2023年10月28日から11月5日まで東京ビッグサイトで開催されていた「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(ジャパンモビリティショー2023)」の日野自動車ブースでは、走行実験中の燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV プロトタイプ」が展示されていた。

この燃料電池大型トラックは、日野自動車が燃料電池自動車「MIRAI」を実用化したトヨタ自動車と共同で2020年3月より2基の燃料電池と電気モーターを利用する形で開発したもので、商用車の脱CO2(二酸化炭素)化を目指すもの。この実証実験を始めると公表した時の実機のトラックが展示されている。目標走行距離は600kmとしている。

  • 走行実験中の燃料電池大型トラック

    JAPAN MOBILITY SHOW 2023にて展示されていた走行実験中の燃料電池大型トラック「日野プロフィア Z FCV プロトタイプ」

日野自動車は「トヨタのMIRAI用燃料電池向け電気モーターと水素タンク(圧力70MPa仕様)をトラック向けに改良したもの2基搭載している」という。ただし、その具体的な改良点は公表していない。2020年3月時点で公表された同トラックの仕様を表1に示す。

  • 2020年3月に公表された際の燃料電池大型トラックの仕様

    2020年3月に公表された際の燃料電池大型トラックの仕様 (出所:日野自動車)

2020年3月の共同発表の時点で、日野自動車は「燃料電池大型トラックを実際の運送に利用する」と表明していたほか、「トラック運送の利用者として、アサヒグループホールディングス、西濃運輸、ヤマト運輸などが実際に走行させて、その脱CO2効果などを実測する」としており、日野自動車ブースの説明員によると、発表通りに「実際にアサヒグループホールディングスなど3者が自社製品の運送に利用している」という。

例えばアサヒビールの場合、茨城工場(茨城県守谷市)から同社の平和島配送センター(東京都大田区)に配送した後、相模原センター(神奈川県相模原市)に移動し、積み荷を降ろしてアサヒビール茨城工場に戻るなどの実走行試験を重ねているという。また、ヤマト運輸は羽田クロノゲートベース(東京都大田区)と群馬ベース(群馬県前橋市)間での実走行試験を積み重ねているとのことで、すでに走行実績があることを強調していた。

なお、この実機での走行試験で浮上した課題の1つとして、首都圏を中心に水素を重点できる水素ステーションの数がかなり増えたものの、多くの水素ステーションがMIRAIを中心とした乗用車向けの広さとなっており、大型トラックが実際に利用できる水素ステーションの増加が必要であるとしているほか、燃料電池大型トラックで東京-大阪間で走行させようと思う場合は、大阪市内や中継地点となる名古屋市などのの水素ステーションの大きさの確認なども必要になってくるとしていた。