2021年7月10日、11日にミクシィが展開するライブエンターテインメントイベント「XFLAG PARK 2021」が開催されました。コロナ禍のため、2020年は無観客のオンライン配信でしたが、2021年も同様に無観客での開催です。

2020年の「XFLAG PARK」は、オフラインでの開催を模索し続けた結果、例年通りの7月ではなく、10月にオンラインで開催。単純に映像配信をするだけではなく、オンラインでもさまざまな体験ができる“テーマパーク”として展開したのが印象的でした。

今回の「XFLAG PARK 2021」も、オンラインテーマパークをイメージしたサイト「XFLAG CONNECT」をオープン。動画配信を楽しみながら、仲間と一緒に音声チャットを楽しんだり、テーマパークで得られるコインを使ってゲームをプレイしたり、一日中楽しめる作りになっています。

  • XFLAG PARK 2021

    「XFLAG PARK 2021」が開催されました

  • XFLAG PARK 2021

    PCでもスマホでも、ブラウザ上で楽しめる「XFLAG CONNECT」。動画のポータルサイトとしても機能します

  • XFLAG PARK 2021

    マップ上に隠れているオラゴンをタップしたり、スポンサーブースを見にいったりすると、コインがもらえます

  • XFLAG PARK 2021

    獲得したコインを使って、ミニゲームも遊べます。増やしたコインの数によってプレゼントがもらえました

  • XFLAG PARK 2021

    物販では「XFLAG PARK 2021」の公式グッズを販売

  • XFLAG PARK 2021

    2つのチャンネルでさまざまな番組を配信していました。これはモンストオールスタークイズパーティー2021

賞金総額は過去最大! ティファニー製のトロフィーも登場

2020年は残念ながら『モンスターストライク』のeスポーツイベント「モンストグランプリ」の開催ができませんでしたが、今回はコロナ対策を徹底し、2年ぶりにグランプリを開催。2年前は香港と台湾からの参加もあり、アジアチャンピオンシップと銘打たれていましたが、今回は国内のみ、ジャパンチャンピオンシップとしての開催です。

  • XFLAG PARK 2021

    「モンストグランプリ2021」のオープニングに登場したモノノケ少女

「XFLAG PARK 2021」では、地区予選を勝ち抜いた8チームによるグランプリ決勝が行われました。出場したのは、北海道・東北予選大会優勝の「早撃ち0.3秒」、関東予選大会Aブロック優勝の「Cats」、関東予選大会Bブロック優勝の「砲撃timely’s」、中部予選大会Aブロック優勝の「GV」、中部予選大会Bブロック優勝の「LMBulldozer」、関西地区予選大会優勝の「Blue Rose」、中国・四国予選大会優勝の「(株)ピーター・パン」、九州予選大会優勝の「ミラノ風カルボナーラ」の8チームです。

  • XFLAG PARK 2021

    各地方予選を勝ち抜いた8チームが一堂に介します

  • XFLAG PARK 2021

    前日に行われたタイムアタックラウンドの結果により、トーナメントの組み合わせが決定

  • XFLAG PARK 2021

    実況解説はお馴染みのメンバー。左からMCのゆきのしん、たけちょり、実況の平岩康佑アナウンサー、解説のタイガー桜井氏、けーどら選手

決勝に出るプロチームは、「Cats」と「GV」の2チーム。「早撃ち0.3秒」と「LMBulldozer」は、前回大会の決勝大会に出場した強豪チームです。また、「LMBulldozer」には、プロチーム「今池壁ドンズα」のそふぁ選手が参加しており、注目が集まっています。

優勝、準優勝チームには、JeSU公認のプロライセンスが発行されます。2018年は、決勝大会進出チーム全チーム(すでにプロライセンスが発行されている「今池壁ドンズα」と「【愛】獣神亭一門」は除く)、2019年はプロチームを抜いた成績上位4チームだったので、今回は条件が厳しくなっていました。決勝トーナメントに残ったプロチームが決勝まで進むと、自動的に、新たなプロチームは誕生しないことになってしまいます。

賞金総額8000万円。優勝チームには5000万円、準優勝チームには1600万円、3位(2チーム)には600万円、各地方予選優勝チームには25万円が進呈されます。総額、優勝賞金ともに過去最大。さらに、今回大会では、ティファニー製のトロフィーも登場しています。

また決勝大会では、地方予選とは異なり、タイムアタックラウンドとバトルラウンドを別日で実施。タイムアタックラウンドの順位でトーナメントの対戦相手と、使用キャラのピックの先攻後攻の順番がある程度予測でき、対策を練る時間が得られるようになりました。

ちなみにトロフィーは返還式で、歴代の優勝チームの名前がトロフィーに刻まれていく形式。今大会からチーム名が残ります。

  • XFLAG PARK 2021

    eスポーツ大会では初となるティファニー製のトロフィー

グランプリの優勝に輝いたのは、プロチームの意地を見せた「GV」。終始ピックの先攻を取られ、バトルも優勢を取られる場面が散見されましたが、それでもプロのキャリアを見せつけ、決して焦らず、プレッシャーをかけながら、何度も逆転劇をみせてくれました。

準優勝は「ミラノ風カルボナーラ」。プロチームの「Cats」を下し、プロライセンスの資格を得ることができました。終始安定した戦いは、最年少チームとは思えないほど。既存のプロチームが準優勝以上を獲得したため、プロライセンスの獲得は「ミラノ風カルボナーラ」のみとなり、「早撃ち0.3秒」と「LMBulldozer」は2大会連続で決勝トーナメントに進出しながらも、あと一歩及ばず、涙をのんでいます。

  • XFLAG PARK 2021

    悲願のグランプリ制覇を達成した「GV」

最速攻略法や初出戦略の披露で沸いたグランプリ決勝

今大会でキーポイントとなったのが、初戦1試合目と準決勝3試合目に登場する光のステージ「光魂の暗黒神」でした。初戦では、このステージで勝利した4チーム中、「ミラノ風カルボナーラ」「Cats」「GV」の3チームが6ターンクリアで勝利します。

「Cats」のリーダーるんるん選手が「地方予選の段階では7ターンクリアが最速でした。その7ターンクリアも簡単だけどちょっと遅い、ちょっと速いけど少し難しい、速いけどすごく難しいという3つの手があり、どの7手で勝負するかの駆け引きが重要だったんです。しかし、決勝大会のひと月前に行われた全国都道府県対抗eスポーツ選手権少年の部で『カメハメハα』を使った超簡単な6手の攻略法が登場しました。ただ、その6手も、ダメージを受けないがために、回復演出が発生しない初手閻魔の7手に負けてしまうこともあります。そこで、さらに6手編成の4番手にアミダを入れることでドレインによる回復で回復演出を発生させない方法が生まれました。これを知っていたのは、たぶん我々とミラノ風カルボナーラだけだったと思います」と解説してくれました。

つまり、最速6ターンクリアの攻略を知っていて、タイムアタックラウンドの上位を取ること、厳密にはピックで「カメハメハα」を確実に抑えることで、光魂の暗黒神のステージを高確率で勝利できるわけです。バトルラウンドの前準備から大きく勝敗に関わっていました。

今回、それがもっともできていたのが「ミラノ風カルボナーラ」です。唯一、ピック後攻となった初戦は「LMBulldozer」が7手でのクリアの編成を選んだため、後攻でも最速6手の編成で光魂の暗黒神に挑むことができ、最大の難関をクリアできました。

  • XFLAG PARK 2021

    後攻ピックながら、最速6手の編成で見事6ターンクリアした「ミラノ風カルボナーラ」

ほかにも、「GV」が初戦でみせた緑秀の上王の攻略も初出との話でした。大会で初お披露目となる攻略法や、既存の攻略法をさらに上回る改良版など、事前の研究・準備がいかに重要かがわかります。比較的、攻略法がオープンな『モンストスタジアム』において、自力で新たな攻略法を見いだし、本番まで秘匿するのはかなり難しいかもしれませんが、それでもやってのけるのが、トップチームたる所以なのでしょう。

それでも、ほかの試合を落としては意味がありません。「ミラノ風カルボナーラ」が準優勝できたのは、地力の高さあってこそと言えるでしょう。タイムアタックラウンド3位の好成績を残していることがそれを物語っています。

対して、タイムアタックラウンド7位と大きく出遅れた「GV」は、終始不利な状況から相手をじわじわと追い詰め、逆転を繰り広げていました。準決勝の対「Blue Rose」の2試合目も、残りHPがわずか6,612と、ダウンギリギリながらボスを倒しきる底力を見せています。これまで後攻ピックに弱い印象のあった「GV」だけに、ほとんど後攻ピックで挑んだトーナメントでの優勝は、実力をさらに上げてきた証拠だと言えるのではないでしょうか。

「GV」は、グランプリ決勝トーナメントの出場、2回のモンストプロツアーを経て、4度めにして大きな大会での初めての優勝を飾りました。ちなみに、今回グランプリで優勝したことで「GV」の「✡星✡選手」は、兼ねてからお付き合いしていた「(株)ピーター・パン」のあいら☆選手との結婚が決まったそうです。

優勝した「GV」にインタビュー

大会後には優勝者インタビューが行われました。

――優勝おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください。

とし選手:今回、優勝できてホッとしています。人間、こんなにも緊張することがあるんだなと実感しました。

✡星✡選手:実力だけでなく、運もないと取れないものだと思っていたので、うれしいです。今後のことも色々考えていましたが、とりあえず優勝できたので先延ばしにしようかと思っています。

けんけん選手:今回から「GV」の選手としての出場でした。初参加で優勝できたので、うれしい気持ちでいっぱいです。皆さんには感謝しかありません。

ケイゴ選手:メンバー全員ががんばっているのを知っていたので、優勝できてうれしいですね。優勝したことで、今後も続けていけると思うので、またがんばります。

  • XFLAG PARK 2021

    優勝賞金5000万円を手にした「GV」

――印象に残ったプレイはありますか?

とし選手:タイムアタックは想定内の結果ではありませんでしたが、それが逆に吹っ切れました。印象に残った場面はやっぱり、ケイゴのカリバーですかね。接戦で決めてくれたのが1番印象に残っています。

✡星✡選手:タイムアタックラウンドで下位になったことでメンタルがやられてしまい、そのままバトルラウンドを迎えた感じです。印象に残っているのは、とし選手がいきなり初手でミスったことですね(笑)。

けんけん選手:タイムアタックラウンドで下位になったことで、色々考え、戦略を立て直しました。それもまた、おもしろみのひとつかなと思っています。このチームに参加させてもらって非常に勉強になりました。

ケイゴ選手:タイムアタックの結果は下位でしたが、1日対策を練れたのはよかったです。2日に分かれていたことがいい方向に転びました。印象に残ったプレイは、けんけんさんの火の剣士をくるっと回ったところです。

とし選手:そこは自分のカリバーって言ったほうがいいですよ(笑)。

――タイムアタックの結果によって、ピックが後攻になりがちでしたが、その対策はどうしたのでしょうか。

とし選手:後攻はゲームの主導権が握れない時点で、メンタル的にもパーティ的にも立ち回り的にも不利になりがちなのですが、後攻パーティでも主導権を握って勝負できる戦術をやりました。それによって難易度が上がったとしてもです。

――不利な状況でも落ち着いてプレイしていたのが印象的でしたが、そういった対策も行っていたのでしょうか。

とし選手:後攻で想定通りにいっていなかったんですが、状況が想定通りでも、プレイを想定通りにできるとは限りません。それが難しいことは我々が一番知っています。不利な状況でも慌てずに少しでもプレッシャーをかけて、相手のミスを誘うように心がけました。

****

なにはともあれ、2年ぶりのモンストグランプリは大いに盛り上がりました。ですが、オンラインでの開催となったため、熱狂する観客の前でプレイできなかったことは残念のひと言。光魂の暗黒神の最速6手や、「GV」の逆転劇、「ミラノ風カルボナーラ」をはじめとする若手チームの台頭など、オフラインであれば、2年前の大会を上回る歓声があがったのではないかと想像できます。

そして、「XFLAG CONNECT」の進化によって、「XFLAG PARK」のオンライン開催が、ひとつの完成形をみたような気もします。「モンスターストライク公式YouTubeチャンネル」と「XFLAG公式YouTubeチャンネル」の2つのチャンネルでの最大同時接続数は約34万人を記録。eスポーツイベント、オンラインイベントとしては、最高クラスの視聴者数を集めていました。今後も日本のeスポーツ、ゲームのライブエンターテインメントのオンラインイベントの先駆けとして牽引してくれることでしょう。