データドリブンなビジネスへの変革が求められている現在、データの蓄積・活用を支える「ストレージ」の重要性も高まっている。最新テクノロジーが採用されたストレージソリューションを積極的に検証しているヤフー株式会社は、ウエスタンデジタルの「OpenFlexF3200/E3000」に注目。実機を使った検証を行い、NVMe-over-Fabrics技術を採用したストレージ製品のパフォーマンスを検証した。「OpenFlex」NVMe-oF コントローラを内蔵し、200万IOPS、最大容量61TBの高性能・高密度を実現したストレージデバイスであるF3200ファブリックデバイスを、最大10本搭載できるE3000ストレージエンクロージャーから構成されている。効率的なストレージリソースの共有・追加が可能で、費用対効果の高いインフラを構築できる。

データセンターを自社運用するヤフーが求めるストレージ製品の要件

ITの進化に伴い、ビジネスにおける“データ”の重要度は高まる一方だ。あらゆる業種・業態において、データを利活用する環境の整備が最優先のミッションとなってきている。そこで重要となってくるのが、企業のITインフラのなかでデータを保存する役割を担う「ストレージ」の選択だ。

クラウドサービスの活用がビジネスに不可欠なものとなった現在においても、データセンターなどオンプレミス環境のシステムすべてがクラウドに置き換えられるわけではない。昨今ではオンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウド環境でシステムを運用する企業も増えてきており、ストレージの重要性はさらに高まっている状況だ。こうした状況のなか、ビジネスの先を見据えたテクノロジー活用に積極的な企業は、ストレージ領域においても最新技術を採用した製品にアンテナを張り巡らせている。

日本最大クラスのインターネットサービス「Yahoo!JAPAN」を運営し、FinTech領域の決済金融ビジネスをはじめ、さまざまな事業を展開するヤフー株式会社(以下ヤフー)もその1つ。継続的に市場調査を行い、ビジネス課題の解決につながると感じた技術や製品をキャッチアップして検証を進めている。

その同社が注目し、実機による検証を行った最新のプロダクトが、ウエスタンデジタルが提供する「OpenFlex F3200/E3000」(以下OpenFlex)だ。NVMe-over-Fabrics(以下NVMe-oF)技術を採用し、高いパフォーマンスと可用性を実現したストレージ製品となる。同社のインフラ基盤、特にストレージ製品の選定や検証を行っている第11代黒帯~ストレージ~テクノロジーグループ システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術6部 ストレージ1リーダーの沼田晃希氏はこう語る。

  • 「OpenFlex」

    「OpenFlex」

「ヤフーのインフラチームでは市場の調査も重要なタスクの1つです。INTERROPやデータセンター&ストレージEXPOといった展示会に赴いて、気になった製品をピックアップして検証を行ってきました。そのなかの1つが、NVMe-oFを採用したストレージ製品であるOpenFlexです」(沼田氏)

自社でデータセンターを運用していることもあり、高速で可用性の高い環境を構築するためにはストレージの選択が重要なミッションになると沼田氏。今回の検証プロジェクトもその一環と話す。

OpenFlexを検証するにあたり、もっとも注視したのは「パフォーマンス」で、カタログスペックどおりの速度が出るのかを各種ベンチマークで検証。同時に他のストレージ製品と比べたコストや可用性の優位性に関しても確認していったという。また沼田氏は、「ウエスタンデジタルにはハードディスクやフラッシュメモリーのイメージが強く、ディスクアレイ製品やストレージシステムといった領域でどのようなソリューションを展開しているのか興味がありました」と、OpenFlexの検証を行ったもう1つの要因を語る。

ウエスタンデジタルの密接なサポートを受け、パフォーマンスを中心に検証を実施

今回のプロジェクトは、メーカーであるウエスタンデジタルの直接的なサポートを受けながら推進された。実際の検証を担当したのは、インフラチームでストレージの運用・保守対応、新規構築、新機材の検証に携わっているテクノロジーグループ システム統括本部 サイトオペレーション本部 インフラ技術6部 ストレージ1 の三添匠氏。2020年9月ごろからウエスタンデジタルとのやり取りを開始し、2021年の4月に機器が導入され、そこから約半年に渡って検証を行ったという。

「サーバーを4台用意し、OpenFlex F3200を4台搭載したOpenFlex E3000(エンクロージャー)と100Gのスイッチで接続して検証環境を構築しました。評価で重視したのはパフォーマンスで、カタログスペックの最大200万IOPSが実際に出るのかを、各種ベンチマークで検証しました。そのほかには、障害が発生した際に各部品を切り離せるかといった検証も実行。実機を使って外せるパーツやファン、電源ユニットなどを抜き差しした際の挙動を確かめたりしました」(三添氏)

  • 構成図

    構成図

また、サーバー上にSoftware-Defined Storage(SDSを構築し、SDS上からどれだけのパフォーマンスが得られるのかも検証された。沼田氏は「現状、SDSのデータ領域の部分には内蔵ディスクを使用していますが、それを外部ディスクにしてどうなるかを確認したいと思い、本来の目的であるパフォーマンスの検証とは異なるところのテストも実行しました」と検証の理由を解説する。

仕様どおりの高パフォーマンスを確認、無駄な機能を省いたシンプルな構成も大きな利点

半年にわたった検証の結果として、カタログスペックと同等のパフォーマンスが得られることが確認できたと三添氏は語る。 「今回の検証は、高いパフォーマンスが求められる金融領域のシステムをメインのターゲットに想定していましたが、低コストで高パフォーマンスであることが確認できたOpenFlexは、有効なソリューションになり得ると感じました」(三添氏)

また三添氏は、今回の検証で見えてきた課題として運用・管理面の機能を挙げ、「サーバー側での監視を前提に設計されているのかもしれませんが、ストレージ側で運用・監視を行う機能が足りないと感じました。この部分が拡充されてくれば、より有益な選択肢として検討できるようになると思います」と指摘する。

とはいえ、高いパフォーマンスと可用性を備えたストレージを低コストで利用できるOpenFlex が、社内インフラのストレージ領域における課題解決を支援するソリューションであることは確かと沼田氏。OpenFlexが有効な社内システムがあれば、実際に導入することを検討していく可能性は高いと話す。

「今後、オンプレミス環境で運用するストレージ製品は、何かしらの“光るもの”がないと厳しくなってくると感じています。システムのクラウド移行が加速する状況のなかでは、メーカーと我々のような運用管理者の双方が、『なぜオンプレミスなのか』という問いに対する答え、すなわち社内システムにオンプレミス環境のストレージ製品を適用することのメリットを提示することが重要になります。その意味で、無駄な機能を盛り込まずコストも抑えた、良い意味での『シンプル』さを持ち、さらにパフォーマンスが求められる領域に有効なOpenFlex は、“光るもの”を備えたストレージ製品と評価しています」(沼田氏)

ヤフーでは、他の製品との比較も含め、今後もNVMe-oFを採用したストレージソリューションを検証していく予定だという。今回のプロジェクトでは検証できなかったが、プライベートクラウド環境での活用も視野に入れていると沼田氏は展望を語る。理想のITインフラを目指し、先進的なソリューションの検証を続けるヤフーと、シンプルさと高速性を追求したストレージ製品を展開するウエスタンデジタルの取り組みには、今後も注視していく必要があるだろう。

  • 沼田晃希氏(左)と三添匠氏(右)

    沼田晃希氏(左)と三添匠氏(右)

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