「東京ゲームショウ2020 オンライン」で発表されたセガ設立60周年記念プロジェクト「バーチャファイター×eスポーツ」。その時点では、約1分のトレーラー映像の公開とともにプロジェクト発足のみが明かされます。「バーチャファイター」シリーズの最新作がリリースされるのか、はたまた対戦格闘ゲームではない違うジャンルのゲームがリリースされるのか、既存の「バーチャファイター」タイトルを使って大会を開くのか、さまざまな憶測が飛び交いました。

そして2021年5月27日、「バーチャファイター×eスポーツ」プロジェクトの正式発表放送で、『Virtua Fighter 5 FinalShowdown(VF5FS)』をフルリメイクし、対戦や大会に特化したモードを搭載したPlayStation 4用ソフトウェア『Virtua Fighter esports』をリリースすると発表しました。しかも、PS Plus加入者向けには6月1日から8月2日までフリープレイで配信。6月2日からは全国のゲームセンターでアーケード版も稼働しています。

正式発表放送では、セガ公式eスポーツ大会の展開についても言及。2021年度を「SEASON_0」として、シーズンを開幕します。そこで、「バーチャファイター×eスポーツ」プロジェクトのeスポーツ展開について、セガ ジャパン アジアパブリッシング事業部 副事業部長の宮崎浩幸氏に話を聞いてきました。

  • バーチャファイター×eスポーツ

    6月1日に発売された『Virtua Fighter esports』

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    ジャパン アジアパブリッシング事業部 副事業部長の宮崎浩幸氏

――「バーチャファイター」シリーズをeスポーツ展開のタイトルに選んだ理由を教えてください。

宮崎浩幸氏(以下、宮崎):2018年にeスポーツ事業を展開しようと考えたとき、『ぷよぷよ』と同様に『バーチャファイター』も候補に挙がっていました。セガのIPを使ってeスポーツ展開を行うと考えたときに、『バーチャファイター』を採用するのは、自然の流れであり、当然の結果だと思います。

ですが当時、セガはeスポーツ事業に初めて取り組むわけですし、大会などのイベントもしばらくやっていなかったので、いきなり『ぷよぷよ』と『バーチャファイター』の2タイトル両方をやるのは難しいのではないかと考え、まず『ぷよぷよ』からスタートすることになったわけです。

――そこで『ぷよぷよ』を選んだのはなぜでしょうか。

宮崎:『ぷよぷよ』に関しては、eスポーツ事業を展開する時点で、地域的にも、世代的にも幅広いコミュニティが存在し、大会なども継続して行われていました。今ではプロプレイヤーとして活躍している「くまちょむ」選手や「Kamestry」選手、「live」選手など、長くプレイしてくださっているプレイヤーも多かったので、『バーチャファイター』よりも展開しやすいのではと考えたためです。

ただ、eスポーツのノウハウがなかったので、想定外のことも起こりました。今回の『バーチャファイター』のeスポーツ展開では、その経験が活かされています。

――想定外のこととは、どのような出来事でしょうか。

宮崎:『ぷよぷよ』だけでなく、多くのeスポーツタイトルに当てはまることですが、ゲームがeスポーツイベントに特化した仕様になっていませんでした。さらに2020年からはコロナ禍でオンライン大会が主流になりましたが、そういう状況が想定されていなかったわけです。

具体的にいうと、観戦モードやトーナメントモード、オンラインで配信するのに必要な機能が用意されていなかったんですよね。なので、『Virtua Fighter esports』では、とにかく、その点を充実させるようにしました。

――ルームマッチでは、トーナメント(シングル・ダブル)戦やリーグ戦、組み手戦など、多くの対戦形式を用意し、観戦も簡単にできるようになっています。ただ、大元であるゲーム自体は『VF5FS』のリメイク。完全新作を望んでいた声も多かったのではないでしょうか。

宮崎:完全新作を望む声はあると思います。ですが、セガのeスポーツ事業が2018年から、「バーチャファイター×eスポーツ」プロジェクトは2020年9月から始まっているので、もし完全新作を出すのであれば、このタイミングでは出せていないでしょう。発売までに何年かかるかわかりませんからね。

とにかく今は『バーチャファイター』を多くの人に知ってもらいたい、触ってもらいたいという気持ちが強くありました。なので、現状ではベストの選択をしたと思っています。

とはいえ、10年も前にリリースしたタイトルを出すわけですから、モードの刷新だけでなく、見た目も新作タイトルに劣らないものにする必要がありますよね。セガには、『龍が如く』シリーズで使われている「ドラゴンエンジン」があったので、それを使って制作を進めました。

――『VF5FS』のころとはゲームを取り巻く環境も大きく変わっており、リリースしたら次回作が出るまでそのままというわけではありません。『バーチャファイター×eスポーツ』もバージョンアップデートによる、バランス調整や新キャラクター、新技の追加などはあり得るのでしょうか。

宮崎:もちろん、アップデートはしていきます。ただ、新キャラクターや新技については、かなりの覚悟がないと難しいと思っています。その点については、現時点ではなんとも言えないですね。eスポーツとしてのゲームバランスに偏りがあれば、バランス調整は当然やっていくでしょう。

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――以前、別の機会で「eスポーツ事業はマネタイズを確立しないと難しい」という話を伺いました。「バーチャファイター×eスポーツ」でも収益を出せると判断した結果プロジェクトがスタートしたのでしょうか。

宮崎:「バーチャファイター×eスポーツ」プロジェクトは、セガ設立60周年企画プロジェクトのひとつだったわけですけど、そのときに経営のトップを交えた会議では、「バーチャファイター×eスポーツ」プロジェクトを通じたマネタイズのプレゼンはできませんでした。

ただ、セガにとって『バーチャファイター』は重要なIPなので、トップの気概を持ってやることになりました。しかも、多くの人に触れてもらいたいとい気持ちで、PS Plusでは約2カ月間フリープレイです。

そもそも、セガという会社は、必ずしも確実に利益を見込める事業だけをやってきたわけではありません。それは、これまでのセガの活動を見ればわかりますよね(笑)。将来的にダウンロードコンテンツなどで収益化は目指さないといけませんが、それすらもどれだけの収益になるかは見込めてないですね。

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    セガにとって『バーチャファイター』は重要なIPであることは、セガ社内に『バーチャファイター』と書かれた会議室があることからもよくわかる。なお、この部屋は予約が取りづらいほど人気なのだとか。ただし、内装はほかの会議室と同じ

――eスポーツ展開では、2021年度に「SEASON_0」として「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP」を2回開催するとともに、日本eスポーツ連合(JeSU)のライセンス認定タイトルにしたいと話していましたが、国内での展開が中心となるのでしょうか。

宮崎:最初はそのつもりでした。元々「バーチャファイター」シリーズは、日本とその近隣の東アジアの国と地域で人気でしたが、欧米ではそこまで手ごたえがありませんでした。対戦格闘ゲームイベント「EVO」でも、サイドトーナメントの開催しかありません。

なので、今回もまずは日本国内を中心とした展開を考えていたのですが、『Virtua Fighter esports』のダウンロード数が予想以上、それも桁違いの数だったんです。その中心となったのが欧米。実は日本よりも欧米のほうがはるかにダウンロードされているんです。その状況を考えると、国内だけでなく、海外を踏まえての展開も考えていかないといけないですね。

ただ、どの国の誰と協力をしていけばいいのかも、今は見定めている状況です。そもそも、国内大会もまだやっていない段階ですし、その大会は、過去にゲームセンターなどで開いていたアーケード版「バーチャファイター」シリーズの大会とまったく同じことになるとも思っていません。

あのころの熱量は今でも必要だと思っていますが、eスポーツとして、現在の大会として、必要なことを考えていこうと思っています。そのうえで望ましいのは、若いプレイヤーが入ってくれることですね。

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――それだけ海外でのダウンロード数があるのでしたら、ゆくゆくは海外への進出も考えられるのでしょうか。

宮崎:そうですね。『Virtua Fighter esports』のみならず、『ぷよぷよeスポーツ』も海外で展開していきたいと思っています。ただ、海外と日本ではeスポーツの概念が違います。

海外でeスポーツといえばシューティングゲームやMOBAというイメージ。パズルゲームはもちろん、対戦格闘ゲームもeスポーツと認識されていないところがあります。なので、『ぷよぷよeスポーツ』も『Virtua Fighter esports』も海外では「eスポーツ」をタイトルには入れていません。ただ、大会は開いていきたいですね。

――『ぷよぷよeスポーツ』では、セガが運営するコミュニティ「ぷよキャン」がありましたが、同様に『バーチャファイターeスポーツ』でも、セガがコミュニティへの手助けや後押しをしていくのでしょうか。

宮崎:まさに「ぷよキャン」の『Virtua Fighter esports』版である「VIRTUA FIGHTER CAMP」を作りました。内容は「ぷよキャン」をほぼ踏襲しています。

今のところ順調に登録者数も増えていますし、大会の募集も行われています。「ぷよキャン」の「ぷよぷよカップ」のようにプロ・一般混合競技会も開きたいし、ランキングを整備してポイントをコミュニティの大会で付与できるようにもしていきたいと思っていますが、「ぷよぷよチャンピオンシップ」に当たる「VIRTUA FIGHTER esports CHALLENGE CUP」が1度も開催されていないので、それもまだ先になると思います。

シーズン1が始まるころまでには整備していく予定です。とりあえず、2021年開催予定の「SEASON_0」次第で変わってくると思います。

――ありがとうございました。

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◆応募期間:2021年7月6日17時~2021年7月13日23時59分
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