必要なパフォーマンスのPCにカスタムオーダーができるBTOパソコンメーカー「マウスコンピューター」から、15.6型ノートPC「DAIV 5N」が登場した。DAIVは同社が手掛けるクリエイターPCブランドだ。創造性、生産性といったクリエイターのニーズに応えるスペックとパフォーマンスを備えている。

  • マウスコンピューター「DAIV 5N」

最新CPUとGPUだけでなく、メモリやストレージにもクリエイター向けのこだわり

今回お借りしたのは、「DAIV 5N」の最新のWindows 11モデルだ。同名のWindows 10モデルも販売中だが、スペックが異なるのでご注意いただきたい。

  • 天板には「DAIV」のロゴが見える

そもそもクリエイターが求めるパフォーマンス、スペックとはどのようなものだろうか。やはりメインは高性能CPUと高性能GPUだろう。CPUは、今購入するならば最低でも4コア8スレッド対応が理想であり、特に3Dレンダリングや映像編集では、コア数は多ければ多いほどよく、できれば8コア16スレッドのモデルを選びたい。

GPUは目的ごとに少し異なる。3DモデリングやVR開発などではゲーミングPCと同様に高性能GPUを求める一方で、映像制作や写真補正などでは3D性能よりもGPUで演算を行うGPGPUがメインであり、ディスクリートGPUが必要だが、コストとのバランスも重要になるだろう。

  • クリエイティブ・アプリケーションではGPUによるアクセラレーションを活用しているため、ある程度の性能のディスクリートGPUの搭載は必須だ

それを踏まえて本機のCPU&GPU構成を見ていくと、CPUがインテル第11世代Core i7-11800H、GPUがGeForce RTX 3060 Laptop GPUだ。CPUは8コア16スレッドに対応したノートPC向けとしてはハイエンドクラスにあたる。GPUはミドルレンジクラスで、RTX、リアルタイムレンダリングなどの最新グラフィックスやAI機能を実現する性能を備えている。

  • 8コア16スレッドのIntel Core i7-11800H(左)、GeForce RTX 3060 Laptop GPU(右)を搭載

そして最新GPUでサポートされた機能にDiscreteモードがある。

通常バッテリー駆動することも想定されるノートPCでは、CPUに統合された性能は低いが電力効率のよいGPUと、高性能のディスクリートGPUを電源状態や負荷状態によって切り替えるMS Hybridモードを利用することが多い。しかし、MS HybridモードでディスクリートGPU側を利用する際、ディスクリートGPUが描画した画像を統合GPU側に受け渡し、そこからディスプレイに表示するといったひと手間かかった経路になる。そのため厳密にいえば、そこにわずかな遅延が生じる。

しかしDiscreteモードは、ディスクリートGPUを利用すると明示的に設定することで、ディスクリートGPUから直接ディスプレイに出力する。通常はあまり顕著な問題にはならないが、厳密に遅延を管理したい開発環境や、VRのようにわずかな遅延が違和感を生み出す要因になるようなアプリケーションでは、このDiscreteモードが効果を発揮するだろう。

  • Discreteモードをオンにすることで、ディスクリートGPU利用時の遅延を最小限にできる

さらにクリエイター向けPCでは、CPUやGPUといった部分に特化するのではなくメモリやストレージにも注目しなければならない。まずそれらの容量だが、最近ではノートPCでも標準メモリ搭載量16GBが当たり前になってきた。

一般用途では少し余裕のある容量だが、クリエイティブ・アプリケーションを用いる場合は最低限の容量でもある。本機は標準構成でもクリエイターニーズを満たしつつ、必要であればBTOカスタマイズで容量を増やすことが可能だ。メモリは16/32/64GBまでカスタマイズできる。例えば映像編集で多くのタイムラインを扱う際、4Kなどの高解像度映像ソースを扱う際などは、増量を検討するといいだろう。

ストレージの容量も、扱うファイルのデータサイズによって検討したい。標準は512GB。クリエイティブ用途では素材と出力データ、さらに出力ファイルにリテイクなどがあることを考慮すると、使用用途に合わせて、ストレージの容量選びは余裕を持って選ぶのがいいだろう。ちなみにDAIV 5Nは、PCI Express Gen.3×4接続M.2規格のSSDを2基まで搭載可能なため、たとえばシステムドライブ向けに超高速なM.2 SSD、作業領域向けに別途ストレージなど、振り分けて利用することもできる。

  • 標準で容量16GB、DDR4-3200のDDR4 SDRAMを搭載。最大64GBまでのアップグレードに対応している

もう一つ、メモリやストレージの速度も重要なポイントだ。本機ではメモリがDDR4-3200のデュアルチャネルモードで、CPUがサポートする最大速度を組み合わせている。ストレージは、標準構成でPCI Express接続のM.2 SSDだが、BTOカスタマイズに注目してほしい。PCI Express 4.0 x4接続でNVMeをサポートするM.2 SSDが用意されている。

標準構成では価格メリットの大きい、シーケンシャルリードでおよそ2GB/sクラスのSSDを採用するのが一般的だ。通常用途はもちろんクリエイティブ用途でも、学習やサブ開発機などではこの速度で充分だろう。しかし生産性を考慮する場合は、より高速のPCI Express 4.0 x4接続SSDへとカスタマイズするのをおすすめする。今回お借りしたモデルはPCI Express 4.0 x4接続SSDにカスタマイズ済み(BTO価格:8,690円/税込)だったのでその速度も紹介しよう。

  • シーケンシャルリードで6.5GB/s(左)。仮にPCI Express 3.0 x4のSSDであればその帯域によって最大速度が約4GB/sに制限される。PCI Express 4.0 x4対応SSDはオプション扱いだが、性能を求める場合は検討したい

ストレージの転送速度が速いということは、例えば映像編集ソフトへのソース映像の読み込みに要する時間も短くなる。映像を4本、計10GBをCドライブ内でコピーしたところ、シーケンシャルリード6.5GB/s、同ライト4.7GB/sの本製品は5.9秒、比較対象としたシーケンシャルリード2.5GB/s、同ライト3.3GB/sの製品では6.4秒と、約0.5秒の差が生じた。2倍とまではいかないが、こうした差が積み重なり、作品を作り上げる頃には分単位、時間単位になることもある。

そして多くの映像編集ソフトではプレビュー用のキャッシュファイルをストレージ上に作成するため、そのレスポンスも速い。一つ一つの作業における差はわずかでも、1作品、あるいはプロジェクトを通じて削減できる“待機時間”は無視できないだろう。このように、高性能CPU、GPGPUを利用するうえで十分な性能のGPU、十分な容量かつ高速のメモリ&ストレージが本機のポイントだ。快適さは余裕を生み、作品のクオリティも向上させてくれるだろう。

また、今回は比較対象を用意できたので、Handbrakeによる4K/60p→FHD/30pのトランスコードで比較を行なってみた。CPUはどちらもCore i7だが、比較対象は第10世代のCore i7-10750H(6コア12スレッド)、本製品は第11世代のCore i7-11800H(8コア16スレッド)だ。

x264でのfps(1秒間に処理できるフレームレート)は、本製品が59.58fpsでほぼリアルタイムなのに対し比較対象は40.42fpsでリアルタイムの1.5倍近く時間を要した。より処理が重いx265でのfpsは本製品が50.56fpsに対し、比較対象は33.78fpsだった。

1つのプロジェクトで考えれば、映像ファイルの読み込みはたった10GB程度で済むものではなく、映像のレンダリングも1回で済むわけではない。品質を向上するには時間が必要だが、時間があるのも納期までだ。クリエイティブの場では、高性能なパソコンで制作することは重要だ。

「DAIV 5N」の詳細はコチラ