オリンパス、ソニー、ソニー・オリンパスメディカルソリューションズの3社は9月14日、外科手術用内視鏡システム「VISERA ELITE III(ビセラ・エリート・スリー)」を、欧州を皮切りに、中東、アフリカ、アジア一部地域、オセアニアおよび日本で、2022年9月以降順次発売することを発表した。

同システムは、従来機種であり、3D、IR、NBI観察に対応する「VISERA ELITE II」と4KならびにNBI観察に対応する「VISERA 4K UHD」の機能を1つのプラットフォームで対応させたもので、3社協業による第3弾製品という位置づけ。これまで、オリンパスとして「VISERA ELITE II」と「VISERA 4K UHD」をニーズに応じて販売してきたものを、「VISERA ELITE III」ではそれら2台の機能を1台のシステムで完遂できるようにしたことで、院内のオペレーションをシンプル化し、手技の効率化と医療従事者の負担低減を図ることができるようになったとしている。

  • 「VISERA ELITE III」

    「VISERA ELITE III」。右のラックに積まれているのが上から32型モニタ、システムセンター、光源装置で、これらが基本構成となる

また、従来の硬性鏡や軟性鏡、カメラヘッドとの互換性を確保しつつ、基本機能を4KおよびNBIとすることで価格を従来機(VISERA ELITE II)比で10%増程度に抑えつつ、3DやIR、55型外付け3D対応モニターなどをオプションとして用意(標準は32型4K/3D対応液晶モニタ、システムセンター、光源装置で構成。3DおよびIR機能については、USBタイプのポータブルメモリにソフトウェアを内蔵する形で提供)することで、一般外科、泌尿器科、婦人科、耳鼻咽喉科など、幅広い診療科でのニーズに応えることを可能としたとしている。

さらに、第1世代4Kカメラヘッドで問題とされていた被写界深度の低下によるフォーカス調整回数の増加に対し、より広い領域にピントが合うEDOF(Extended Depth of Field:被写界深度の拡大)機能と、ソニー独自のコア技術であるスコープの動きに合わせてフォーカスを自動調整するC-AF(Continuous Auto Focus)を、外科手術用内視鏡に搭載。これにより、1タッチのオートフォーカスで対象をピントを併せつつ追従することを可能としたとする。加えて、従来機種ではIR観察モードとして、IR+マゼンタおよびIR単独(白黒)のみであったものを、新たにフルカラーIRにも対応。より使い勝手の高いIR観察を可能にしたともしている。

  • C-AF機能とEDOF機能
  • C-AF機能とEDOF機能
  • C-AF機能とEDOF機能により、カメラが動いても自動的にオートフォーカスが最適な状態で追従してくれるため、手動でのフォーカス合わせ作業などを行わなくて良くなるという

  • IR機能
  • IR機能
  • IR機能
  • IR機能。左から順にフルカラーIR、IR+マゼンタ、IR単独での表示

このほか、32型および55型モニタには、内視鏡観察に適した色再現および解像感のチューニングとして、ソニー独自の映像にあわせて明るさやコントラストを強調できる画質向上技術であるA.I.M.E(Advanced Image Multiple Enhancer)ならびにバックライト部分駆動技術を採用。より精細感や立体感のある内視鏡映像の表示を可能としたとしている。

  • A.I.M.Eストラクチャー

    コントラストの強調感を調整するA.I.M.Eストラクチャーは機能オフのほか、1~6のレベル設定が可能。55型の方が機能オフ、32型の方がレベル6設定時の画像。このほか、医療現場での作業負担軽減としてのベゼルとパネルのフラット化や、操作パネルの色分け(機能オン時のものは緑色、そこからさらに使用できるのが白。機能が使えないものは非表示)といったUIの工夫なども施されている

  • A.I.M.Eストラクチャー
  • A.I.M.Eストラクチャー
  • 左がA.I.M.Eストラクチャー機能オフ、右がA.I.M.Eストラクチャーのレベル6の画像

なお、今後は順次、欧州や日本での販売が進められることとなるが、米国での販売に向けた規制対応も進めているとのことで、機体対応が完了次第、米国での販売も行いたいとしており、オリンパスでは今後7年間で2万台の販売を目指すとしている。