パスコと東京農業大学、東京情報大学は1月16日、日本の農業の発展を目指し、包括連携協定を昨年12月23日に締結したと発表した。3者は相互に協力して情報交換を行い農業現場への「スマート農業」普及のための施策立案や、一次産業での新たな空間情報技術活用の可能性を追求するという。

日本の農業を取り巻く環境は、農業者の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加といった課題を抱えているほか、海外との関係では2018年12月のTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)発効に伴う農産物関税化引き下げなど年々厳しい状況となっている。

このような状況下において、政府は農業の生産力を高め、国際競争力の強化を緊急の課題とし、生産性の飛躍的な向上や収益力向上を実現するため、2018年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」に基づき、官民一体となったスマート農業の推進を図っている。

東京農業大学と東京情報大学では、農業を実践するのは農家・農業者であり、スマート農業の実現には企業や一部の大規模農業法人だけではなく、家族経営を中心とした地域の中核である農村コミュニティーへの普及が不可欠であると考え、さまざまな研究活動を行っており、パスコと東京農業大学は昨年9月から海外における農業関連の先進事例について情報収集を開始している。

また、パスコと東京情報大学では同大が受信している衛星画像データを用いた海洋分野の空間情報活用の研究を2018年12月から行っています。これまでにも大学研究者と技術者間での交流があったものの、農業に関する未来を考えるという共通のテーマがあることから、今回の包括連携協定を締結するこになった。

3者で予定している連携事項は「地域の中核である農村コミュニティーにおけるスマート農業の実現にむけての、農家・農業者の各種空間情報の利活用に対する現状確認と課題整理」「農業現場へのスマート農業普及のための研修会の実施」「農業現場での新たな空間情報技術活用モデルの検討」「技術や知見を使いこなせる人材の育成」「林業・漁業も含めた一次産業での新たな空間情報活用モデルの検討」「一次産業にかかわる多様な空間情報の利活用に関する可能性の検討」「海外先進事例等の調査」の7分野となる。