TrendForceによると、2023年第4四半期(10~12月)のNAND市場は前四半期比24.5%増の114億9000万ドルとなったという。

この売上高の急増は、年末のプロモーションによって促進された最終需要と価格下落に伴うコンポーネント市場の注文増に起因しており、前年同期と比較して堅調なビット出荷につながっているという。また、各企業が2024年の需要についても引き続き明るい見通しを示していることと、戦略的な在庫備蓄も成長の後押しとなっているという。

こうした背景から2024年第1四半期についても、伝統的なオフシーズンであるにもかかわらず、NAND市場は前四半期比で20%増と高い伸びが見込まれるとTrendFrceは予想している。この予測は、サプライチェーンの在庫レベルの改善と継続的な価格上昇によって支えられており、顧客は潜在的な供給不足と価格高騰を避けるべく、注文を増やしているという。TrendForceでは、顧客からの注文の継続的な拡大により、NANDフラッシュメモリの契約価格は平均で25%ほど上昇するとも予想している。

  • 2023年第4四半期のNANDサプライヤの売上高ランキング

    2023年第4四半期のNANDサプライヤの売上高ランキング (出所:TendForce、2024年3月)

NANDサプライヤ各社の動向

NANDサプライヤトップのSamsung Electronicsの2023年第4四半期売上高は前四半期比45%増の42億ドルとなったが、主にサーバ、ノートPC、スマートフォン(スマホ)の需要増加に支えられたものだという。需要の急増に伴い顧客の注文に完全には応えきれていない部分があるものの、同四半期のビット出荷量は同35%増、平均販売価格も同12%増と高い伸びを示した。

業界2位のSKグループも価格上昇を追い風に売上高を同33.1%増の24億8000万ドルまで上昇させている。業界3位のWestern Digitalは、出荷量は同2%減と低迷したものの、平均販売価格が同10%増と上昇した結果、当該部門の売上高は同7%増の16億7000万ドルとしている。

業界4位のキオクシアは、PCおよびスマホクライアントからの注文増を背景に出荷ビット数量は微増ながら、売上高は同8%増の14億4000万ドルと伸ばした。

業界5位のMicron Technologyは、業界全体が同四半期において平均価格を前四半期比で10%近く上昇させていたにも関わらず、収益改善に向けて供給量を絞ったこともあり、ビット出荷量が同10%以上減となり、それに伴う売上高も同1.1%減の11億4000万ドルとしている。Micronは、2024年のNAND需要ビット容量の伸びを年率15~20%増と予想しており、収益改善に向けて需要と供給のバランスをとるために継続して調整を行っていく必要性を強調している。