さくらインターネット 代表取締役社長 田中邦裕氏は、2022年の年頭所感を発表した。

あけましておめでとうございます。

今、世界の人口は70億人をこえ、全ての人が文化的に過ごすために地球数個分もの資源が必要だと言われています。それを受け、持続可能な社会づくりに対する関心が高まっています。 2021年は引き続き新型コロナウイルス感染症が流行し、日本だけでなく世界中で大きな変革が続きました。そのような状況下において、経済活動だけに限らず全ての活動においてデジタル上への移行が進み、くしくも現実世界の資源消費が抑えられているという意見もあります。 今後も持続可能な社会を推進するうえで、デジタル化は単に便利になるといった文脈だけでなく、多くの人たちが文化的で豊かな生活をするための基盤とも言えると考えています。

デジタル化が進む中で、これからはすべての人がITについて、活用する主体者となることが求められます。主体というのは、デジタル化を他者に一任するのではなく、ITを自らの生活やビジネスにいかに利用できるのかを考え、行動やサービスを変化させていくということです それらが進むにつれ、他社のデジタル化を請け負っていたIT企業も、自社のサービスとしてどのような価値提供が望ましいのかを検討し、変化していかなくてはなりません。IT企業に属さないユーザー企業がデジタル化する場合には、IT企業はユーザー企業からただ受託して仕様通りに開発するのではなく、ユーザー企業のデジタル化を手助けし、ユーザー企業にデジタルビジネスを創出させるDXプラットフォーマーへと変わっていかねばなりません。

そしてこの変化は、旧来のビジネス構造にも変化をもたらすでしょう。日本ではモノづくりの文化が根強く、IT業界においてもその影響から「発注後は発注先に一任し、納品されることで完結」する構造があります。ITシステムは、ユーザー企業からIT企業に発注され、IT企業は発注時の仕様で開発し、納品されてきました。 しかし、ユーザー企業が主体で行われるデジタル化は、IT企業に任せきりでは成り立ちません。納品後もシステムを運用するなかで、セキュリティ対策は最新なのか、機能は古くなってアップデートが必要ではないのか、ユーザー企業自身が認識し対応する必要があります。そのため、納品までIT企業に任せきりの構造では、運用時にユーザー企業での対応ができなくなってしまうのです。

IT企業に保守運用を任せることはできますが、機能追加など仕様変更を行うたびにIT企業へ発注が必要となり、スピード感を持った対応が難しくなります。変化ができなければ損をするVUCAの時代においては、迅速に柔軟な対応ができる環境が必要不可欠です。これまで当たり前とされてきた構造について、それを求めてきたユーザー企業、応えてきたIT企業、両社が共に変化していく必要があります。

当社は、ITインフラとしてデジタル化を下支えするクラウドコンピューティングサービスを提供しています。近年、個人から法人、ガバメントクラウドまで、デジタル化に伴うクラウドコンピューティングサービスのニーズの高まりを感じております。ユーザー企業がITの主体者になることで、当社のサービスを今まで馴染みのなかった方もご利用くださる機会も増えると考えており、当社も今まで以上に多様なサービスを提供できるようDXプラットフォーマーとして変化せねばなりません。

当社は「『やりたいこと』を『できる』に変える」の理念のもと、日本におけるインターネット黎明期からIT企業として培ってきた知見を生かし、クラウド事業者としてお客さまそれぞれが目指すデジタル化の手助けになるようなサービス提供に努めてまいります。

2022年もさくらインターネットをよろしくお願いいたします。