パナソニック インフォメーションシステムズ(PISC)は4月22日、社員を対象にした表彰制度「PISC AWARD」の受賞者を発表。大阪市内のホテルで表彰式を開催した。

「PISC AWARD」では、これまで売上や利益といった目に見える経営貢献にフォーカスして表彰していたが、1999年2月に設立してから今年で25周年を迎えることから制度を一新。チャレンジやTransformationなど、6つのカテゴリーに再編した。

生成AI技術「PX-AI」のプロジェクトチームが最優秀賞を受賞

6つの賞の中で最も優秀なチームには「PISC CEO AWARD」として、賞金100万円が贈られた。

今回、「PISC CEO AWARD」を受賞したのは、生成AI技術「PX-AI」の全社展開を行ったR&Dセンターのプロジェクトだ。PX-AIは、ChatGPTをベースにした社内専用の生成AIサービス。

  • 「PISC CEO AWARD」を受賞した「PX-AI」のプロジェクトチーム(右側の4名)。一番左は、代表取締役社長 玉置肇氏

    「PISC CEO AWARD」を受賞した「PX-AI」のプロジェクトチーム(右側の4名)。一番左は、代表取締役社長 玉置肇氏

このプロジェクトは、開始から2週間という短期間で生成AI技術「PX-AI」をパナソニックグループ社員に展開。昨年4月に提供を開始し、1年かけて改修を進めたという。直近の4カ月に限ると全社の42%が「PX-AI」を利用している。今後は、音声入力や画像認知という領域にも広げていくということだ

より特別感が味わえる表彰制度に刷新

受賞に際して、代表取締役社長 玉置肇氏は、次のように語った。

「『PISC AWARD』では、現場で手を動かし、汗をかいている人を称えたいと考えています。『PX-AI』チームには、これからの進化を期待しながら、最初の『PISC CEO AWARD』を差し上げようと思いました。このように晴れの日を作り、頑張った人たちを称えるというのは、すごく良いことだと思います。これからも、生成AIを使って企業変革を支えてほしいです」

玉置氏は、このように現場の人を褒め称えることを、PISCのカルチャーにしていきたいとの意気込みを示した。そして、次の25年に向けての抱負を以下のように語った。

「1932年、松下幸之助創業者は250年の計画を立てました。そして、250年を10節に分け、25年を一区切りに事業をやってきているわけです。PISCは今年で25周年。私たちは次の25年、新たな目標に向かっていきますが、その区切りにふさわしい会になったと思っています。パナソニックグループをますます発展させるためにも、PISCのみなさん、それから協力会社、関連会社のみなさん、みんなで心を一つにしてやっていきたいと思います」

  • パナソニック インフォメーションシステムズ 代表取締役社長 玉置肇氏

    パナソニック インフォメーションシステムズ 代表取締役社長 玉置肇氏

人事総務部 部長 山本晃氏は、「PISC AWARD」の意義について、「当社はパナソニックグループのITの中核会社という位置づけになっており、パナソニックのDX(デジタルトランスフォーメーション)であるPX(パナソニック・トランスフォーメーション)を推進している母体でもあります。そのような中で、当社の経営を加速するツールとして、特別感を味わえるような制度にしたいと考えています」と語る。

さらに、制度を一新した狙いについて、山本氏は次のように説明した。

「これまでも表彰を行ってきましたが、どちらかというと、何年かすれば自分のところに順番が回ってくる、より多くの社員が受賞できる制度になっており、少し特別感が薄れていました。そこで、より特別感を味わえる形に装いを新たにしたのが今回の『PISC AWARD』になります。賞を取るために仕事をしているわけではありませんが、社員にとっては、特別感がある賞を受賞できるかもしれない、もしかすると100万円がもらえるかもしれないという期待感もあるでしょう。今回受賞した各チームは、現場で多くの人に賞賛してもらえます。新たな制度は、そうした意味で社員のモチベーションアップにつながると思っています」

  • パナソニック インフォメーションシステムズ 人事総務部 部長 山本晃氏

    パナソニック インフォメーションシステムズ 人事総務部 部長 山本晃氏

表彰式には新入社員も参加

「PISC AWARD」の表彰式には、今年入社した新入社員56名も参加した。山本氏は参加した新入社員に対して、「将来表彰されたい、ここで頑張りたいと少しでも思ってもらえたら」と期待を寄せた。

  • 表彰式に参加した今年の新入社員

    表彰式に参加した今年の新入社員

新入社員の谷田実桜氏は、「社員の方がどういう仕事をしているのかを知ることができてよかったと思います。売上などの業績だけではなく、挑戦する姿勢が評価される賞もあり、いつか受賞できるよう頑張ります」と、授賞式に参加した感想を語った。表彰式の時点で、新入社員の配属先は決まっていなかったが、谷田氏は、今後やってみたい業務としてAIを活用したデータ分析を挙げた。

  • 新入社員の谷田実桜氏

    新入社員の谷田実桜氏

人材獲得に向け、初任給を引き上げ

最近はどの業界も人材不足であり、新入社員獲得に向け初任給をアップする企業が多い。同社も今年3月、ベースアップと初任給の引き上げを発表した。ベースアップは平均約6%、大卒の初任給は15,000円アップし、26万5,000円(2年で17%アップ)とした。

また、院卒の初任給はこの2年で14%アップしている。その狙いについて山本氏は、「IT業界は、人的獲得競争が非常に激しい業界になります。初任給を上げていくのは、魅力をアップさせる要素の一つになります」と述べたが、同社の魅力は賃金だけではないという。

まず、同社には人材を育てるスキームが整っており、多様な働き方やパナソニックグループという大きな枠組みの中で、幅広い経験ができる点がある。例えば、情報処理の上流といわれる工程・戦略の立案から開発・運用までの全工程を担え、パナソニックは幅広い事業を手掛けているので、さまざまな経験ができる。

さらに、山本氏は「在宅勤務と出社型のハイブリッドな働き方が可能であり、『就職四季報 総合版2025ー2026年版』によると、年次有給休暇はIT業界で5年連続ナンバーワンの取得日数になっています。こうした部分もアピールポイントになると思います」と同社の魅力を説明した。