電気通信事業者協会(TCA)が公表した2012年10月末日時点での国内の携帯電話・PHSの累計契約数は、1億2,788万8,300契約だった。これは日本の総人口に匹敵する数である。 1人で複数台持っているという人も少なくないだろう。

業務での携帯電話の利用に関しては、「BYOD」(Bring Your Own Device)が注目されている。BYODは、個人所有の端末を業務に活用してコスト削減や効率のアップ、働き方の改革を図る動きだ。では、実際に業務で携帯電話を利用している人の割合は、どの程度なのか。

マイナビニュースでは、こうしたBYOD導入のトレンドも踏まえ、携帯電話の利用と通信料金の実態についてのアンケートを実施。同調査の結果を職業別・業種別にグラフ化した。なお調査結果は、「職業」(IT関連、エンジニア・技術職、営業、商品企画・マーケティング、総務・人事・経理・財務、販売・サービス、経営・その他)と「業種」(サービス業、医療・福祉、卸売業・小売業、教育・学習支援、金融・保険業、建設・不動産業、公務、製造業、その他)に分けて紹介している。

職業別では営業、商品企画・マーケティングが携帯電話を活用

まず、職業別にオフィスで働いている時間の割合を調べると、最も外出が多いのが営業職。過半数の人が一日のうちの5割以上の時間はオフィスにいないと回答した。

職業別・オフィスで働く時間はどのくらいか (拡大画像はこちら)

続いて、どれくらいの頻度で携帯電話から会社に電話をかけるか、総務・人事・経理・財務では「使わない」「1週間に1回以下」と回答した人の割合が合計で8割に達する。対照的に、外出の多い営業では、過半数の人が1日1回以上と答えている。

職業別・どのくらいの頻度で携帯電話から会社に電話をかけるか (拡大画像はこちら)

仕事に携帯電話を利用する割合については、やはり営業が他の職業に比べて抜きんでて多い。対照的に、総務・人事・経理・財務が最も携帯電話を使っておらず、「使わない」「1週間に1回以下」を合わせた割合が75%前後に達した。

職業別・どのくらいの頻度で仕事で携帯電話を使うか (拡大画像はこちら)

会社から携帯電話が支給されている割合が大きい職種は、やはり営業だった。それでも約4割の人は携帯電話が支給されていない。意外だったのは、貸与端末におけるスマートフォンの比率が、営業をおさえて、商品企画・マーケティング職の人で高いということだ。スマートフォンは、いつでもどこでも使える業務支援ツールとして(インターネット検索、地図アプリの活用、ビジネス文書のチェック、スケジュール確認などができる)便利であり、外出の多い営業で活用されそうである。しかし実際には営業でのスマートフォン貸与率が低いというこの結果を見ると、あるいは営業職の間では「できればスマートフォンで仕事をしたいのに…」という不満があるのかもしれない。

職業別・会社から携帯電話を貸与されているか (拡大画像はこちら)

業種別では、建設・不動産業で携帯電話を多く利用

どれくらいの頻度で携帯電話から会社に電話をかけるか、という質問では教育・学習支援に携わる人の過半数が「使わない」と回答。また、製造業においても使用頻度は高くないようだった。一方で建設・不動産業では4割を超える人が「2、3日に1回」以上の頻度で携帯電話から会社に電話をかけているようだ。

業種別・どのくらいの頻度で携帯電話から会社に電話をかけるか (拡大画像はこちら)

仕事で携帯電話を使う割合が最も高かったのは、建設・不動産業。また医療・福祉、卸売業・小売業でも4割ほどの人が携帯電話を仕事に利用している。仕事で携帯電話を使う割合が低かったのは教育・学習支援で、「2、3日に1回」以上使うと答えた人は全体の3割程度にとどまった。

業種別・どのくらいの頻度で仕事で携帯電話を使うか (拡大画像はこちら)

会社から携帯電話を貸与されているかとの質問には、教育・学習支援の9割超の人が、公務でも9割近くの人が「貸与されていない」と回答。最も携帯を使用する建設業で働く人でも6割以上が「貸与されていない」という。

業種別・会社から携帯電話を貸与されているか (拡大画像はこちら)

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職業別で携帯電話の利用が目立ったのは、営業職だった。そして業種別では、建設・不動産業で多くの人が携帯電話を利用している傾向がうかがえた。どちらの業務にも「オフィスの外に出て仕事をする機会が多い」という共通点が認められる。一方、携帯電話を利用している職種・業種の人へも会社からの携帯の貸与が充分ではないことが分かった。つまり、自腹で仕事でかかった通話料を払っている社員が多いのではないかということがうかがえる。

以前マイナビニュースがおこなった調査では「仕事での携帯料金が自腹だと、仕事での携帯利用を抑えてしまう傾向にある」という結果が出た。携帯の貸与を行わなかったとしても、せめて業務で使った通話料に対して企業からの支払いがないと、仕事の効率性が下がり、結果的には社員だけでなく企業にとっても悪い影響を及ぼす可能性がある。公私分計のできるサービスなどを利用して仕事で利用した通話料の「自腹問題」を解消するのが理想だろう。

また、業務にスマートフォンを利用している会社は、まだ多くはないことが分かった。営業などでスマートフォンを使えば、多くの場合業務の効率が上がることが想像される。現状、企業からの貸与は少ないのかもしれないが、むしろ個人での普及率は急速に高まっている。それこそ、BYODを採用すれば、すぐにでも業務効率化につながる可能性があるのではないだろうか。

携帯電話の業務利用についてのアンケート

調査時期 : 2012年10月29日~2012年11月1日
調査対象 : マイナビニュース会員
調査数 : 919件
調査方法 : インターネットログイン式アンケート