日本における紛争解決の手段としては裁判や調停といったものが一般的だが、低コストな新しい紛争解決手段として海外で注目を集めているのが「ODR」(Online Dispute Resolution)だ。"オンラインでの紛争解決"を意味するODRは、メールやチャットといったオンラインコミュニケーションを通じて個人や企業のトラブル、紛争を解決するもので、コストや時間を節約できるほか、国境を越えた問題解決に適しているのが特長。

日本のODRの第一人者であり、ODRのプラットフォーム提供やコンサルティングを手がけているのが、ODR Room Network 代表取締役の万代栄一郎氏だ。万代氏はBlackBerryユーザーでもあり、ODRの現場でBlackBerryスマートフォンを活用しているという。今回は、ODRの現状と、ORDの現場で活躍するBlackBerryスマートフォンの魅力について、万代氏に伺った。

ODR Room Network 代表取締役 万代栄一郎氏

ODR(Online Dispute Resolution)とは?

ODR(Online Dispute Resolution)は、メールやチャット、SNSなどのオンラインを活用した紛争解決手段のこと。元々は、インターネット上でのトラブルを解決する手法として登場したが、ODRには移動や時間のコストを削減できるというメリットがあるため、現在ではDV(ドメスティック・バイオレンス)問題など、ネット以外のトラブルの解決方法としても用いられることがあるという。

万代氏が代表を務めるODR Room Networkでは、ODRのプラットフォームとして利用するSNSの提供をはじめ、人脈の紹介やコンサルティングなどを行っている。日本ではあまり知られていないODRだが、海外のEコマースサイトでトラブルに遭ったときの相談窓口であり、消費者庁の委託事業として運営されている「消費者庁越境消費者センター(CCJ)」もODRの取り組みのひとつで、ODR Room Networkが運営事務局に参画している。

万代氏がODRに取り組むきっかけとなったのは、自身がかつて企業間の紛争に巻き込まれた経験だという。「私は元々、中堅IT企業でセールスプロモーションやシステムエンジニアの仕事をしていたのですが、そのときに自社とイスラエルの企業との間でトラブルが起こりました。結局、裁判となって私が証人として出廷することになったのですが、イスラエルで裁判が行われたため、解決までの8年間、日本とイスラエルを何度も往復しなければなりませんでした。その経験から、ODRの必要性を実感したのです」と万代氏。

また、紛争に巻き込まれた経験は、別の出会いももたらしたと万代は語る。「実は、その裁判のときに、弁護士などが皆、BlackBerryを使っていたんです。格好よくて、使いやすそうだなと思い、私も真似してBlackBerryを使うようになりました」。

ODRの現場で活躍するBlackBerryスマートフォン

では一体、ODRの現場でどのようにBlackBerryスマートフォンを活用しているのだろうか。

「一般的にODRでのコミュニケーションは、苦情の受付を除いては、専用システムや非公開のSNS上で行っています。個人情報や企業の不祥事といった機密情報が飛び交うので、基本的にメールは使いません。機密情報を扱うという点からも、セキュリティー面での信頼性の高いBlackBerryを使っています。また、コミュニケーションの内容が”トラブル”となるため、内容を端折ったりすると、よりトラブルが深刻化してしまいます。正確にしっかり文章を入力するには、BlackBerryのQWERTYキーボードが最適です」と万代氏は語る。

海外とのやりとりも多い万代氏は、BlackBerryスマートフォンで日本語と英語を使う比率は半々だという。「QWERTYキーボードは、とくに英語を入力するときに便利ですね。日本語入力でも予測変換が表示されて入力しやすいです」と話す。

海外に出張することが多い万代氏。出張先ではBlackBerryスマートフォンをよく見かけるのだという。「東南アジアではBlackBerryがよく使われています。とりわけ、弁護士などの職種の人には、BlackBerryユーザーが多いですね」。 もちろん、プライベートでもBlackBerryスマートフォンを活用しているという。「初めて訪れる場所に行くときなどは、地図(BlackBerry Maps)をよく活用します。TwitterやFacebookなどのSNSアプリも欠かせません。あと、家族とのコミュニケーションでは、最近BlackBerry版がリリースされた『LINE』を使っています。男性が家族とメールなどをすると、文字数の少ない素っ気ない文面になりがちだと思いますが、BlackBerryのQWERTYキーボードであれば、文字入力も苦にならないので、女性とも気軽にコミュニケーションできるのではないかと思います」と万代氏。

BlackBerryスマートフォンはこんな人におすすめ

そんなBlackBerry愛用者の万代氏に、今後のBlackBerryに期待することを伺った。

「打ちやすいQWERTYキーボードがBlackBerryの魅力ですが、時々、フルタッチでも操作したいと感じることがあります。(日本では未発売の)『BlackBerry Torch 9850』などが、それに当たると思いますが、先日実際に端末に触る機会があったものの、タッチパネルだけでは心もとないように感じました。タッチパネルとQWERTYキーボードが備わったBlackBerry Torch 9850のようなハイブリット端末が出ればいいなと思います」。

さらに万代氏は続ける。「(2013年にリリース予定の次期OS)『BlackBerry 10』にも期待しています。YouTubeの紹介ビデオを観るだけでもワクワクしますし、ぜひ日本でもBlackBerryをもっと広めて欲しいですね。タブレットの『PlayBook』も使ってみたいです」。

また、グローバルに活動している視点からも次のように語る。「イギリスなどでは、BlackBerryで業務アプリを使っているのをよく見かけます。日本でも業務アプリを使いたいところですが、作りたいと思っても開発者が少ない、見つからないという課題があると思います。そのためにも、BlackBerryをもっと広めたいです」。

最後に、BlackBerryスマートフォンをどんな人にすすめたいかを聞いたところ、次の回答を頂いた。「海外では弁護士がよくBlackBerryを使っていると先ほどお話ししましたが、その理由としては、弁護士は“ちゃんとしていないと信用されない“職業だから、BlackBerryを使っているのかなと思います。そんなBlackBerryですので、とくに信頼度を上げたい職業の人におすすめです。また、リッチ感のあるデザインもBlackBerryの特長ですね。海外ではセレブ系の人がよくBlackBerryを使っているのを見かけます。最近では、スマートフォンといえばスレートタイプがほとんどなので、人と違うものを持ちたいという個性を発揮したい若者にもBlackBerryスマートフォンをすすめたいですね」。