経済産業省(経産省)傘下の特許庁は7月28日、知的財産をめぐる国内外の動向や特許庁における取り組みなどについて取りまとめた「特許行政年次報告書2023年版」を公表した

  • 「特許行政年次報告書2023年版」の表紙

    2023年7月28日に公開された「特許行政年次報告書2023年版」の表紙

同報告書は3部+付録の構成で、新技術・新産業創出の起点となる特許をはじめとする知的財産の重要性がますます高まる中、第1部「グラフで見る主要な統計情報」において、日本における特許出願件数は2000年前後の約44万件をピークに徐々に減少傾向となっており、2022年は前年比330件増の28万9530件(内国出願人だけでみると約20万件)と、この数年は横ばい状態を維持する状態が続いている。この傾向は、特許出願には経費がかかり、その維持にも経費がかかるために、各企業は“必須”特許に絞って、出願する傾向があるためと推定できる。

そうした中において、日本企業の中でも知的財産を新規事業創出の起点とみる「2022年特許登録件数上位10社(国内企業)」の顔触れに大きな変化はなく、1位から8位までは多少の順位の変動はあれど、ほぼその登録件数などに変化はなく、いずれも大手メーカーが占めている。

  • 2022年での特許登録件数上位10社

    2022年での特許登録件数上位10社(国内企業) (出所:特許行政年次報告書2023年版)

また、日本の大学での知的財産活動においては、民間企業との共同研究実施件数が緩やかに増えており、日本の民間企業が研究力や技術力を有する大学との共同研究の成果に期待しているとの実情が浮き上がる傾向にあるといえる。

  • 2022年における特許出願件数が多い上位10大学

    2022年における特許出願件数が多い上位10大学 (出所:特許行政年次報告書2023年版)

2022年における特許出願公開件数が多い上位10大学は、順に東京大学、東北大学、大阪大学、東海国立大学機構(名古屋大学と岐阜大学)、京都大学、東京工業大学、九州大学、北海道大学、慶応義塾大学、広島大学となっている。有力大学で産まれた独創的な研究開発成果を基にした、共同研究などによる特許を起点にする産学連携活動が進んでいることを示すものと見て取れる。