パナソニック ライフソリューションズは6月25日、電動工具の新ブランド「EXENA(エグゼナ)」を発表。インパクトドライバーとドリルドライバーを中心に、フラグシップのPシリーズが2製品、コンパクトタイプのLシリーズが5製品となります。発売は2021年8月から順次。希望小売価格はLシリーズのドリルドライバー「EZ1D32」が22,000円~。発表会から新製品を紹介します。

  • 新ブランド「EXENA」の新製品となる2シリーズ

  • 製品の希望小売価格と発売日

新ブランドのコンセプトはプロユース支援

新ブランドの「EXENA」は、「EXPERT(熟練者)」「ENERGY(エネルギー)」「ENABLER(支援する)」という3つの言葉を由来にした造語。「この世界に元気を灯すプロフェッショナルのために。」というブランドコンセプトに添って名付けられました。

パナソニックは1979年から電動工具を発売しており、40年以上かけて幅広い製品群をラインナップしてきましたが、徐々にEXENAブランドへと切り替えていく予定とのことです。

EXENAは、ホームユースのDIY向けから、プロが使うインダストリアル向けまで、幅広いレンジを対象にした製品群。たとえばプロユースだと、近年の工事現場では施工の難しい狭所の作業が増えているといいます。設備機器の多様化・多機能化によって、形状やサイズが異なる機器が増えているのに加え、既存の設備がある状態で施工するリフォームなども増加していることが背景にあります。

小型化しながらもパワフルに使えるPシリーズ

そこでEXENAの中でもPシリーズは、上記のような背景を踏まえてヘッドサイズを小型化したフラグシップモデルです。

  • EXENA Pシリーズ。左から、アタッチメント非装着の「EZ1PD1-B」、「EZ9HX501」を装着した「EZ1PD1-R」、「EZ9HX500」を装着した「EZ1PD1-Y」、非装着の「EZDD1-B」、補助ハンドル「EZ1DD1F7001」を装着した「EZDD1-R」

充電インパクトドライバー「EZ1PD1」(29,480円~)は、2021年8月に発売予定。14.4V/18Vクラスでは、ヘッドサイズが業界最短(パナソニック調べ)の98mm、重さも1.5kgに抑えています。ハンマーを従来比で半分のサイズ、駆動軸を従来サイズから20mm小型化、モーターも従来から30%小型化して実現しました。

  • 上がEXENA Pシリーズのブラシレスモーター。下は従来モデルのブラシレスモーター

  • 幅98mmとコンパクトなため、狭い隙間でも挿し込んで打ち込みが可能

さらに、業界初(パナソニック調べ)の8方向に取り付けられるアタッチメントシステム「ATTACH8」によって、狭所作業に対応しています。アタッチメントは天井のキワなどに簡単に打ち込める「スミ打ちアタッチメント」と、ハンドルに対して90°の角度を付けて打ち込める「アングルアタッチメント」の2種類。打ち込む環境に応じて、アタッチメントの角度を8方向から調整して、無理な姿勢を取ることなく作業できるようになっています。

  • 「スミ打ちアタッチメント」を使えば、天井のキワにもまっすぐにネジを打ち込めます

  • 「アングルアタッチメント」を使えば、低い位置や狭い隙間でも不自然な姿勢にならずにネジ打ちできます

  • EXENA Pシリーズ EZ1PD1は、黒(-B)、赤(-R)、黄(-Y)の3色展開。3種類の電池パック容量と本体のみの構成から選べるほか、別売で2種類のアタッチメントを用意しています

【動画】パナソニックの「EZ1PD1」紹介動画
(音声が流れます。ご注意ください)

ドリルドライバーの「EZ1DD1」(40,370円~)は、同じく14.4V/18V対応で回転数・トルクによる締付力設定が可能な電子クラッチに対応。メカクラッチ機構を省略したモデルとしては、パナソニック史上で最小ヘッドサイズの160mmを実現しています。2021年9月発売予定です。

  • EXENA Pシリーズ EZ1DD1は、黒(-B)、赤(-R)の2色展開。3種類の電池パック容量と本体のみの構成から選べるほか、別売で補助ハンドルと3種類の電池パックを用意

Pシリーズでは、EZ1PD1とEZ1DD1の両機種とも、本体の動作をセンシングしてスピードとパワーをリアルタイムで制御する独自技術「+BRAIN」を搭載します。+BRAINによって、EZ1PD1ではビス締めの負荷をリアルタイムでセンシングし、回転数を負荷に応じて制御することでカムアウトを低減します。EZ1DD1では、トリガー操作で正転と逆転を切り替えできる新しいタップモード(ネジ穴などの溝穴を切るモード)に+BRAINを活用しており、タップドリルの中折やスイッチ故障も抑制します。

  • 回しているうちに、ビスの頭からドライバーが外れてしまうカムアウトを低減(EZ1PD1)

Pシリーズ EZ1PD1の主な仕様は、最大締付トルクが155N・m、回転数が0~2,700回転/分、打撃数が0~4,100回/分。本体サイズと重さは、18V5.0Ah電池パック装着時で全長98×全高243×幅59mm、1.5kg。

Pシリーズ EZ1DD1の主な仕様は、最大締付トルクが50N・m(剛性体締付トルク)、回転数が20~1,800回転/分。本体サイズと重さは、18V5.0Ah電池パック装着時で全長160×全高253×幅66mm、1.85kg。

【動画】パナソニックの「EZ1DD1」紹介動画
(音声が流れます。ご注意ください)

天井などの上向き作業も容易な小型軽量のLシリーズ

Lシリーズの充電インパクトドライバー「EZ1P31」(24,200円~)、チャック式の充電ドリルドライバー「EZ1D31」(24,200円~)、ビット式の充電ドリルドライバー「EZ1D32」(22,000円~)は、取り回しの良さを追求したミドルパワーの小型軽量タイプ。パナソニックでは新電圧となる10.8Vで動作します。いずれも発売は2021年冬を予定。

  • EXENA Lシリーズ。左から「EZ1P1-R」と「EZ1P1-Y」、「EZ1D31-R」と「EZ1D31-Y」、「EZ1D32-R」と「EZ1D32-Y」

建築業界における労働人口の高齢化による身体への負担軽減や、ミスを減らすことで作業ストレスを減らすといったニーズに応えるモデルになっています。

Lシリーズでは、ドライバーだけでなく、充電油圧マルチ圧着器「EZ1W31」(241,780円~)と、充電LEDマルチライト「EZ1L31」(14,300円)も用意しています。

圧着器はケーブルの端子と電線を圧着する道具で、アタッチメントのケーブルカッター刃「EZ9X350」を取り付けることで、ケーブルの切断も可能。ケーブル径は14mm2、22mm2、38mm2、60mm2に対応します。

  • 38mm2や60mm2などの太い径は、手工具ではかなりの作業負荷が伴いますが、電動の圧着器なら負荷を減らせます

LEDライトは明るさが最大600ルーメン。調整は「切」を含めて4段階です。ライト部は垂直180°・水平270°で回転可能。マグネット付きで、作業中の鉄板や自動車などに貼り付けられます。持ち運び時はハンドルを利用し、ハンドルを収納するとフックになって、脚立などに引っかけておけます。

  • フックやマグネットを利用して、引っかけたり貼り付けたりが容易なLEDライト

  • EXENA Lシリーズは、ドライバーがいずれも赤(-R)と黄(-Y)の2色展開。いずれも電池パック搭載と本体のみの2種類から選べます

PシリーズとLシリーズは一見するとよく似ていますが、横並びにするとPシリーズのほうが高さがあるのが分かります。Pシリーズはバッテリーが18V5.0Ah、もしくは4.4V5.0Ahで、Lシリーズはバッテリーが10.8V2.0Ah。本体にデザインされているラインはPシリーズのほうが太く、Pシリーズには「+BRAIN」のロゴも入ります。

  • 奥がPシリーズ、手前がLシリーズ。PシリーズとLシリーズの外見上の違いは、本体の大きさやラインの太さ、+BRAINのロゴなどです

Lシリーズの本体サイズ・重さは、EZ1P31が全長138mm×高さ219mm×幅56mm・1.25kg、EZ1D31が全長159mm×高さ219mm×幅56mm・1.25kg、EZ1D32が全長128mm×高さ219mm×幅56mm・1.10kg。なお、Lシリーズの仕様は最終ではなく、変更の可能性もあります。