iPhoneでビデオを撮影すると、そのビデオには撮影位置の情報が記録されます。撮影済ビデオを写真アプリで開くと、タイトルバーに撮影場所(行政区分や施設名)が表示されますが、それはビデオに位置情報が記録されているからです。

位置情報は、ビデオの撮影日時や記録時間など映像関連のさまざまな情報とともに、動画ファイルフォーマット(MOV形式)内部にメタデータとして埋め込まれています。メタデータを解析/出力する機能を備えた動画アプリを用意すれば、位置情報である緯度・経度を調べられますし、編集機能が装備されていれば位置情報を変更することも可能です。

たとえば、パソコンで「ffmpeg」というコマンドベースのアプリケーションを利用すると、iPhoneで撮影した動画には「com.apple.quicktime.location.ISO6709」という項目名で緯度・経度情報が記録されていることを確認できます。この情報をうまく使えば、ビデオのサムネイルとその撮影位置をマップ上へ表示するアプリの開発も可能になります。

位置情報はセンシティブな個人情報ですから、不用意に取り扱うべきではありませんが、iPhoneで撮影したビデオに関していえばそれほど神経質になる必要はありません。多くの写真共有/SNSサービスは、ビデオをアップロードした時点で位置情報を破棄しますし、ビデオ編集アプリの多くも再エンコード処理のとき「com.apple.quicktime.location.ISO6709」を無視します。

ただし、撮影したビデオをケーブルまたはAirDropでパソコンへ転送した場合には、位置情報が温存されます。特に4Kで撮影したビデオは容量が大きいため、変換処理/再エンコードなしに誰かへ渡すことは少ないでしょうが、気に留めておくべきです。

  • iPhoneで撮影したビデオの位置情報は「メタデータ」として記録されています