フィリップス・ジャパンは5月25日、電動歯ブラシ「ソニッケアー 9900 プレステージ」を発表しました。同社は2011年から「ダイヤモンドクリーン」シリーズを電動歯ブラシ「ソニッケアー」の最上位に位置付けていましたが、今後はこのプレステージシリーズが最上位モデルとなります。
新製品の特徴は「使う人に合わせて動きを制御」するという「SenseIQ」機能と、従来の最上位モデルであるダイヤモンドクリーンの約2倍という歯垢除去性能。ソニッケアー 9900 プレステージの発売日は6月4日、価格はオープン、市場推定価格は45,500円前後です。ここでは新製品(試用機)の使い勝手などを詳しくレポート。とくに、これまでのソニッケアーファンにもわかりやすいよう、ダイヤモンドクリーンとの違いにも触れます。
フィリップスの高機能製品に続々と搭載されるSenseIQ
フィリップス製品をチェックする上で欠かせないのが「Sense(センス)IQ」という技術。各種センサーを駆使し、家電製品が「ユーザーに合わせた動き」をする技術です。たとえば、2021年2月発売の「フィリップス ヘアドライヤー プレステージ」は、髪表面の温度をセンシングしてユーザーの髪温度に合った温風を送風しますし、「シェーバー S7000/S5000」はヒゲの濃さに合わせてパワーを調整します。
今回のソニッケアー 9900 プレステージは、SenseIQとして毎秒最大100回、ブラッシングの圧力や動き、範囲をセンシング。個々のユーザーに合ったブラッシングの強さを提供します。また、ブラシを歯に強く押しつけすぎた場合は、自動的に動きを調整。歯や歯ぐきにダメージを与えにくい設定に切り替わります。
替えブラシを一新。歯垢除去能力は手磨きの約20倍
もうひとつの注目ポイントが、歯垢除去能力の向上です。ソニッケアー 9900 プレステージには、新開発の「プレミアムオールインワンブラシヘッド」が標準で付属しています。このプレミアムオールインワンブラシヘッドは、歯垢はもちろん、ステインや歯ぐきのケアのすべてを同時にケアできるブラシ形状です。
一般的なブラシと違うのは、ブラシの先端にわざと角度を付けているところ。これにより、広い角度から歯垢にアプローチするといいます。フィリップスによると、歯垢除去能力は手磨きの約20倍にもなるそうです。
従来のフラッグシップモデルであるダイヤモンドクリーンの歯垢除去能力は手磨きの10倍だったことを考えると、単純に考えて約2倍に向上しています。また、三角柱の形状にしたブラシの毛でステインを除去、さらにブラシ端の毛を長くして歯ぐきのケアにも有効としました。
ソニッケアー製品は、シリーズ共通で替えブラシを利用できます。このため、従来の最上位機種であるダイヤモンドクリーンに、プレミアムオールインワンブラシヘッドを装着して使えます。ソニッケアー 9900 プレステージもダイヤモンドクリーンも、毎分31,000回/分の高速振動で歯垢をたたき浮かせ、広い振幅で歯垢を払い落とし、さらに振動で「音波水流」を発生させて歯の隙間の汚れも落とすという、ソニッケアーならではの動きは同じ。ブラシを交換すれば、ダイヤモンドクリーンもソニッケアー 9900 プレステージとほぼ同等の歯垢除去能力が得られます。
アクセサリーもコンパクトに進化! 充電台は好みがあるかも?
もちろん、ダイヤモンドクリーンとソニッケアー 9900 プレステージでは、異なる部分はいろいろあります。そのうちひとつはスマホアプリとの連携。
ダイヤモンドクリーン(一部モデル)とソニッケアー 9900 プレステージは、毎日のブラッシングを管理する専用のスマホアプリと連携しますが、バックグラウンドでスマホアプリと連携したときの動作がちょっと違います。
こういった歯磨きとアプリを連携する機能は、最近の電動歯ブラシのプレミアムモデルとしては珍しくありません。でも、歯磨きのたびにアプリを立ち上げるのは意外と面倒。だんだんアプリを使わなくなるユーザーもいるでしょう。
そこでソニッケアー 9900 プレステージは、Bluetooth通信の有効範囲内なら、アプリを立ち上げなくても歯磨きデータをログとして蓄積します(自動同期機能)。いちいちアプリを立ち上げなくても、毎日の歯磨きログを残すことが可能。アプリの立ち上げが面倒に感じていた筆者にとって、かなり魅力的な機能でした。
もうひとつの違いはデザイン。ダイヤモンドクリーンはボタンがふたつ配置されていましたが、ソニッケアー 9900 プレステージのボタンはひとつ。ボタンに継ぎ目のないシームレスデザインを採用することで、本体デザインがシンプルでスタイリッシュになっています。
付属するアクセサリーも一新されました。ダイヤモンドクリーンシリーズは充電台も兼ねる専用のガラス製コップが特徴的。コップに本体を入れれば自動で充電される仕組みです。充電台はコップとしても使えるので、シンク周りがコップや充電台でゴチャつかないというメリットもありました。
一方、ソニッケアー 9900 プレステージの充電台は、充電専用のコンパクトな台になりました。新製品発表会でフィリップスは、「日本の狭い洗面所や日本人の小さな手のサイズを考えると、本体や付属品はコンパクトにすることにメリットがある」とコメントしています。個人的にはコップ型の充電台はかなり使いやすかったので、今後はどちらか選べるようになったらいいなと思っています。
「さすが新モデル、断然よい!」と感じたのは、標準で付属するUSB充電トラベルケースです。筆者はさまざまなメーカーの電動歯ブラシを試していますが、ソニッケアー 9900 プレステージのUSB充電トラベルケースは他社製品を含めて今まで見たことがないくらいコンパクト。また、全体的に皮のような質感となっていて、とにかく高級感があります。とにかく持ち運びやすいので、旅行に持っていく歯ブラシはソニッケアー 9900 プレステージが候補のトップと確信しています。
今回、高機能な電動歯ブラシのトップブランド「ソニッケアー」シリーズとしては、久しぶりに最上位機種がフルモデルチェンジ。SenseIQによって安心して歯を磨ける、アプリを立ち上げなくてもログが残せる――というメリットはあるものの、「歯を磨く」という基本性能は従来機種(ダイヤモンドクリーン)と大差ないように感じます。とはいえ、歯ブラシ本体から付属品まで、質感やデザインは確実にアップグレードされているため、「持つ楽しさ」を感じられる製品です。