6月19日にオンラインにて『フォートナイト』を採用したeスポーツ大会「NASEF JAPAN MAJOR Fortnite Tournament Summer 2021」が開催されました。

北米教育eスポーツ連盟の日本支部で、eスポーツを教育に活かすことを目的とする団体「NASEF JAPAN」が主催です。2021年3月に開催された「NASEF JAPAN eスポーツサミット」では、今後の「NASEF JAPAN」の活動内容として、「NASEF JAPAN MAJOR」と「NASEF JAPAN EXTRA」の2つの高校生向け大会を行うことを発表していました。

今回は、その1つ「NASEF JAPAN MAJOR」の大会です。ちなみに、「NASEF JAPAN MAJOR」は全国の高校生を対象とするトーナメント大会、「NASEF JAPAN EXTRA」は学校単位で開催する大会。すでに開催されている高校生向けeスポーツ大会「全国高校eスポーツ選手権」「STAGE:0」などと比べると小規模と言えるでしょう。

  • 大会では、北米教育eスポーツ連盟(NASEF)本部から、オンラインでケビン・ブラウン氏が日本語のメッセージを寄せました

それでも、今回の大会には全国133校、108チーム、216名が参加。参加資格は「高校生であること」とハードルは低めです。よくある同一高校であること、同一地域であることなどの縛りがないため、参加しやすい大会と言えるでしょう。

それゆえ、初回ながら参加人数の多さが際立っていました。チーム数と参加人数からも推測できると思いますが、形式は2人1チームのデュオ戦です。

『フォートナイト』は、マルチプラットフォームで展開し、クロスプレイができるタイトルのため、PCやPlayStation 4(PS4)、Nintendo Switchなど、さまざまなハードでの参加が認められています。

これまでに3回のオンライン予選を行っており、各予選上位14チーム、全42チームがオンライン決勝大会へ進出。決勝大会では、最後まで生き残ったチーム、いわゆるゲーム内で「ビクトリーロイヤル(ビクロイ)」を獲得したチームに10ptsが入ります。2から5位が7pts、6から10位が5pts、11から15位は3pts、さらに相手を倒した数に応じてポイント、エリミネートポイントも入り、1人倒すごとに1ptsが入ります。大会は3マッチ行われ、すべての試合の合計ポイントにより最終スコアと順位が確定します。

  • 5月31日予選1位通過の「イノシシ舐めんな」と6月2日予選1位の「ジブ娘プリティーあめとと〆」が注目チーム

  • 6月4日予選1位は全予選チームで最高得点をたたき出した「シャイニングコウタ」

  • 同じ高校でチームを組んでいる組よりも、違う高校で組んでいるチームのほうが多そうです

『フォートナイト』は、若年層を中心に人気を集めているバトルロイヤル系シューティングゲーム。最大100人が1つの無人島のステージに集まり、最後の1人、もしくは1チームになるまで戦います。特徴は、銃撃戦だけでなく、建物を建築することができること。相手からの攻撃を避けるバリケードとして使ったり、優位を取れる高い位置(ハイグラウンド)からの攻撃を仕掛けたり、さまざまな形で利用できます。

  • 大会ルール。エリミネートポイントが1ポイントと少なめで、順位ポイントも大きく差がついていないため、敵を倒しつつ、生き残りも狙いたいルールです。最低でも15位以上には入りたいところ

1マッチ目は5月31日のオンライン予選で1位通過をしたN高等学校 仙台キャンパスの1年生コンビ「イノシシ舐めんな」が相手を倒しまくり、試合を優位に。しかし、終盤で1人倒されると劣勢に転じてしまいます。最終的には、建築を駆使しハイグラウンドで位置的優位を取った「漆黒のクレラップ」がビクトリーロイヤルを獲得しました。

2マッチ目も中盤からハイグラウンドを制した「漆黒のクレラップ」。着弾地点に入っている敵をマーキングする武器「リーコンスキャナー」の範囲外となる高さから、壁などの建築物を貫通してダメージを与えられるレールガンを一方的に狙い撃てる、まさに無双状態を作り上げます。そのまま危なげなく2連続となるビクトリーロイヤルを獲得しました。

  • 敵をマーキングする武器「リーコンスキャナー」で相手の位置を特定し、遠距離から建物ごとレールガンでダメージを取るのがかなり有効でした

  • ハイグラウンドを取ると、下層で戦闘し合っているライバルをはるか上空から狙撃できます

2連勝の「漆黒のクレラップ」を逆転するためには、大きなエレミネートポイントと順位ポイントが必要。そのため、3マッチ目はどのチームもアグレッシブに戦います。

3戦全勝を狙う「漆黒のクレラップ」でしたが、今回はハイグラウンドを「Loddoaimしか勝たん」に奪われ、上を目指せない状態になってしまいました。それでも下の混戦を銃撃戦で制し、エリミネートポイントを重ねます。

最後は「Loddoaimしか勝たん」がなんとかビクトリーロイヤルを獲得するも、「漆黒のクレラップ」が高得点の2位を確保。総合得点を56ポイントとし、「漆黒のクレラップ」が「NASEF JAPAN MAJOR Fortnite Tournament Summer 2021」の優勝を獲得しました。

2位は1度もビクトリーロイヤルを獲得できなかったものの、安定した順位ポイントと高いエリミネートポイントで35ポイントを獲得した「イノシシ舐めんな」、3マッチ目でビクトリーロイヤルを獲得した「Loddoaimしか勝たん」は32ポイントを獲得し、3位という結果になりました。

  • 「1位」「1位」「2位」と圧倒的な強さと安定感を見せた「漆黒のクレラップ」が2位に大きな差をつけ優勝しました

最後に、決勝トーナメント進出者から任意参加となるエキシビションマッチが開催されました。チームメイトも敵となるソロ戦で、特別ルールとして建築禁止の条件が入っています。

木やすでに建築された建物を利用して隠れるなど、いつもとは違う戦い方を強いられるなか、ぷやみのyami選手が見事ビクトリーロイヤルを獲得しました。

  • 自由参加となったエキシビションマッチ

先述した通り、「全国高校eスポーツ選手権」や「STAGE:0」に比べると規模も小さく、芸能人の司会やゲスト、テーマソングなどによる盛り上げなどはありませんでした。

しかし、eスポーツキャスターの大和周平氏の実況や元プロゲーマーのZELARL氏の解説などでしっかりと大会をフォローしていたのが印象的でした。何より、同じ高校での参加という縛りがないため、普段一緒に遊んでいるプレイヤー同士や強力な仲間とチームを組んで参加できるのは、より参加しやすく、コミュニティ大会に近い楽しさがあったのではないでしょうか。

今後も高校生が気軽に参加できる大会として、定期的に開催し、タイトル数も増やしてほしいところです。またこの大会を機に、「NASEF JAPAN EXTRA」を利用し、高校生自体が大会や対抗戦を開催できるようになることも期待しています。