲーム市場を作ったことを挙げ、それらのカジュアルなユーザーがよりソーシャルな体験を求めており、フリープレイゲームやダウンロードコンテンツの増加によりデジタルシフトが起きていると述べた。

では、そうした時代において、次世代機に求められる要素とはなんだろうか。

ハウス氏は、「最先端のゲームを求めるユーザーは非常に大事」としながらも、「しかし、コンソールがリビングの中心の位置づけを得るためにはそれだけではダメ。他のデバイスより優れたUIで、優れたネットワークコンテンツを提供していくべき」と言う。それはつまり、「あらゆるゲームジャンルにおいて、ソーシャルを強化していく」ということであり、『PS4』はこの観点から開発された次世代機と言える。

すでにPSネットワークに1億5千万のアカウントを持つまでに成長しているプレイステーションの世界だが、『PS4』ではさらに新たなアプローチを仕掛けていくとハウス氏は言う。

ひとつは「スマートフォンやタブレットからいつでもゲームに触れられる」ということ。そしてもう一つは「ユーザー同士が今までにない方法でゲームを通じてつながれる」ということである。とはいうものの、既存のプレイステーションユーザーを蔑ろにするわけではない。「まずはコアユーザーの期待に応えることが大事」とハウス氏も言う通り、「高水準のグラフィックを持つ没入感のあるゲームこそが、プレイステーションのDNAである」ことは今後も変わらない。

一方で、ゲーム開発においては「二極化が進んでいる」とハウス氏は述べる。「開発費の高騰と開発体制の大規模化」が進む一方で、「モバイル市場の浸透に伴う小規模チームの躍進」が起きているというのだ。ハウス氏はこれを「ハリウッド大作から低予算のインディーズ映画まで幅広く出てきているアメリカの映画業界に似ている」と分析しており、『PS4』もそうした時代に合わせたプラットフォームにしていくと話す。

具体的には、インディーズゲームを開発する独立系開発者へのサポートだ。また、開発者にとって開発しやすいプラットフォームにすることを目指しており、参加表明した開発会社は現在620社にまで拡大しているという。また、『PS4』は今年度、全世界で500万台の販売を見込んでいるとも述べた。

続いて登壇したのは、SVP兼第一事業部事業部長・伊藤雅康氏だ。『PS4』の開発の経緯について伊藤氏は、2000年にSCEに入社してから歴代プレイステーション、そしてPSPの開発に携わってきた経験から、『PS4』では2つの点を重要項目として掲げていると述べた。……続きを読む