デジタル通貨フォーラム地域通貨分科会に参加する、パナソニックホールディングス、SocioFuture、auフィナンシャルホールディングス、TIS、ディーカレットDCPは5月16日、デジタル通貨「DCJPY」を用いたトークン型観光周遊パスに関わる技術検証を3月21日に実施したことを発表した。

この検証では、定額料金で電車やバスなどが乗り放題になる観光周遊パスをトークンで実装し、DCJPYのスマートコントラクトによる複雑な事務処理の自動化に関して確認した。交通機関および店舗に対する利用状況に応じた精算や、利用者に対する未使用分のポイントバック、紹介者に対する報酬の付与などを確認したとのことだ。

  • デジタル通貨DCJPYを活用した周遊パス

    デジタル通貨DCJPYを活用した周遊パス

各社の役割

今回の検証では、パナソニックホールディングスがDCJPY上でのスマートコントラクトの開発を行い、SocioFutureおよびauフィナンシャルホールディングスが実証シナリオ策定の知見を提供。TISとディーカレットDCPが本検証の推進と管理を担当した。なお、シナリオ策定に関しては分科会参加企業である西日本旅客鉄道株も知見を提供した。

実証の概要

観光誘致などの目的で販売される周遊パスは、周遊エリア内の電車やバスなどが定額で乗り放題になるほか、施設やショップ・レストランなどがお得に利用できる仕組みを提供する。しかし、その一方で、周遊パス提供自治体や事業者は、交通事業者や店舗に対する売上の適正な配分や即時の精算が難しく、商品設定が多様で事務処理が煩雑になるといった課題を抱える。

また、利用者はどれだけ利用すれば通常購入するより得になるのかが直感的に分かりづらい点が課題として挙げられる。これに対し、購入代金の配分ロジックや未使用額の算定とポイントバックのタイミング、紹介報酬の付与条件などをあらかじめDCJPYのスマートコントラクト上にプログラムし、条件を満たすと自動で実行される仕組みについて検証した。

実証結果

検証の結果、周遊パス提供自治体と事業者は、周遊パス利用者の交通機関や店舗ごとの利用状況に応じてパス購入代金が各事業者に自動的に配分され、即時に受け取ることができるようになったという。これにより、複雑な事務処理の軽減が可能となった。

また、利用者は使い切れなかった差額が自動的にポイントバックされ、そのポイントを使ってお土産などを購入できるようになった。プログラムの内容やデータ処理の結果はブロックチェーン上に書き込まれるため改ざんが困難であり、ブロックチェーンに参加するステークホルダーは参照できるなど取引の真正性も担保されているとのことだ。